【2026年最新版】建設業許可「経営体制(経管)」完全攻略Q&A
「そろそろ建設業の許可を取りたいが、自分にその資格があるのかわからない」
「役員経験が足りないと言われたが、本当に諦めるしかないのか?」
建設業許可を目指す経営者さまが、最初にして最大の壁としてぶつかるのが、この「経営業務の管理責任者(通称:経管)」の要件です。
2020年の大きな法改正により、社長ひとりの経験だけでなく「組織全体」で要件を満たすルート(チーム制)も誕生しました。
しかし、そのルールは複雑で、条文の「イ・ロ・ハ」を正しく理解していなければ、取れるはずの許可も逃してしまいます。
この記事では、難解な法律用語をかみ砕き、最新の審査基準に基づいた「最短で許可を掴み取るための経営体制」について、Q&A形式で徹底解説します。
Q1:リーダー(常勤役員等)の基本的な条件は?

毎日その会社でフルタイムで働く「役員」が1人必要です。
建設業の許可をもらうためには、経営の責任者として「常勤役員等(つまり、毎日しっかり会社で働く取締役などのこと)」を置かなければなりません。
- 株式会社や有限会社の場合
登記簿(履歴事項全部証明書)に載っている「取締役」のうちの1人です。 - 個人事業の場合
事業主本人、または「支配人(つまり、登記をしていて店長のように大きな権限を持つ人)」のうちの1人です。
注意:監査役や非常勤顧問は含まれません。
また、他の会社で「専任」を求められる役割を持っている人も、原則として兼ねることはできません。
根拠: 建設業法第7条第1号、建設業法施行規則第7条
Q2:リーダーの経験は何年必要? どんなパターンがあるの?

基本は「5年」です。
ただし、役職や社内のサポート体制によって大きく分けて3つのルートがあります。
ご自身の経歴を、以下の「イ・ロ・ハ」のどれかに当てはめてみてください。
【ルート:イ】リーダーひとりの経験でクリアする場合
もっとも一般的な方法です。以下のいずれか1つに当てはまれば大丈夫です。
- (a1)建設業の役員を「5年以上」
建設業の会社で、取締役や個人事業主を合計「5年以上」やっていた場合。 - (a2)経営を任された「執行役員」を「5年以上」
取締役ではないけれど、取締役会で「この部門の経営をすべて任せる」と正式に任命された立場で5年以上働いた場合。 - (a3)リーダーを助ける立場で「6年以上」
部長や支店長など、役員に次ぐポジションでリーダーの経営業務を「6年以上」助けていた場合。
根拠: 建設業法施行規則第7条第1号ロ(1)
【ルート:ロ】リーダーの経験不足を「チーム」で補う場合
社長ひとりの経験が足りなくても、支えるスタッフがいれば許可が取れる仕組みです。
- リーダー(社長)の条件
以下のどちらかを満たしていること- (b1)建設業の役員経験が「2年以上」あり、かつ「管理職(お金・人・仕事の担当)」としての経験が合計5年以上ある。
- (b2)他業種(飲食や運送など)の役員経験が「5年以上」あり、かつ「建設業の役員経験」が2年以上ある。
- 支えるスタッフ(直接補佐する者)の条件
社長を直接支える人として、次の3つの経験(すべて「今の会社」での5年以上の経験に限る)を持つ人を置かなければなりません。- (c1)お金の管理(財務管理)
- (c2)人の管理(労務管理)
- (c3)仕事の管理(業務運営) ※ 1人が3役すべてを兼ねても大丈夫です。
根拠: 建設業法施行規則第7条第1号ロ(2)
【ルート:ハ】大臣から特別な認定をもらう場合
イやロと同じくらいの経営体制があると、国から特別に認められた場合です。
一般の新規申請で使われることはほぼありません。
利用されるのは以下のようなケースです。
- 利用状況:極めて稀です。
大企業の組織再編(分社化など)で、条文上の年数が途切れてしまう場合などに個別に審査されます。 - 条件:明確な数値基準はなく、国土交通省に「イやロと同等以上の経営体制がある」と認められる必要があります。
膨大な疎明資料と事前相談が必要な、非常にハードルの高いルートです。
根拠: 建設業法施行規則第7条第1号ハ
Q3:毎日働いていること(常勤性)はどう証明するの?

立場に合わせて、決められた公的な書類を「セット」で提出します。
お役所の審査では、給料の支払いや税金の状況から「本当に毎日いるか」を確認します。
ケース1:法人の役員や従業員(75歳未満)の場合
以下のいずれかを選択して提出します。
- 健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書 (年金事務所から会社に届く最新の通知書です)
- 住民税特別徴収税額通知書 (会社用と本人用の2枚セットが必要です)
ケース2:75歳以上(後期高齢者)のリーダーの場合
社会保険の通知書が使えないため、以下の書類が必要です。
- 住民税特別徴収税額通知書 (会社用と本人用の2枚セットが必要です)
ケース3:個人事業主本人の場合
以下のどちらかを提出します。
- 住民税課税証明書(市役所で取得できる、最新年度のもの)
- 所得税の確定申告書の控え(直近年のもの)
※ 役所での課税証明書がまだ発行されない時期(春先など)に、確定申告書で代用します。
ケース4:新しく入社・就任したばかりの場合
以下の両方をセットで提出します。
- 直近3ヶ月分の賃金台帳(お給料の明細一覧)
- 住民税の切り替え申請書の控え(市役所の受付印があるもの)
根拠: 各都道府県の建設業許可申請の手引き(常勤性の確認書類規定)
Q4:過去の経験はどうやって証明すればいいの?

「登記簿」「確定申告書」「工事の証拠」の3点が、同じ期間で重なっている必要があります。
次の3つのパズルがぴったり埋まらなければなりません。
- 役員だった証拠
「履歴事項全部証明書(登記簿)」に、その期間ずっと役員として名前が載っていること。 - 会社が動いていた証拠
その期間の「確定申告書」の控えがあること。 - 実際に工事をしていた期間
その期間の「工事契約書」「注文書」「請求書」のいずれかがあること。- 重要:大阪府では1年以上の空白期間があると、経験が途切れたとみなされます。毎年1件は書類を保管しておきましょう。
根拠: 建設業法第7条第1号(経営能力の具備)、建設業法施行規則第2条(申請書の添付書類)及び大阪府審査基準
まとめ:各見出しのポイント整理
- リーダーの決定
毎日フルタイムで働く「登記された役員」を1人選びましょう。 - 経験のパターン
「役員5年」が基本。足りなければ「補佐6年」や「チーム制(1人の右腕に3役を任せる)」を検討しましょう。 - 常勤の証明
立場に合わせて「決定通知書」や「住民税通知書」を正しくセットで揃えましょう。 - 証拠の保管
過去の「確定申告書」と「工事書類」は、会社の歴史を守る宝物です。
建設業の許可は、会社の歩んできた歴史そのものです。
「うちの書類で大丈夫かな?」と不安なときは、まずは手元にある古い申告書や、過去の注文書を日付順に並べてみることから始めてみてください。

