ゼロからわかる!「防水工事業許可」の取り方と知っておくべきポイント
防水工職人として、あなたの技術と情熱をさらに大きく花開かせたい。
そうお考えなら、「防水工事業許可」の取得は避けて通れない大切なステップです。
この記事では、防水工事業許可の取得要件から見落としがちなポイントまで、あなたが知りたい情報をわかりやすく解説していきます。
1.「防水工事業」の範囲を明確に!作業内容と他業種との違い
防水工事業は、建物に水が浸入するのを防ぎ、雨漏りや結露から大切な建物を守る、非常に重要なお仕事ですね。
具体的にどのような作業が含まれるのか、そして他の業種とどう違うのか、ご説明しますね。
「建設工事の内容を定める告示」に基づく防水工事業の作業内容
まず、「建設工事の内容を定める告示」という国のルールでは、防水工事業は以下のように定義されています。
- 防水工事
アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事
簡単に言うと、アスファルトやモルタル、シーリング材などの材料を使って、建物に水が入り込まないように「防水」を施す工事全般を指します。
「建設業許可事務ガイドラインの例示」に基づく具体的な作業内容
次に、「建設業許可事務ガイドライン」という、許可を出す側の行政が参考にしている資料には、もっと具体的な例が載っています。
これらの例を一つずつ詳しく見ていきましょう。
- アスファルト防水工事
- 熱で溶かしたアスファルトと防水シートを交互に積層して、強固な防水層を形成する工事です。主に建物の屋上や地下室などに用いられ、非常に高い防水性と耐久性が特徴です。
- モルタル防水工事
- セメントモルタルに特殊な防水材を混ぜて塗布し、防水層を形成する工事です。浴室の床や壁、バルコニーなど、比較的狭い範囲や複雑な形状の場所に用いられることが多いです。
- シーリング工事(コーキング工事とも呼ばれます)
- 建物の外壁の目地(部材の継ぎ目)やサッシ周り、配管の貫通部などに、ゴム状のシーリング材を充填して、雨水の浸入を防ぐ工事です。建物の動きに追従し、ひび割れを防ぐ重要な役割があります。
- 塗膜防水工事(とまくぼうすいこうじ)
- 液体状のウレタン樹脂やFRP(繊維強化プラスチック)などを塗布し、硬化させて一体の防水層を形成する工事です。継ぎ目がなく、複雑な形状にも対応しやすいのが特徴です。ベランダや屋上、開放廊下などでよく用いられます。
- シート防水工事
- ゴムや塩化ビニルなどの防水シートを、下地に接着剤で貼ったり、機械で固定したりして防水層を形成する工事です。広い面積の屋上や、改修工事で用いられることが多いです。
- 注入防水工事
- コンクリートのひび割れなどから水が浸入している場合に、特殊な樹脂を注入して漏水を止める工事です。地下構造物やトンネルなどで用いられる専門性の高い技術です。
間違いやすい他の業種との切り分け
ここがとても大切なポイントです。
防水工事業と間違えやすい業種がいくつかありますので、しっかり区別できるようにしましょう。
- 塗装工事業との違い
- 塗装工事業は、塗料を塗ることで建物の美観を保ち、サビや劣化から保護することを主な目的とします。塗料には防水性を持つものもありますが、それはあくまで塗料の付帯的な機能であり、防水そのものを主たる目的とした専門的な防水層を形成する工事とは異なります。
- 防水工事業は、専門の防水材料(アスファルト、ウレタン樹脂、シート材など)を用いて、水が浸入するのを完全に防ぐための「防水層」を形成することを目的とします。
- 切り分けのポイント:建物の外壁に「美観と保護」を目的として防水性のある塗料を塗るのは塗装工事。屋上やベランダに「雨水の浸入を遮断する」目的でウレタン防水材を塗布して防水層を作るのは防水工事。シーリング材は、建具や窓の隙間を埋める目的であればガラス工事や建具工事の付帯工事とみなされることもありますが、外壁目地の防水目的であれば防水工事業となります。
- 切り分けのポイント:建物の外壁に「美観と保護」を目的として防水性のある塗料を塗るのは塗装工事。屋上やベランダに「雨水の浸入を遮断する」目的でウレタン防水材を塗布して防水層を作るのは防水工事。シーリング材は、建具や窓の隙間を埋める目的であればガラス工事や建具工事の付帯工事とみなされることもありますが、外壁目地の防水目的であれば防水工事業となります。
- とび・土工・コンクリート工事との違い(地下防水関連)
- とび・土工・コンクリート工事は、基礎工事やコンクリート打設など、建物の基礎や躯体(くたい)を造る工事がメインです。地下室のコンクリートを打つ作業はこれに当たります。
- 防水工事業は、そのコンクリート躯体に対して、地下からの水の浸入を防ぐための防水層を施す専門工事です。
- 切り分けのポイント: 「構造物そのものを作る」のがとび・土工・コンクリート工事、「その構造物に防水機能を付与する」のが防水工事、と区別されます。
2.「防水工事業」で一般建設業許可を取得するための要件や注意点
ここからは、実際に許可を取得するための大切な要件について、最新の情報も踏まえてご説明しますね。
以前よりも緩和された部分もありますので、ぜひ前向きにご検討ください。
建設業許可の5つの基本要件
一般建設業許可を取得するためには、大きく分けて以下の5つの要件を満たす必要があります。
- 経営業務の管理責任者等
- 営業所ごとに置く専任の技術者(旧:専任技術者)
- 財産的基礎又は金銭的信用
- 欠格要件に該当しないこと
- 誠実性
一つずつ、分かりやすくご説明しますね。
1.経営業務の管理責任者等
以前は「経営業務の管理責任者(通称:経管)」という、かなり厳しい要件がありましたが、令和2年10月1日からは「経営業務の管理責任者等」という新しい要件に緩和されました。
これは、経営経験のある方がいなくても、経験のある方を補佐する体制が整っていれば許可が取れるようになったということです。
具体的には、以下のいずれかに該当する必要があります。
- (A)経営業務の管理責任者としての経験を持つ方
- 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
- 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る)として経営業務を管理した経験を有する者
- 建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
- (B)適切な経営体制が構築されている方
- 建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
- 5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者
さらに、以下を有するものを置く必要があります。- 申請を行う会社で、建設業の財務管理について役員等に次ぐ職制上の地位の経験を5年以上有する者
- 申請を行う会社で、建設業の労務管理について役員等に次ぐ職制上の地位の経験を5年以上有する者
- 申請を行う会社で、建設業の業務運営について役員等に次ぐ職制上の地位の経験を5年以上有する者
ここがポイント:- 以前のように社長さんや役員の方が必ずしも長年の建設業経営経験を持っている必要がなくなりました。経験豊富なナンバー2の方や、会社の財務・労務をしっかりと管理できる方がいれば、許可取得の道が開ける可能性が高まりました。
- 常勤役員等は、原則としてその会社の役員や個人事業主でなければなりません。
- 経験を証明する書類(確定申告書、工事請負契約書など)が必要になりますので、日ごろからきちんと保管しておくことが大切です。
2.営業所ごとに置く専任の技術者(旧:専任技術者)
以前は「専任技術者」と呼ばれていましたが、要件の本質は変わりません。
各営業所に、その業種に関する専門知識と経験を持った技術者(「営業所技術者」と呼ぶこともあります)を常勤で配置する必要があります。
防水工事業の場合、以下のいずれかの要件を満たす方が必要です。
- (A)国家資格を持っている方
- 建設業法「技術検定」:合格証明書
- 一級土木施工管理技士:合格後実務経験3年以上
- 一級土木施工管理技士補:合格後実務経験3年以上
- 二級土木施工管理技士(土木、鋼構造物塗装、薬液注入):合格後実務経験5年以上
- 二級土木施工管理技士補(土木、鋼構造物塗装、薬液注入):合格後実務経験5年以上
- 一級建築施工管理技士
- 一級建築施工管理技士補:合格後実務経験3年以上
- 二級建築施工管理技士(建築、躯体):合格後実務経験5年以上
- 二級建築施工管理技士(仕上げ)
- 二級建築施工管理技士補:合格後実務経験5年以上
- 一級造園施工管理技士:合格後実務経験3年以上
- 一級造園施工管理技士補:合格後実務経験3年以上
- 二級造園施工管理技士:合格後実務経験5年以上
- 二級造園施工管理技士補:合格後実務経験5年以上
- 職業能力開発促進法「技能検定」:合格証書
検定職種の等級区分が二級のものは、合格後1年以上の実務経験が必要(平成16年4月1日以降の合格者は実務経験3年以上必要)- 防水施工
- 国土交通大臣が認める登録基幹技能者
- 登録防水基幹技能者
- 登録外壁仕上基幹技能者
- 建設業法「技術検定」:合格証明書
- (B)実務経験が豊富な方
- 防水工事業に関する実務経験が10年以上ある方
- 指定学科(土木工学、建築学)を卒業している場合、経験年数が短縮されます。
- 大学・高専卒業:3年以上
- 高校卒業:5年以上
ここがポイント:- 実務経験10年というのは、個人事業主としての経験も含まれます。
- 経験を証明するためには、工事請負契約書、請求書、入金確認ができる通帳のコピーなど、具体的な証拠書類が必要になります。曖昧な記憶ではなく、客観的に証明できるものを用意しましょう。
- 専任性について: 営業所技術者は、その営業所に常勤している必要があります。他の会社に籍を置いていたり、他の事業を兼業していたりする場合は認められません。
3.財産的基礎又は金銭的信用
会社にお金がきちんとあるか、信用があるか、という要件です。
一般建設業許可の場合は、以下のいずれかを満たす必要があります。
- 自己資本が500万円以上あること
直前の決算書(貸借対照表)の「純資産の額」が500万円以上であればOKです。 - 500万円以上の資金を調達する能力があること
預金残高証明書などで500万円以上の残高を証明できればOKです。申請日直前の残高証明書が必要です。 - 許可申請直前の過去5年間、継続して建設業の許可を受けて営業した実績があること
すでに許可をお持ちで更新される方などはこちらの要件でクリアできます。
ここがポイント:- 「500万円以上の資金を調達する能力」は、申請時に一時的に預金残高を増やして証明することも可能です。ただし、一時的な増額は、将来の経営に影響が出ないよう、慎重に検討しましょう。
4.欠格要件に該当しないこと
建設業の許可を取り消されたり、法律に違反したりしたことがないか、という要件です。
具体的には、以下のような事項に該当しないことが必要です。
- 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
- 不正な手段で許可を受けた、または営業停止処分に違反したことにより許可を取り消されてから5年が経過していない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年が経過していない者
- 建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法などの特定法令に違反して罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年が経過していない者
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年が経過していない者
- 未成年者で、その法定代理人が上記のいずれかに該当する者
ここがポイント:- 役員全員、政令で定める使用人(支店長など)、総株主の議決権の5%以上を有する個人株主、個人事業主本人などが対象となります。
5.誠実性
請負契約の締結や履行において、不正または不誠実な行為をするおそれがないこと、という要件です。
- 具体的には、契約内容を故意に履行しなかったり、請負代金をごまかしたり、他社を欺いたりするような行為がないことが求められます。
- 過去に建設業法違反などがあった場合、誠実性が認められないことがあります。
社会保険について
建設業許可の取得には、社会保険(健康保険、厚生年金保険)への加入が必須です。
- 法人であれば、従業員の有無にかかわらず、社長さん一人でも加入義務があります。
- 個人事業主の場合も、従業員を5人以上雇用していれば加入義務があります。
- 雇用保険も、従業員を雇用していれば加入義務があります。
ここがポイント:- 未加入の場合は、許可申請前に加入手続きを済ませておく必要があります。これは、建設業界全体の健全化を目指す国の動きとして、非常に重視されています。
その他、許可取得に向けた注意点
- 申請書類の準備: 必要書類は非常に多く、複雑です。ご自身で準備される場合は、時間と労力がかかります。
- 実務経験の証明: 工事請負契約書、注文書、請求書、入金確認ができる通帳のコピーなど、具体的な証拠書類を漏れなく揃えることが重要です。
- 営業所の確認: 営業所がきちんと機能しているか(独立したスペースがあるか、看板があるかなど)も確認されます。バーチャルオフィスなどは認められません。
- 経営業務の管理責任者等と営業所技術者の兼任: 要件を満たせば、同一人物が両方を兼ねることも可能です。ただし、その人が実態としてそれぞれの業務を遂行できる状況にある必要があります。
- 役員変更登記など: 許可申請前に役員や商号変更などが必要な場合は、事前に済ませておく必要があります。
防水工事業の許可取得は、決して簡単な道のりではありませんが、要件が緩和されたことで、以前よりも取得しやすくなっています。
許可取得はゴールではなく、新たなスタートラインです。
この情報が、あなたの事業の発展に少しでも貢献できれば幸いです。

