【経営事項審査】完成工事高(X1)の評点UP

経営事項審査の指標のひとつに、「完成工事高(X1)」があります。

「経営事項審査の評点をUPさせたいけど、どうすればいいのか」

などと、思ってはおられませんか?

完成工事高(X1)は、会社の経営規模の完成工事高を表します。
評点UPは、受注量を増大させることです。

1.完成工事高(X1)の算出方法

建設業者の規模を計るのに、「完成工事高(X1)」が使われます。
「完成工事高」とは、工事の売上高のことです。

経営事項審査の指標は、アルファベットで表します。

  • 経営規模の認定(X)
  • 技術力の評価(Z)
  • 社会性の確認(W)
  • 経営状況の分析(Y)

経営規模の認定(X)のみ、以下の2つに分かれます。

  • 完成工事高(X1)
  • 自己資本額および利益額(X2)

完成工事高(X1)は、総合評定値(P点)のウエイトで25%あります。
総合評定値(P点)とは経営事項審査の結果で、総合的に評価された点数のことです。
総合評定値(P点)は、申請業種ごとに算出されます。

完成工事高(X1)の評点幅は、最高2,309点~最低397点になります。
そして許可業種ごとに、完成工事高が評価されます。

審査基準日の直前2年平均、または3年平均を選択することができます。
自社の都合が良いように、有利なものを選択することができます。
ただし全ての許可業種で、2年平均または3年平均を統一しなければなりません。

ポイント

なぜ2年平均と3年平均の選択式になっているかというと、「激変緩和措置」というのを採用しています。
建設業者のリストラや急激な受注減などの変化があった場合に、評価の現象を緩やかにしています。

完成工事高(X1)の値は、申請する業種の直前2年又は3年の年間平均完成工事高を次の表に当てはめ算出します。

完成工事高評点 X1
1,000億円以上2,309
800億円以上1,000億円未満114×(年間平均完成工事高)/20,000,000 + 1,739
600億円以上800億円未満101×(年間平均完成工事高)/20,000,000 + 1,791
500億円以上600億円未満88×(年間平均完成工事高)/10,000,000 + 1,566
400億円以上500億円未満89×(年間平均完成工事高)/10,000,000 + 1,561
300億円以上400億円未満89×(年間平均完成工事高)/10,000,000 + 1,561
250億円以上300億円未満75×(年間平均完成工事高)/5,000,000 + 1,378
200億円以上250億円未満76×(年間平均完成工事高)/5,000,000 + 1,373
150億円以上200億円未満76×(年間平均完成工事高)/5,000,000 + 1,373
120億円以上150億円未満64×(年間平均完成工事高)/3,000,000 + 1,281
100億円以上120億円未満62×(年間平均完成工事高)/2,000,000 + 1,165
80億円以上100億円未満64×(年間平均完成工事高)/2,000,000 + 1,155
60億円以上80億円未満50×(年間平均完成工事高)/2,000,000 + 1,211
50億円以上60億円未満51×(年間平均完成工事高)/1,000,000 + 1,055
40億円以上50億円未満51×(年間平均完成工事高)/1,000,000 + 1,055
30億円以上40億円未満50×(年間平均完成工事高)/1,000,000 + 1,059
25億円以上30億円未満51 × (年間平均完成工事高) / 500,000 + 903
20億円以上25億円未満39 × (年間平均完成工事高) / 500,000 + 963
15億円以上20億円未満36 × (年間平均完成工事高) / 500,000 + 975
12億円以上15億円未満38 × (年間平均完成工事高) / 300,000 + 893
10億円以上12億円未満39 × (年間平均完成工事高) / 200,000 + 811
8億円以上10億円未満38 × (年間平均完成工事高) / 200,000 + 816
6億円以上8億円未満25 × (年間平均完成工事高) / 200,000 + 868
5億円以上6億円未満25 × (年間平均完成工事高) / 100,000 + 793
4億円以上5億円未満34 × (年間平均完成工事高) / 100,000 + 748
3億円以上4億円未満42 × (年間平均完成工事高) / 100,000 + 716
2.5億円以上3億円未満24 × (年間平均完成工事高) / 50,000 + 698
2億円以上2.5億円未満28 × (年間平均完成工事高) / 50,000 + 678
1.5億円以上2億円未満34 × (年間平均完成工事高) / 50,000 + 654
1.2億円以上1.5億円未満26 × (年間平均完成工事高) / 30,000 + 626
1億円以上1.2億円未満19 × (年間平均完成工事高) / 20,000 + 616
0.8億円以上1億円未満22 × (年間平均完成工事高) / 20,000 + 601
0.6億円以上0.8億円未満28 × (年間平均完成工事高) / 20,000 + 577
0.5億円以上0.6億円未満16 × (年間平均完成工事高) / 10,000 + 565
0.4億円以上0.5億円未満19 × (年間平均完成工事高) / 10,000 + 550
0.3億円以上0.4億円未満24 × (年間平均完成工事高) / 10,000 + 530
0.25億円以上0.3億円未満13 × (年間平均完成工事高) / 5,000 + 524
0.2億円以上0.25億円未満16 × (年間平均完成工事高) / 5,000 + 509
0.15億円以上0.2億円未満20 × (年間平均完成工事高) / 5,000 + 493
0.12億円以上0.15億円未満14 × (年間平均完成工事高) / 3,000 + 483
0.1億円以上0.12億円未満11 × (年間平均完成工事高) / 2,000 + 473
0.1億円未満131 × (年間平均完成工事高) / 10,000 + 397

評点に小数点以下の端数がある場合は切り捨て

2.完成工事高(X1)を評点アップする

完成工事高(X1)は、受注量をUPさせることで評点アップします。

ただし利益が少ない工事や赤字工事を受注し、財務内容に悪影響を及ぼしマイナスと働くこともあります。
完成工事高よりも利益に重点を置いた、制度設計が必要です。
無理に受注して完成工事高UPを狙うだけでなく、中長期的に受注活動を行う必要があります。

自社の得意業種を進展させ、独自の強みを磨くようにするとよいでしょう。
また作業効率に優れた機器やシステムの導入、優秀な若い人材を確保することも重要です。

完成工事高(X1)を評点アップするには、以下の2つのテクニックがあります。

  • 工事進行基準の採用
  • 完成工事高の業種間振替

(1)工事進行基準の採用

未成工事を「工事進行基準」を採用することで、一時的に完成工事高を増加させることができます。
「工事進行基準」とは、未完成の請負工事を工事の出来高に応じて完成工事高へ計上することです。

利益の前倒しとなるため納税額は増えますが、次期で清算されますので通算では一致します。

長期的に見ると、特段利益が増えたり減ったりするわけではありません。
税務申告にも関わるポイントのため、税理士等と相談のうえ慎重に進めていくほうがよいでしょう。

工事経歴書では、以下のように全期分と今期分を併記して記載します。

○○,○○○千円 ← 全期分
(○○,○○○千円) ← 今期分

(2)完成工事高の業種間振替

許可を持っている業種でも、経営事項審査を受審しない業種は、「その他」の完成工事高になります。
そのため評点には、全く貢献されません。

その場合に関連する審査を受ける業種に、完成工事高を積み上げることができます。
ただし無制限に積み上げができるわけではなく、関連性がある業種間に限って認められます。

よくあるのは、一式工事(土木・建築)に専門工事(土木系・建築系)を積み上げるパターンです。
積み上げた業種は、受審することはできません。

実は、完成工事高(X1)の評価は、同じ業種の「元請の完成工事高」も比例して評価されます。
「元請の完成工事高」で影響する指標は、以下の2つあります。

  • 技術力の評価(Z)
  • 建設業の経理の状況(W5)

技術力の評価(Z)では、「元請の完成工事高」が高いほど、点数が高くなる仕組みになっています。
建設業の経理の状況(W5)では、逆に「元請の完成工事高」が高いほど、点数が低くなる仕組みになっています。

3.完成工事高の虚偽申請防止

完成工事高(X1)では、完成工事高の水増し申請の虚偽申請防止が課題です。
そのため、以下の書類の提示を求めることになっています。

審査対象事業年度及び完成工事高計算基準の区分に応じた年度分に係る、次に掲げる全ての書類の写し

ア (法人)法人税確定申告書別表一(電子申告の場合は、受信通知を含む)及び決算報告書のうち損益計算書
(個人事業主)所得税確定申告書第一表(電子申告の場合は、受信通知を含む)、第二表及び収支内訳書又は青色申告決算書

イ 消費税及び地方消費税確定申告書控及び添付書類(税務署の受付印のあるもの。ただし電子申告の場合は、受信通知を含む)

ウ 消費税及び地方消費税納税証明書(その1・納税額等証明書用)※電子納税証明書は不可

基本的には、消費税確定申告書の課税標準額と、完成工事高は一致します。
完成工事高が課税標準額を上回っている場合、完成工事高を水増しする粉飾決算の疑いを持たれる可能性があります。

完成工事高が、消費税確定申告書の課税標準額を上回る場合は、完成工事高が正しくない場合があります。
その説明を求めますので、答えられるようにしておく必要があります。

完成工事高が課税標準額を上回っている場合の例

  • 完成工事高を税込みで処理していた
  • 不動産売買等の収入を完成工事高に含んでいた
  • 修正後の消費税確定申告書を提示していなかった

完成工事高が課税標準額を下回っている場合の例

  • 兼業の売上がある
  • 雑収入がある

消費税及び地方消費税確定申告書控の差引き税額(⑨欄)と地方消費税の納税額(⑳欄)の合計が、消費税及び地方消費税納税証明書(その1・納税額等証明書用)に記載された当該営業年度の納付すべき税額と一致していない場合も、理由を求められます。

必要に応じて修正申告書などの提示を求められます。
消費税納税証明書の確認は、消費税の滞納防止の観点から実施されます。

売上高や完成工事高の誤りなら、決算変更届や経営状況分析のやり直しになる場合があります。
課税額の誤りなら、修正申告の必要の場合があります。

もし虚偽申請の事実が故意に行われたと認められる場合は、建設業法違反として六月以下の懲役又は百万円以下の罰金の厳正な処分に処せられる可能性があります。

そうなの

4.まとめ

大まかに、まとめてみると。

  • 審査基準日の直前2年平均、または3年平均を選択することができる。
  • 未成工事を「工事進行基準」を採用することで、一時的に完成工事高を増加させることができる。
  • 関連する業種に、完成工事高を積み上げることができる。
  • 消費税確定申告書の課税標準額と、完成工事高が一致しないと説明を求められる。

兼業をしている場合は、兼業事業売上高の中に完成工事高への計上漏れがないか見直しましょう。
本来は完成工事高であるのに、設置工事等を考慮せずに兼業の売上高と捉えていないか確認が必要です。

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