その他の審査項目(社会性等)(W点)で点数アップしたい
経営事項審査とは、公共工事の受注をめざす建設業者に義務づけられている審査です。
その中の評価項目の一つとして、社会的な責任等を評価する「その他の審査項目」(W点)があります。
この記事では『経営事項審査』を受けたい建設業者様のために、「その他の審査項目(社会性等)」(W点)で点数アップをしたい方に向けて説明しています。
目次
1.その他の審査項目(社会性等)(W点)の評価項目
経営事項審査は、以下の計算式で総合評点値(P点)を算出します。
総合評定値(P点)=(X1点)×0.25+(X2点)×0.15+(Y点)×0.20+(Z点)×0.25+(W点)×0.15
経営事項審査の指標をアルファベットで表します。
その他の審査項目(社会性等)(W点)は、総合評定値(P点)のウエイトで15%あることになります。
その他の審査項目(社会性等)(W点)の審査項目はW1~W8で細かく分類されており、以下の計算式で算出します。
(令和5年1月改正分)
W=(建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況W1+建設業の営業年数W2+防災活動への貢献の状況W3+法令遵守の状況W4+建設業の経理の状況W5+研究開発の状況W6+建設機械の保有状況W7+国又は国際標準化機構が定めた規格による登録状況W8)×10×175/200
小数点以下端数は、切り捨てになります。
W点の評点幅は、最高1,966点~最低ー1,995点になります。
W1:建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況
雇用保険、健康保険、厚生年金保険の社会保険の未加入は、大幅な減点となります。
改正建設業法により、社会保険の未加入は許可を受けることができません。
公共工事を受注しようとする建設業者にとっては、当然果たすべき義務と言えます。
審査項目 | 未加入 | 加入 |
---|---|---|
①雇用保険の加入状況 | -40点 | 0点 |
②健康保険の加入状況 | -40点 | 0点 |
③厚生年金保険の加入状況 | -40点 | 0点 |
④建退共の加入状況 | 0点 | 15点 |
⑤退職一時金もしくは企業年金制度の導入 | 0点 | 15点 |
⑥法定外労働災害補償制度の加入状況 | 0点 | 15点 |
⑦若年技術者及び技能者の育成及び確保の状況 | 2~0点 | |
⑧知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況 | 10~0点 | |
⑨ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況 | 5~2、0点 | |
⑩建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況 | 15、10、0点 |
①雇用保険の加入状況
雇用保険は、雇用保険法により労働者を1人でも雇用している場合に加入義務があります。
「雇用保険適用事業所設置届」を、公共職業安定所に届け出ていない場合は減点になります。
従業員がいない役員のみの会社や、一人親方は「適用除外」となるため、未加入でも減点されません。
大阪府では、以下の全ての書類の写しの提示を求められます。
- 労働保険概算・確定保険料申告書又は労働保険事務組合からの納入通知書(審査基準日を含む保険年度のもの)
- 申告に係る保険料の納入分の領収書(審査基準日を含む月分まで当該年度分全て納付済であることが確認できるもの)
②健康保険の加入状況
健康保険は、健康保険法により法人と常時使用する従業員が5人以上の個人事業主に加入義務があります。
健康保険、健康保険組合による健康保険のいずれにも加入していない場合は減点となります。
建設国保などの職域別の国民健康保険に加入している場合は、健康保険について「適用除外」となるため減点されません。
大阪府では、以下のいずれかの書類の写しの提示を求められます。
- 健康保険及び厚生年金保険それぞれの保険料納入告知額・納入済額通知書(審査基準日を含む月分が納付済であることが確認できるもの)
- 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書(役員及び従業員(いずれも常勤)全員が確認できるもの)
- 中途入社した者がある場合は、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書(審査基準日以前の資格取得年月日であるもの)
- 船員保険適用被保険者がある場合は、船員保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書
- 建設国保などに加入の場合は、理事長などが発行する事務所名の記載のある資格証明書または納入告知書兼領収書
③厚生年金保険の加入状況
厚生年金保険は、厚生年金保険法により法人と常時使用する従業員が5人以上の個人事業主に加入義務があります。
対象者が厚生年金保険に加入していない場合は、減点となります。
必要書類は、健康保険と同じです。
④建退共の加入状況
建設業退職金共済制度は、審査基準日に独立行政法人勤労者退職金共済機構との間で、特定業種退職金共済契約を締結している場合に加点されます。
単に加入しているだけではなく、元請完成工事高に応じた証紙の購入と履行があったかどうかで判断されます。
大阪府では、以下の書類の写しの提示を求められます。
- 「建設業退職金共済事業加入・履行証明書」(経営事項審査用)の写し
⑤退職一時金もしくは企業年金制度の導入
退職一時金または企業年金制度のどちらか一方の制度が、設けられていれば加点されます。
退職一時金は、一般に退職金と呼ばれているものです。
原則として、建設業に従事している全従業員を対象としなければなりません。
企業年金は、年金の形式で支給される場合のものをいいます。
大阪府では、以下のいずれかの書類の写しの提示を求められます。
- 中小企業退職金共済制度又は特定退職金共済団体制度への加入証明書
- 退職金制度に係る労働協約又は自社退職金制度の規定がある就業規則(10人以上の労働者を使用している場合にあっては、労働基準監督署の届出印があるもの。退職金規定が就業規則と別冊である場合にあっては、当該退職金規定及び就業規則)
- 厚生年金基金への加入証明書又は領収書(申請者名が記載され、審査基準月分を納付していることが確認できるもの)
- 確定拠出年金運営管理機関の発行する確定拠出年金への加入が確認できる証明書等
- 確定給付企業年金(確定給付企業年金法に規定する基金型企業年金及び規約型企業年金)の企業年金基金の発行する企業年金基金への加入が確認できる証明書等
- 資産管理運用機関との間の確定給付企業年金に関する契約書
⑥法定外労働災害補償制度の加入状況
政府が行っている労働災害補償制度に上積みして、労災補償を厚くしている制度が対象になります。
加点とされる要件として、以下の全てに該当する必要があります。
- 業務災害及び通勤災害のいずれも対象であること
- 職員及び下請負人の全てが対象であること
- 死亡及び障害等級第1級から第7級までが対象であること
- 全ての工事現場を補償していること
大阪府では、以下のいずれかの書類の写しの提示を求められます。
- (公財)建設業福祉共済団、(一社)全国建設業労災互助会、全日本火災共済協同組合連合会(旧:全国中小企業共済協同組合連合会)又は(一社)全国労働保険事務組合連合会の労働災害補償制度への加入証明書
- 労働災害総合保険若しくは準記名式の普通傷害保険の保険証券又は次の要件が確認できる保険会社又は中小企業等協同組合法に基づき共済事業を営む者の加入証明書
※当該保険証券等(保険約款は不可)の他、政府の労働災害補償保険に加入し、審査基準日までの保険料を納付済みであることを証する書面の写しが必要です。
⑦若年技術者及び技能者の育成及び確保の状況
若年技術者(35歳未満)の継続雇用と新規雇用について、 各1点加算されます。
- 継続雇用(35歳未満が15%以上)
審査基準日時点で、35歳未満技術職員数が、 技術職員数の15%以上のとき1点の加点になります。
若年技術職員数 >= 技術職員数 × 0.15
技術職員数は、技術職員名簿に記載された全ての人数です。
若年技術職員数は、技術職員名簿に記載された人のうち、「満年齢」欄が34歳以下の人数です。
- 新規雇用(35歳未満が1%以上)
審査基準日時点で、新たに技術職員となった35歳未満技術職員数が、 技術職員数の1%以上のとき1点の加点になります。
新規若年技術職員数 >= 技術職員数 × 0.01
技術職員数は、技術職員名簿に記載された全ての人数です。
新規若年技術職員数は、技術職員名簿に記載された人のうち、「満年齢」欄が34歳以下でかつ、「新規掲載者」欄に○印を記入した人数になります。
⑧知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況
令和3年4月から審査項目に加わった「CPD単位取得数」と「技能レベル向上者数」の項目です。
対象者は、以下の技術者と技能者です。
技術者は、審査基準日以前6か月を超える恒常的雇用関係及び常時雇用(法人の役員及び個人の事業主を含む)されている者で、以下の者が対象となります。
- 監理技術者になる資格を有する者
- 主任技術者になる資格を有する者
- 1級技士補及び2級技士補(施工管理技士試験の一次検定合格者)
技能者は、審査基準日以前6か月を超える恒常的雇用関係及び常時雇用(法人の役員及び個人の事業主を含む)されている者で、以下の者が対象となります。
- 審査基準日以前3年間に、建設工事の施工に従事した者であって、作業員名簿を作成する場合に建設工事に従事する者として氏名が記載される者
ただし、建設工事の施工の管理のみに従事する監理技術者や主任技術者は除く)
計算方法はとてもややこしいため、以下のページにてまとめています。
⑨ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況
審査基準日における各認定の取得をもって、以下の評点で評価します。
以下の取得している認定のうち、最も配点の高いものを評価します。(最大5点)
認定の区分 | 配点 | |
---|---|---|
女性活躍推進法に基づく認定 | プラチナえるぼし | 5点 |
えるぼし(第3段階) | 4点 | |
えるぼし(第2段階) | 3点 | |
えるぼし(第1段階) | 2点 | |
次世代法に基づく認定 | プラチナくるみん | 5点 |
くるみん | 3点 | |
トライくるみん | 3点 | |
若年雇用促進法に基づく認定 | ユースエール | 4点 |
- 女性活躍推進法に基づく認定
働く女性が活躍できる職場環境を、整えることを推進していくための法律です。- えるぼし認定
女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良である等の一定の要件を満たした場合に、認定が与えられます。
認定の段階は、「女性の職業生活における活躍の状況に関する実績に係る基準」を満たした数に応じて3段階あります。
プラチナえるぼし認定は、えるぼし認定を受けた事業主のうち、 一般事業主行動計画の目標達成や女性の活躍推進に関する取組の実施状況が特に優良である等の一定の要件を満たした場合に認定が与えられます。
- えるぼし認定
- 次世代法に基づく認定
企業が労働者の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を策定することを定めています。- くるみん認定
次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、 一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の3段階の認定をうけることができます。
- くるみん認定
- 若年雇用促進法に基づく認定
若者の雇用の促進等を図り、その能力を有効に発揮できる環境を整備するため、 若者の適職の選択並びに職業能力の開発及び向上に関する措置等を総合的に講じることを目的としています。- ユースエール
若者の採用・育成に積極的で、 若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業(常時雇用する労働者が300人以下の事業主)を厚生労働大臣が認定する制度です。
- ユースエール
⑩建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況
建設工事の担い手の育成・確保に向け、技能労働者等の適正な評価をするために、 就業履歴の蓄積のために必要な環境を整備することが必要であり、CCUSの活用状況を加点対象とします。
審査対象工事は、以下のすべてを実施している場合に加点されます。
- CCUS上での現場・契約情報の登録
- 直接入力によらない方法で、CCUS上に就業履歴を蓄積できる体制の整備
就業履歴データ登録標準API連携認定システムにより、 入退場履歴を記録できる措置を実施していること - 経営事項審査申請時に様式第6号に掲げる誓約書の提出
以下の工事は対象外となります。
- 日本国内以外の工事
- 建設業法施行令で定める軽微な工事
- 防災協定に基づく契約又は発注者の指示により実施された工事
該当要件 | 配点 | |
---|---|---|
民間工事を含む全ての建設工事で該当措置を実施した場合 | 15点 | |
全ての公共工事で該当措置を実施した場合 | 10点 |
審査基準日以前1年のうちに、審査対象工事を1件も発注者から直接請け負っていない場合には、加点されません。
W2:建設業の営業年数
①営業年数
建設業の許可を受けたときから起算して、審査基準日までの年数を計算します。
許可を受けずに営業した期間や、営業停止処分を受けていた期間は営業年数に含みません。
1年未満は切り捨てます。
民事再生法・会社更生法の適用を過去に受けて終結した場合は、 再生手続終結の決定又は更正手続終結の決定を受けた時から起算します。
再生手続または更生手続を行う以前の営業年数は、カウントできません。
営業年数5年以下は0点、6年以上35年までは、営業年数が1年増える毎に点数が2点アップします。
(最大60点:営業年数35年以上)
②民事再生法または会社再生法の適用の有無
平成23年4月1日以降に再生手続または更生手続の開始決定を受け、かつ、審査基準日以前に再生手続または更生手続終結の決定を受けていない場合に、以下のとおり減点されます。
適用有りの場合は-60点です。適用なしの場合は0点です。
W3:防災活動への貢献の状況
申請者が官公庁と防災協定を締結している場合に、加点評価されます。
防災協定とは、災害時の建設業者の防災活動等について定めた建設業者と国、特殊法人等又は地方公共団体との間の協定をいいます。
単に所属している建設業者団体が防災協定を締結しているだけでは、加点されません。
大阪府では、以下のいずれかの書類の写しの提示を求められます。
- 審査基準日において、申請者と国、地方公共団体等との間に、防災活動に関する協定を締結している場合の防災協定書
- 申請者の所属する団体が防災協定を締結している場合にあっては、防災協定書及び審査基準日現在において当該団体への加入を証明する書類
締結有りの場合は20点です。締結なしの場合は0点です。
W4:法令遵守の状況
審査対象となる年度内に、「指示処分」または「営業停止処分」を受けた場合に減点評価となります。
建設業許可を受けている建設会社は国土交通省のウェブサイトで処分情報などを検索できます。
営業停止処分は-30点、指示処分は-15点です。適用なしの場合は0点です。
W5:建設業の経理の状況
「監査の受審状況」と「公認会計士等の数」で審査されます。
①監査の受審状況
- 会計監査人の設置(20点)
監査法人や公認会計士を、会計監査人という会社の機関として設置した場合に加点されます。
監査証明書の写しを提出(無限定適正意見又は限定付適正意見の表明)
商業登記簿謄本の提示(会計監査人の登記を確認) - 会計参与の設置(10点)
会計参与は、税理士など一定の資格者が会社の取締役と共同して決算書を作成する会社の機関です。
会計参与報告書の写しを提出
商業登記簿謄本の提示(会計参与の登記を確認) - 経理処理の適正を確認した旨の書類の提出(2点)
社内の経理責任者が「建設業の経理が適正に行われたことに係る確認項目」を用いて自主監査を行い、署名した場合に加点されます。
署名できる者は以下のとおりです。- 公認会計士であって、公認会計士法第28条の規定による研修を受講した者
公認会計士として登録されていることが前提 - 税理士であって、所属税理士会が認定する研修を受講した者
税理士として登録されていることが前提 - 1級登録経理試験に合格した年度の翌年度の開始の日から5年経過していない者
- 1級登録経理講習を受講した年度の翌年度の開始の日から5年経過していない者
登録経理試験の合格後5年を経過した者は、登録経理講習を受講し、 かつ、試験に合格しなければ、経営事項審査の評価対象となりません。
令和5年3月までは経過措置が適用されていて、「登録経理試験」合格者のすべてが経営事項審査で評価されます。
- 公認会計士であって、公認会計士法第28条の規定による研修を受講した者
- 監査なし(0点)
②公認会計士の数
公認会計士等点数は、以下の算出式で算出した数値を、公認会計士等点数算出テーブルに当てはめて算出します。
公認会計士等数値=(公認会計士等の数×1)+(2級登録経理試験合格者の数×0.4)
公認会計士等の数は、以下に該当する人数です。
- 公認会計士であって、公認会計士法第28条の規定による研修を受講した者
公認会計士として登録されていることが前提 - 税理士であって、所属税理士会が認定する研修を受講した者
税理士として登録されていることが前提 - 1級登録経理試験に合格した年度の翌年度の開始の日から5年経過していない者
- 1級登録経理講習を受講した年度の翌年度の開始の日から5年経過していない者
登録経理試験の合格後5年を経過した者は、登録経理講習を受講し、 かつ、試験に合格しなければ、経営事項審査の評価対象となりません。
令和5年3月までは経過措置が適用されていて、「登録経理試験」合格者のすべてが経営事項審査で評価されます。
2級登録経理試験合格者の数は、以下に該当する人数です。
- 2級登録経理試験に合格した年度の翌年度の開始の日から、5年経過していない者
- 2級登録経理講習を受講した年度の翌年度の開始の日から、5年経過していない者
登録経理試験の合格後5年を経過した者は、登録経理講習を受講し、 かつ、試験に合格しなければ、経営事項審査の評価対象となりません。
令和5年3月までは経過措置が適用されていて、「登録経理試験」合格者のすべてが経営事項審査で評価されます。
公認会計士等点数算出テーブル
平均完成工事高 (億円) | 公認会計士等数値 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
10点 | 8点 | 6点 | 4点 | 2点 | 0点 | |
600億円以上 | 13.6以上 | 10.8以上 13.6未満 | 7.2以上 10.8未満 | 5.2以上 7.2未満 | 2.8以上 5.2未満 | 2.8未満 |
150億円以上 600億円未満 | 8.8以上 | 6.8以上 8.8未満 | 4.8以上 6.8未満 | 2.8以上 4.8未満 | 1.6以上 2.8未満 | 1.6未満 |
40億円以上 150億円未満 | 4.4以上 | 3.2以上 4.4未満 | 2.4以上 3.2未満 | 1.2以上 2.4未満 | 0.8以上 1.2未満 | 0.8未満 |
10億円以上 40億円未満 | 2.4以上 | 1.6以上 2.4未満 | 1.2以上 1.6未満 | 0.8以上 1.2未満 | 0.4以上 0.8未満 | 0.4未満 |
1億円以上 10億円未満 | 1.2以上 | 0.8以上 1.2未満 | 0.4以上 0.8未満 | ー | ー | 0 |
1億円未満 | 0.4以上 | ー | ー | ー | ー | 0 |
W6:研究開発の状況
研究開発の状況は、会計監査人設置会社のみが評価対象となります。
審査対象年と前年の2年平均の「研究開発費」の額が評価されます。
会計監査人が、「無限定適正意見」又は「限定付適正意見」を表明している場合に限ります。
会計監査人が署名押印した会計監査報告書と、決算変更届の注記表で確認されます。
大阪府では、有価証券報告書の提出が必要となります。
研究開発費評点算出テーブル
平均研究開発費の額 | 点数 | 平均研究開発費の額 | 点数 |
---|---|---|---|
100億円以上 | 25 | 11億円以上 12億円未満 | 12 |
75億円以上 100億円未満 | 24 | 10億円以上 11億円未満 | 11 |
50億円以上 75億円未満 | 23 | 9億円以上 10億円未満 | 10 |
30億円以上 50億円未満 | 22 | 8億円以上 9億円未満 | 9 |
20億円以上 30億円未満 | 21 | 7億円以上 8億円未満 | 8 |
19億円以上 20億円未満 | 20 | 6億円以上 7億円未満 | 7 |
18億円以上 19億円未満 | 19 | 5億円以上 6億円未満 | 6 |
17億円以上 18億円未満 | 18 | 4億円以上 5億円未満 | 5 |
16億円以上 17億円未満 | 17 | 3億円以上 4億円未満 | 4 |
15億円以上 16億円未満 | 16 | 2億円以上 3億円未満 | 3 |
14億円以上 15億円未満 | 15 | 1億円以上 2億円未満 | 2 |
13億円以上 14億円未満 | 14 | 5,000万円以上 1億円未満 | 1 |
12億円以上 13億円未満 | 13 | 5,000万円未満 | 0 |
W7:建設機械の保有状況
審査基準日において、建設機械を自ら所有している場合または、審査基準日から1年7か月以上の使用期間が定められているリース契約を締結している場合に、合計台数に応じて加点されます。
建設機械の保有状況点数は、建設機械の保有台数(1~15台)で加算され最高15点です。
建設機械を所有していない場合は0点です。
建設機械の保有台数と点数
建設機械の台数 | 点数 | 建設機械の台数 | 点数 |
---|---|---|---|
15台以上 | 15 | 7台 | 11 |
14台 | 15 | 6台 | 10 |
13台 | 14 | 5台 | 9 |
12台 | 14 | 4台 | 8 |
11台 | 13 | 3台 | 7 |
10台 | 13 | 2台 | 6 |
9台 | 12 | 1台 | 5 |
8台 | 12 | 保有なし | 0 |
評価対象になる建設機械は、以下の9種類です。
建設機械 | 範囲 |
---|---|
ショベル系掘削機 | ショベル、バックホウ、ドラグライン、クラムシェル、クレーン又はパイルドライバーのアタッチメントを有するもの |
ブルドーザー | 自重が3トン以上のもの |
トラクターショベル | バケット容量が0.4立方メートル以上のもの |
移動式クレーン | つり上げ荷重3トン以上のもの |
ダンプ車 | 土砂の運搬が可能な全てのダンプで、自動車検査証の車体の形状の欄に「ダンプ」、「ダンプフルトレーラ」又は「ダンプセミトレーラ」と記載されているもの |
モーターグレーダー | 自重が5トン以上のもの |
高所作業車 | 作業床の高さが2メートル以上のもの |
締固め用機械 | ロードローラー(ハンドガイドローラー含む)、タイヤローラー、振動ローラー |
解体用機械 | ブレーカー、鉄骨切断機、コンクリート圧砕機、解体用つかみ機 |
大阪府では、以下の書類の提出を求められます。
- 建設機械の保有状況一覧表(府様式第3号)
- 所有状況又は審査基準日から1年7か月以上の契約期間を有するリース状況が確認できる書類
- 売買契約書又は譲渡契約書(業者所有のダンプについては不要)
- リース契約書
出庫伝票や納品書などの書類は、リース契約書と認められません。
- 建設機械の写真(府様式第4号)
※ダンプ以外 - 審査基準日現在の正常に稼働する建設機械の保有状況が確認できるいずれかの書類の写し
- 移動式クレーンは「移動式クレーン検査証」
- ダンプは「自動車検査証」
※「所有者の氏名」「有効期限の満了する日」の記載がない場合は、併せて「自動車検査証記録事項」の写し - 上記2機種以外については「特定自主検査記録表」
審査基準日直前1年以内の検査分が必要
大阪府では売買契約書又は譲渡契約書を紛失して提出ができない場合は、当面の間、以下のいずれかの書類で代替書類を認めています。
- 社団法人日本建設機械工業会が制定する譲渡証明書の写し
- 販売元が発行する販売証明書又は譲渡人が発行する譲渡証明書の写し
※記載事項に要件があるため、手引きを確認すること - 請書の写し
※記載事項に要件があるため、手引きを確認すること - 「注文書又は請求書の写し」及び「領収書の写し」
※記載事項に要件があるため、手引きを確認すること - 「注文書又は請求書の写し」及び「預金通帳の写し」
※記載事項に要件があるため、手引きを確認すること - 固定資産税に係る償却資産申告書及び種類別明細書の写し又は法人税確定申告書及び減価償却費の計算の写し(審査基準日時点の所有の確認できるもの)
※記載事項に要件があるため、手引きを確認すること - 自動車検査証(審査基準日時点の所有の確認できるもの)
W8:国又は国際標準化機構が定めた規格による登録状況
審査基準日において、ISO9001、ISO14001、エコアクション21に登録している場合に 加点されます。(最高10点)
- ISO9001
製品やサービスの品質を向上させるための国際規格です。
「品質マネジメントシステム」と呼ばれる、組織の品質管理に関する仕組みを定めています。
良い製品やサービスを、継続的に提供するための仕組みを管理することを求めています。
お客様が望むものを提供して満足してもらうという、顧客満足度という観点も含まれます。 - ISO14001
企業や組織が環境への影響を最小限に抑えるための国際規格です。
「環境マネジメントシステム」と呼ばれる、組織の環境管理に関する仕組みを定めています。
組織が活動することで、自分たちを取り巻く人々・物・自然等々の環境に対して、 悪い影響を及ぼしていないかを確認して、及ぼしているなら改善していく仕組みです。 - エコアクション21
環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステムです。
環境経営システムの仕組みを作り、継続的に改善していくことにより、環境面だけでなく、経費の削減や生産性・歩留まりの向上、 目標管理の徹底等の、経営面での効果も上げることができます。
この評価は認証範囲が建設企業全体である場合においてのみ評価され、 認証範囲に建設業が含まれていない場合及び認証範囲が一部の支店等に限られている場合には、加点されません。
国際標準化機構の登録状況 | 点数 |
---|---|
ISO第9001号及びISO第14001号の登録 | 10 |
ISO第9001号の登録及びエコアクション21の認証 | 8 |
ISO第9001号の登録 | 5 |
ISO第14001号の登録 | 5 |
エコアクション21の認証 | 3 |
無 | 0 |
大阪府では、以下の書類の提出を求められます。
- ISO9001又はISO14001の規格による登録されていることを証明する書類及び当該書類に付属する書類の写し
- エコアクション21により認証されていることを証する書面の写し及び認証を受けている営業所が確認できる書面の写し
2.その他の審査項目(社会性等)(W)の点数アップ方法
W点については、審査基準日時点であるかないか、という状況を問われます。
そのため点数アップには、即効性があります。
費用対効果を見ながらでしょうが、決算日までに対策を打てることが魅力となります。
点数アップで外せないのは、以下の3点です。
いずれかに加入していると15点で、3つの制度に加入していると45点です。
- 建退共の加入状況
- 退職一時金もしくは企業年金制度の導入
- 法定外労働災害補償制度の加入状況
制度加入1つでも入っていると計算式では、131点にもなります。
15点×10×175/200=W(131点)
※小数点以下、切り捨て
制度3つとも入っていると計算式では、393点アップします。
45点×10×175/200=W(393点)
※小数点以下、切り捨て
P点換算すると、
(P点)=(X1点)×0.25+(X2点)×0.15+(Y点)×0.20+(Z点)×0.25+(W点)×0.15
※小数点以下、四捨五入
1つの加入で20点。
3つの加入で59点にもなります。
防災協定を締結している会社も多いです。
自治体と協定を締結している建設業者団体に加入することにより、緊急時の防災活動に一定の役割を果たすことを証明できれば加点対象となります。
防災協定は20点なので計算式では、175点にもなります。
20点×10×175/200=W(175点)
※小数点以下、切り捨て
P点換算すると、26点になります。
(P点)=(X1点)×0.25+(X2点)×0.15+(Y点)×0.20+(Z点)×0.25+(W点)×0.15
※小数点以下、四捨五入

W点は、他にも多岐にわたる審査項目です。
特定の業種に限定しない、申請業種すべてに点数アップが見込めるため、優先度の高い評価項目となるよ。