【工事経歴書】作成するときに気を付けるポイント

気を付けるポイント

工事経歴書とは、1年間に行った工事の内容を報告する書類です。
工事経歴書は、決算変更届、新規申請、業種追加、般特新規や経営事項審査の申請手続きに提出が必要です。

「工事経歴書なんて適当でいいんじゃない」

などと、思ってはおられませんか?

工事経歴書を作成することで、申請者の施工した工事が一目瞭然となります。

1.工事経歴書の書き方

こちらが工事経歴書のフォーマットです。

工事経歴書のフォーマット

工事経歴書には、工事実績の全てを記載する必要はありません。
記載する方法は、経営事項審査を受ける場合と受けない場合で異なります。

ポイント

また記載方法も申請先によって、違ってきます。
申請先の手引きを確認して、確認しながら記載しましょう。

経営事項審査を受けない場合の書き方

請負代金の額は、「税込み」と「税抜き」のどちらで記載してもOKです。
ただし他の作成書類全てにおいて、統一しなければなりません。

  • 主な完成工事について、請負代金の額の大きい順に記載します。
  • それに続けて、未成工事の請負代金の額の大きい順に記載します。

経営事項審査を受ける場合の書き方

請負代金の額は、「税抜き」で記載します。(免税業者は税込みで作成)
経営事項審査を受ける場合、直前の決算変更届も「税抜き」で作成します。

  • 元請工事を、「元請のみの完成工事高の合計」の7割を超えるまで、請負代金の大きい順に記載します。
  • 残りの元請工事と下請工事を、「完成工事高総合計」の7割を超えるまで、請負代金の大きい順に記載します。

※ただし軽微な工事(建築一式工事は1,500万円未満、以外の工事は500万円未満)が10件達すれば、大阪府では7割を満たす前に終了ができます。


気を付けないといけない点は、軽微な工事は税込みで考えなければなりません。
工事経歴書には税抜きで作成しますが、税込みで考えると軽微な工事の金額を超える場合があります。

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2.工事経歴書に書く内容

工事経歴書の各項目の説明を行います。

工事経歴書

建設工事の種類
工事の業種別ごとに作成します。
工事実績がなくても、「なし」と記載して作成します。

1つの工事の中で、複数業種の工事がある場合は、主たる業種の工事に振り分けます。
1件の請負金額を分割して複数の建設工事の経歴は記載せずに、請負工事ごとに判断します。

またありがちですが、専門工事なのに一式工事の実績として記載しないようにしてください。

税込・税抜
経審を受けない場合・・・税込、税抜どちらでもOKですが、他の書類も合わせて統一しなければなりません。
経審を受ける場合・・・税抜で統一して作成します。(免税業者は税込みで作成)

注文者
契約書や注文書などの注文者を記載します。

法人の場合・・・そのまま法人名を記載します。
個人の場合・・・個人情報保護により、名前をそのまま記載しないようにします。(例:注文者『田中勝男』→『個人T』と記載。)

元請又は下請の別
施主から直接受注を受けた場合・・・「元請」と記載します。
施主から直接受注を受けていない場合・・・「下請」と記載します。

JVの別
JV(共同企業体)で施工した場合のみ、「JV」と記載します
一つの工事を施工する際に、複数の企業が共同で工事を受注し施工する場合です。
請負代金の額は、請負代金の額に出資の割合を乗じた額又は分担した工事額を記載します。

工事名
契約書や注文書などの工事名を記載します。
個人名が含まれている場合は、個人情報保護により、そのまま記載しないように気をつけます。
(例:工事者『田中邸新築工事』→『T邸新築工事』と記載。)

工事現場のある都道府県及び市区町村名
工事場所の都道府県及び市区町村を記入します。
都道府県だけでなく、市区町村名まで書いてくださいね。
また

配置技術者
技術者の氏名を記入し、主任技術者または監理技術者のどちらかの区分にチェックを入れます。

主任技術者・・・建設業の許可を受けた者が建設工事を施工する場合には、元請・下請や請負金額に係わらず、工事現場での工事の施工技術上の管理をつかさどる者として、主任技術者を配置しなければならないことになっています。


監理技術者・・・発注者から直接請け負った建設工事(元請として受注した工事)を施工するために締結した下請契約の請負代金の額の合計が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上となる場合には、特定建設業の許可が必要となるとともに、主任技術者に代えて監理技術者を配置しなければなりません。

工事経歴書

請負代金の額
契約書や注文書を見て、千円未満切り捨てで記載します。

工事進行基準を採用の場合、二段書きで契約金額を上段に、当期の出来高を下段に括弧書きで記載します。
PC工事、法面処理工事、鋼橋上部工事がある場合は、内訳を別途記載する箇所があります。

建設工事に該当しない兼業事業は、工事経歴書に含めないように気を付けてください。

工期
契約上の工期ではなく、実際の着工年月と引き渡した年月を記載します。

工事経歴書

小計
小計は、ページごとの請負金額合計を記載します。
複数ページに渡るとき、ページごとの合計を記載します。

合計
最終ページの合計欄に、業種ごとの請負金額合計を記載します。
全業種の合計を記載するわけではありません。

3.工事経歴書で注意すべきポイント

(1)配置技術者の配置方法に気を付けよう

工事経歴書では、配置技術者の配置方法が建設業法違反とならないように気を付ける必要があります。
建設業許可業者は、請け負った現場に配置技術者(主任技術者または監理技術者)を必ず配置しなければなりません。

配置技術者に専任技術者がなる事は、原則出来ません(一人親方は例外あり)。
また専任を求められる現場の場合は、配置技術者は他の現場の配置技術者と兼任することは出来ません。
配置技術者は、建設業法上様々な制限が設けられています。

工事経歴書で、ルールを逸脱した配置技術者の配置がされていると指摘を受ける事になります。
普段から正しく配置技術者に関するルールを理解し、正しい配置を行うことが重要です。

(2)業種の振り分けに気を付けよう

建設工事の種類で、業種の振り分けは慎重に行うようにしましょう。

例えば、専任技術者の退職による交代で、実務経験によって変更届を提出することになった場合です。
審査のために、過去の工事実績の整合性がチェックされます。

このときに業種の振り分けに問題があると、申請したい業種の工事実績から除外されてしまいます。
工事経歴書の書き方がまずかったために、許可を失う可能性があります。

まとめ

大まかに、まとめてみると。

  • 経営事項審査を受ける場合と受けない場合で、工事経歴書の書き方は異なる。
  • 1件の請負金額を分割して複数の建設工事の経歴は記載せずに、請負工事ごとに判断すること。
  • 専門工事なのに、一式工事の実績として記載していないこと。
  • 個人の注文者の場合は、個人情報保護により、名前をそのまま記載しないようにすること。
  • 工事実績がなくても、「なし」と記載して作成すること。
  • 配置技術者に専任技術者がなる事は、原則できない。(一人親方は例外あり)
  • 建設工事に該当しない兼業事業は、工事経歴書に含めないこと。

工事経歴書は記載事項が多く、細かいルールがあります。
指示に従って、間違いのない工事経歴書を作成しなければなりません。

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