【経審】令和5年1月の経営事項審査の改正点を解説

令和5年1月の経営事項審査の改正点を解説
令和5年1月の経営事項審査の改正点を解説

こんにちは。
大阪府吹田市のCCUS登録行政書士 岩田眞と申します。

令和5年1月から、経営事項審査の社会性(W点)が改正されました。

これまではW1~10の10項目で評価されていました。
改正案では、W1~8項目とスリム化しています。

改正案
出典:国土交通省ウェブサイト (https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001470540.pdf)

1.ワーク・ライフ・バランス(WLB)に関する取組の状況

業界全体のイメージアップのために、ワーク・ライフ・バランス(WLB)の実現に関する取り組みを評価することになりました。

今回経審改正案に入ってきたのは、以下の3つです。

  • 「えるぼし認定」
    女性活躍推進法に基づき、女性の活躍推進に関する取組の実施状況等が優良な企業を厚生労働大臣が認定。
  • 「くるみん認定」
    次世代育成支援対策推進法に基づき、一定の要件を満たした企業を「子育てサポート企業」として厚生労働大臣が認定。
  • 「ユースエール認定」
    若者雇用促進法に基づき、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定。

複数の認定を取得している場合は、1番評価の高い区分の加点になります。

ワーク・ライフ・バランス(WLB)に関する取組の状況
出典:国土交通省ウェブサイト (https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001470540.pdf)

2.CCUSの導入状況

建設キャリアアップシステム(CCUS)に就業実績を蓄積するためには、元請事業者がCCUSの事業者登録を行ない、建設現場ごとに現場登録を実施します。

カードリーダーの設置等就業履歴の蓄積のためには、必要な環境を整備することが必要です。

運用上は、要件に該当する旨の誓約書の提出と抽出調査等による確認をもって加点になる予定です。
(虚偽の申請により得た評点を公共発注者に提出し、当該結果が資格審査に用いられたことが明らかになった場合、建設業法第28条に基づく営業停止処分等に該当するおそれがあります)

要件評点
直近事業年度に施工した全ての元請け工事において、CCUS上の現場登録とカードリーダー設置等の就業履歴を蓄積するために必要な措置を講じていること。15
直近事業年度に施工した全ての元請け公共工事において、CCUS上の現場登録とカードリーダー設置等の就業履歴を蓄積するために必要な措置を講じていること。10

3.建設機械の保有状況を拡大

防災の観点から災害時の復旧対応に使用され、定期検査により保有・稼働確認ができる建設機械の保有状況を加点評価としています。

加点対象となっていなかった建設機械を、今回の改正で加点対象となります。

  • ロードローラ、振動ローラ等(締固め用機械)
  • ブレーカ、解体用掴み機等(解体用機械)
  • 高所作業車(その他)
  • 最大積載量5トン未満のダンプ
建設機械の保有状況
出典:国土交通省ウェブサイト (https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001470540.pdf)

4.エコアクション21の追加

環境マネジメントシステムISO14001に対して加点がありましたが、中小企業では取得割合が少ないのが現状です。

中小企業においても、脱炭素を含め環境問題への取り組みが改めて求められているため、エコアクション21も対象になりました。

ISO14001とエコアクション21の両方がある場合は、ISO14001のみ評価されます。

エコアクション21の追加
出典:国土交通省ウェブサイト (https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001470540.pdf)

5.気を付けるべき点

令和5年8月14日以降を審査基準日とする申請において、P点に占めるW点のウェイトが大きく増加するため、各項目間のバランスを維持するべく、総合評定値算出に係る係数が変更されます。

今回のように、経審の制度改正は度々起こりますので、初めて経審を受ける建設会社がゼロから自社のみの力で手続きを処理するのは、なかなか難しいと思います。

「経営事項審査を受けたいけど時間がない」
「経営事項審査の受け方がわからない」

という方は、当事務所に一度ご相談下さい。