経営事項審査は、入札から逆算して考えよう

Youtube動画でも、軽く内容をアップしています。

こんにちは。
大阪府吹田市の行政書士いわた事務所です。

経審に興味はあるけど、申請の流れがややこしくてお悩みの方もおられます。

経営事項審査の流れや内容を理解すると、公共工事の入札にも計画が立てやすくなります。

この記事では、経審を受けたい方に向けて説明しています。

1.経営事項審査の流れは?

経営事項審査を受けるには、下記の手順で審査を受けなければなりません。

  1. 建設業許可を取得していること
    必ず建設業許可を、取得している必要があります。
    もちろん建設業許可の有効期限が、切れていてはダメです。
  2. 決算日に財務諸表を作成する
    税理士が税務署に提出している税務申告用の決算報告を書き換えて、建設業法に基づく財務諸表を作成します。
    経審を受ける場合、課税業者の場合は税抜きで作成する必要があるので注意が必要です。
    税込みで作成された財務諸表を、税抜きで建設業法用に書き換える作業は手間がかかります。
  3. 決算変更届を提出する
    建設業許可を受けている業者さんは、決算日から4か月以内に決算変更届を提出しなければなりません。
    建設業法用に作成した財務諸表だけでなく、経営事項審査ルールで作成した工事経歴書、直税3年の各事業年度における工事施工金額や納税証明書などを準備する必要があります。
  4. 経営状況分析の申請を行う
    建設業法用に作成した財務諸表などを経営状況分析機関へ提出し、財務状況を点数化してもらいます。
    経営状況分析機関とは、国交省に認可された民間の法人が行なっております。
    手数料や結果が出るまでの時間は、分析機関によって違います。

    実務上は、決算変更届より経営状況分析の申請を先にする方が良いかと思います。
    提出した建業法用の財務諸表を、修正や訂正を求められることがあるためです。
  5. 経営事項審査を受審する
    許可行政庁に、経営規模等評価申請書を提出します。
    経営状況分析の結果通知書も、一緒に提出する必要があります。
    経営事項審査を行う際の手数料も、支払う必要があります。
    申請から大体1ヶ月程度で、経営事項審査の結果通知書を取得できます。
7合目が経営事項審査

公共工事受注が頂上であるとすれば、9合目が入札、8合目が入札参加資格、
7合目が経営事項審査というところです。

入札から逆算して、スケジュール管理や点数管理をするのが重要です。

2.経営事項審査を受けることができる有効期間は?

経営事項審査の結果通知書の有効期限は、基準となる決算期から1年7か月です。

経営事項審査の通知書が発行された日でもなく、申請をした日でもありません。
「審査を受ける直前の決算日」の基準から、1年7か月です。

「審査を受ける直前の決算日」は、原則「審査基準日」と呼ばれて重要な基準となる日です。
審査基準日をもとに経営状況や、会社の規模や技術力などを基に審査されます。

1年ではなく、1年7か月である理由は、申請の準備期間や審査期間など時間を要するためです。

経営事項審査の有効期間

申請時に既に新しい決算日(審査基準日)を迎えている場合、
従前の決算日(審査基準日)では審査を受けることはできないので注意してください。

3.経営事項審査を受けるメリットとデメリット

経営事項審査のメリット

  1. 公共工事を、直接請け負える
    経営事項審査を受けてから、公共工事の入札に参加し、入札できると公共工事を受注することができます。
    企業としては、安定した工事を請け負うことができ、経営面でも非常にプラスとなります。
  2. 客観的な評価で点数化され、経営状況を把握することができる
    全国共通の審査方法で、総合的に点数化して評価されます。
    客観的に自社を評価することができ、審査結果がHP等で公開されます。
    自社の良い点と改善すべき点が明確にわかり、経営状況の把握をすることができます。
  3. 大規模な工事に携わることができる
    公共工事は、民間工事と比較して、工事の規模も大きくなります。
    小さな工事より大きな工事を請け負った方が、利益としても大きくなります。
  4. 会社の信用度に繋がる
    発注者側としても、点数化されていない建設業者よりも、点数化されている建設業者の方が信用できます。
    経営事項審査を受け続け、公共工事を受注することで、実績も上がっていきます。
  5. 貸し倒れがない
    公共工事では、国や市町村が発注する工事ですので、貸し倒れのようなケースは生じません。
    リスクが少ないのがメリットです。

経営事項審査のデメリット

  1. 手続きが複雑
    経営事項審査を受けるには、決算が終了してから、財務諸表を作成します。
    様々な書類を集め、記入漏れがないよう慎重に進めていく必要があります。
    書類に不備等あれば、その都度足を運ばなければなりません。
  2. 費用がかかる
    経営事項審査には、有効期限があります。
    毎年入札手続きをするには、毎年更新を行うことが必要です。
    その分申請時に、費用がかかります。