【経営事項審査】技術力(Z)の評点UP

経営事項審査の指標のひとつに、「技術力(Z)」があります。
「経営事項審査の評点をUPさせたいけど、どうすればいいのか」
などと、思ってはおられませんか?
技術力(Z)は、技術者の能力向上が反映される審査項目です。
中長期的に、技術者や技能者のレベルアップを図る必要があります。
1.技術力(Z)の算出方法
建設業者の規模を計るのに、「技術力(Z)」が使われます。
「技術力」とは、 「業種別技術職員数」と「種類別年間平均元請完成工事高」から算出します。
経営事項審査の指標をアルファベットで表します。
(Z)とは、以下のように「技術力」を表しています。
- 経営規模の認定(X)
- 技術力の評価(Z)
- 社会性等の確認(W)
- 経営状況の分析(Y)
技術力(Z)は、総合評定値(P点)のウエイトで25%あります。
総合評定値(P点)とは経営事項審査の結果で、総合的に評価された点数のことです。
総合評定値(P点)は、申請業種ごとに算出されます。
技術力(Z)の評点幅は、最高2,441点~最低456点になります。
そして許可業種ごとに、技術力が評価されます。
算出方法は、業種別技術職員数と種類別年間平均元請完成工事高から算出します。
技術力(Z) = (業種別技術職員数 × 0.8) + (種類別年間平均元請完成工事高 × 0.2)
※小数点以下は切り捨て
業種別技術職員数
業種別技術職員数とは、審査基準日以前6か月を超える雇用関係があり、一定の資格や要件を満たしている者です。
実務経験者より、技術力が高いと認められる資格保有者の方が高評価です。
監理技術者講習や基幹技能者講習を修了した者は、保有資格に加点されます。
また改正建設業法に伴い、「1級技士補」と建設キャリアアップの「技能者レベル3および4」も技術職員として追加されました。
出向者も、出向元との雇用関係が明らかであれば加点対象です。
出向者は、経営業務の管理責任者や専任技術者になることもできます。
ただし、主任技術者や監理技術者になることはできません。
定年後の継続雇用制度の適用者は、必要書類を提出することにより、1年ごとの雇用契約更新でも技術職員として認められます、
複数の資格を持っている技術者は、評価の対象となるのは、1人2業種までです。
そのためどの資格で、どの業種に加点させるのか検討する必要があります。

得意とする業種に集中的に加点させることにより、独自の強みをアピールすることができます。
技術職員が保有する経審の評価対象となる資格に応じて加点され、総合的に技術力の評価が行われます。
(6点)1級資格者かつ監理技術者講習修了者
(5点)1級資格者のみ
(4点)1級技士補
(3点)登録基幹技能者、建設キャリアアップ4
(2点)2級資格者、建設キャリアアップ3
(1点)その他の技術者(10年以上の実務経験者など)
技術職員数値 = (6点保持者数 × 6) + (5点保持者数 × 5) + (4点保持者数 × 4) + (3点保持者数 × 3) + (2点保持者数 × 2) + (1点保持者数 × 1)
技術職員数値を算出後、以下の表に当てはめて技術職員数点数を算出します。
技術職員数値 | 点数 |
---|---|
15,500以上 | 2,335 |
11,930以上~15,500未満 | 62 × (技術職員数値) / 3,570 + 2,065 |
9,180以上~11,930未満 | 63 × (技術職員数値) / 2,750 + 1,998 |
7,060以上~9,180未満 | 62 × (技術職員数値) / 2,120 + 1,939 |
5,430以上~7,060未満 | 62 × (技術職員数値) / 1,630 + 1,876 |
4,180以上~5,430未満 | 63 × (技術職員数値) / 1,250 + 1,808 |
3,210以上~4,180未満 | 63 × (技術職員数値) / 970 + 1,747 |
2,470以上~3,210未満 | 62 × (技術職員数値) / 740 + 1,686 |
1,900以上~2,470未満 | 62 × (技術職員数値) / 570 + 1,624 |
1,460以上~1,900未満 | 63 × (技術職員数値) / 440 + 1,558 |
1,130以上~1,460未満 | 63 × (技術職員数値) / 330 + 1,488 |
870以上~1,130未満 | 62 × (技術職員数値) / 260 + 1,434 |
670以上~870未満 | 63 × (技術職員数値) / 200 + 1,367 |
510以上~670未満 | 62 × (技術職員数値) / 160 + 1,318 |
390以上~510未満 | 63 × (技術職員数値) / 120 + 1,247 |
300以上~390未満 | 62 × (技術職員数値) / 90 + 1,183 |
230以上~300未満 | 63 × (技術職員数値) / 70 + 1,119 |
180以上~230未満 | 62 × (技術職員数値) / 50 + 1,040 |
140以上~180未満 | 62 × (技術職員数値) / 40 + 984 |
110以上~140未満 | 63 × (技術職員数値) / 30 + 907 |
85以上~110未満 | 63 × (技術職員数値) / 25 + 860 |
65以上~85未満 | 62 × (技術職員数値) / 20 + 810 |
50以上~65未満 | 62 × (技術職員数値) / 15 + 742 |
40以上~50未満 | 63 × (技術職員数値) / 10 + 633 |
30以上~40未満 | 63 × (技術職員数値) / 10 + 633 |
20以上~30未満 | 62 × (技術職員数値) / 10 + 636 |
15以上~20未満 | 63 × (技術職員数値) / 5 + 508 |
10以上~15未満 | 62 × (技術職員数値) / 5 + 511 |
5以上~10未満 | 63 × (技術職員数値) / 5 + 509 |
5未満 | 62 × (技術職員数値) / 5 + 510 |
算出した評点に、小数点以下の端数があった場合は切り捨てます。
種類別年間平均元請完成工事高
元請完成工事高の平均年数は、2年か3年のどちらかになります。
完成工事高評点X1算出時に選択した、平均年数と同じ年数になります。
審査対象業種ごとの元請完成工事高を、以下の表に当てはめて工事種類別年間平均元請完成工事高の点数を算出します。
元請完成工事高 | 点数 |
---|---|
1,000億円以上 | 2,865 |
800億円以上1,000億円未満 | 119×(年間平均元請完成工事高)/20,000,000 + 2,270 |
600億円以上800億円未満 | 145×(年間平均元請完成工事高)/20,000,000 + 2,166 |
500億円以上600億円未満 | 87×(年間平均元請完成工事高)/10,000,000 + 2,079 |
400億円以上500億円未満 | 104×(年間平均元請完成工事高)/10,000,000 + 1,994 |
300億円以上400億円未満 | 126×(年間平均元請完成工事高)/10,000,000 + 1,906 |
250億円以上300億円未満 | 76×(年間平均元請完成工事高)/5,000,000 + 1,828 |
200億円以上250億円未満 | 90×(年間平均元請完成工事高)/5,000,000 + 1,758 |
150億円以上200億円未満 | 110×(年間平均元請完成工事高)/5,000,000 + 1,678 |
120億円以上150億円未満 | 81×(年間平均元請完成工事高)/3,000,000 + 1,603 |
100億円以上120億円未満 | 63×(年間平均元請完成工事高)/2,000,000 + 1,549 |
80億円以上100億円未満 | 75×(年間平均元請完成工事高)/2,000,000 + 1,489 |
60億円以上80億円未満 | 92×(年間平均元請完成工事高)/2,000,000 + 1,421 |
50億円以上60億円未満 | 55×(年間平均元請完成工事高)/1,000,000 + 1,367 |
40億円以上50億円未満 | 66×(年間平均元請完成工事高)/1,000,000 + 1,312 |
30億円以上40億円未満 | 79×(年間平均元請完成工事高)/1,000,000 + 1,260 |
25億円以上30億円未満 | 48×(年間平均元請完成工事高)/500,000 + 1,209 |
20億円以上25億円未満 | 57×(年間平均元請完成工事高)/500,000 + 1,164 |
15億円以上20億円未満 | 70×(年間平均元請完成工事高)/500,000 + 1,112 |
12億円以上15億円未満 | 50×(年間平均元請完成工事高)/300,000 + 1,072 |
10億円以上12億円未満 | 41×(年間平均元請完成工事高)/200,000 + 1,026 |
8億円以上10億円未満 | 47×(年間平均元請完成工事高)/200,000 + 996 |
6億円以上8億円未満 | 57×(年間平均元請完成工事高)/200,000 + 956 |
5億円以上6億円未満 | 36×(年間平均元請完成工事高)/100,000 + 911 |
4億円以上5億円未満 | 40×(年間平均元請完成工事高)/100,000 + 891 |
3億円以上4億円未満 | 51×(年間平均元請完成工事高)/100,000 + 847 |
2.5億円以上3億円未満 | 30×(年間平均元請完成工事高)/50,000 + 820 |
2億円以上2.5億円未満 | 35×(年間平均元請完成工事高)/50,000 + 795 |
1.5億円以上2億円未満 | 45×(年間平均元請完成工事高)/50,000 + 755 |
1.2億円以上1.5億円未満 | 32×(年間平均元請完成工事高)/30,000 + 730 |
1億円以上1.2億円未満 | 26×(年間平均元請完成工事高)/20,000 + 702 |
0.8億円以上1億円未満 | 29×(年間平均元請完成工事高)/20,000 + 687 |
0.6億円以上0.8億円未満 | 36 × (年間平均元請完成工事高) / 20,000 + 659 |
0.5億円以上0.6億円未満 | 22 × (年間平均元請完成工事高) / 10,000 + 635 |
0.4億円以上0.5億円未満 | 27 × (年間平均元請完成工事高) / 10,000 + 610 |
0.3億円以上0.4億円未満 | 31 × (年間平均元請完成工事高) / 10,000 + 594 |
0.25億円以上0.3億円未満 | 19 × (年間平均元請完成工事高) / 5,000 + 573 |
0.2億円以上0.25億円未満 | 23 × (年間平均元請完成工事高) / 5,000 + 553 |
0.15億円以上0.2億円未満 | 28 × (年間平均元請完成工事高) / 5,000 + 533 |
0.12億円以上0.15億円未満 | 19 × (年間平均元請完成工事高) / 3,000 + 522 |
0.1億円以上0.12億円未満 | 16 × (年間平均元請完成工事高) / 2,000 + 502 |
0.1億円未満 | 341 × (年間平均元請完成工事高) / 10,000 + 241 |
算出した評点に、小数点以下の端数があった場合は切り捨てます。
2.技術力(Z)を評点アップする
技術力(Z)は、高い資格を持った技術職員を増やし、元請の完成工事高の増加をあげることで評点アップします。
技術力(Z)を評点アップするには、以下の2つがポイントです。
- 技術職員に資格を取得させる
- 元請工事の受注を増やす
(1)技術職員に資格を取得させる
技術者は上位資格を取得し、技能者は建設キャリアアップのレベル3以上を目指すことになります。
資格手当ての支給を整備し、より高い資格を持つ技術職員を増やします。
一級技術者には講習を受講してもらい、1点でも高い技術職員にします。
1級資格者が監理技術者講習を修了すれば、5点から6点にUPします。
2級資格者が基幹技能者講習を受講すれば、2点から3点にUPします。
技術職員の数を増やせば、技術職員数の評点UPには繋がります。
ただし収益性を無視した増員は、人件費が収益を圧迫する恐れもあります。
そのため現在の技術職員の範囲で、より多くの点数が得られる資格を取得することを考えます。
業種の加点対象となる資格を確認したうえで、各検定試験や講習などを申請します。
資格取得をしたものに、報奨金を出すなども検討しましょう。
(2)元請工事の受注を増やす
短期的に元請工事を増やすのは難しいため、中長期的な視点で検討する必要があります。
公共工事か民間工事の別は問われません。
地道に元請工事を請負うことで、実績を積んでいきましょう。
3.まとめ

大まかに、まとめてみると。
- 技術者は上位資格を取得し、技能者は建設キャリアアップのレベル3以上を目指す。
- 資格取得をしたものに、報奨金を出すなど社内環境を整備する。
- 元請工事を、受注できる社内体制を整えておく。
技術者の能力向上には、社内環境を整え、社員一同で目標を定めて進めていくことが望ましいでしょう。
公共工事の受注に繋げれば、費用以上の効果を得られます。
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