【経営事項審査】経営規模(X2)の評点UP

経営規模

経営事項審査の指標のひとつに、「経営規模(X2)」があります。

「経営事項審査の評点をUPさせたいけど、どうすればいいのか」

などと、思ってはおられませんか?

経営規模(X2)は、「自己資本額」と「平均利益額」が大きいほど評点アップします。
対策としては、自己資本額、営業利益と減価償却費のそれぞれを大きくしていくことです。

1.経営規模(X2)の算出方法

建設業者の規模を計るのに、「経営規模(X2)」が使われます。
「経営規模」とは、 「自己資本額」と「平均利益額」から算出します。

経営事項審査の指標をアルファベットで表します。

  • 経営規模の認定(X)
  • 技術力の評価(Z)
  • 社会性等の確認(W)
  • 経営状況の分析(Y)

経営規模の認定(X)のみ、以下の2つに分かれます。

  • 完成工事高(X1)
  • 経営規模(X2)

経営規模(X2)は、総合評定値(P点)のウエイトで15%あります。
総合評定値(P点)とは経営事項審査の結果で、総合的に評価された点数のことです。
総合評定値(P点)は、申請業種ごとに算出されます。

経営規模(X2)の評点幅は、最高2,280点~最低454点になります。
経営規模(X2)の算出は、業種によって変わることはなく共通です。

算出方法は、自己資本額点数と平均利益額点数から算出します。

経営規模(X2) = (自己資本額 + 平均利益額) / 2

※小数点以下は切り捨て

自己資本額

「自己資本額」は、貸借対照表の純資産合計です。
2年平均するかしないかを選択できます。

ポイント

自己資本額は、以下の表に当てはめて算出します。

自己資本額点数
3,000億円以上2,114
2,500億円以上3,000億円未満63 × (自己資本額) ÷ 50,000,000 + 1,736
2,000億円以上2,500億円未満73 × (自己資本額) ÷ 50,000,000 + 1,686
1,500億円以上2,000億円未満91 × (自己資本額) ÷ 50,000,000 + 1,614
1,200億円以上1,500億円未満66 × (自己資本額) ÷ 30,000,000 + 1,557
1,000億円以上1,200億円未満53 × (自己資本額) ÷ 20,000,000 + 1,503
800億円以上1,000億円未満61 × (自己資本額) ÷ 20,000,000 + 1,463
600億円以上800億円未満75 × (自己資本額) ÷ 20,000,000 + 1,407
500億円以上600億円未満46 × (自己資本額) ÷ 10,000,000 + 1,356
400億円以上500億円未満53 × (自己資本額) ÷ 10,000,000 + 1,321
300億円以上400億円未満66 × (自己資本額) ÷ 10,000,000 + 1,269
250億円以上300億円未満39 × (自己資本額) ÷ 5,000,000 + 1,233
200億円以上250億円未満47 × (自己資本額) / 5,000,000 + 1,193
150億円以上200億円未満57 × (自己資本額) / 5,000,000 + 1,153
120億円以上150億円未満42 × (自己資本額) / 3,000,000 + 1,114
100億円以上120億円未満33 × (自己資本額) / 2,000,000 + 1,084
80億円以上100億円未満39 × (自己資本額) / 2,000,000 + 1,054
60億円以上80億円未満47 × (自己資本額) / 2,000,000 + 1,022
50億円以上60億円未満29 × (自己資本額) / 1,000,000 + 989
40億円以上50億円未満34 × (自己資本額) / 1,000,000 + 964
30億円以上40億円未満41 × (自己資本額) / 1,000,000 + 936
25億円以上30億円未満25 × (自己資本額) / 500,000 + 909
20億円以上25億円未満29 × (自己資本額) / 500,000 + 889
15億円以上20億円未満36 × (自己資本額) / 500,000 + 861
12億円以上15億円未満27 × (自己資本額) / 300,000 + 834
10億円以上12億円未満21 × (自己資本額) / 200,000 + 816
8億円以上10億円未満24 × (自己資本額) / 200,000 + 801
6億円以上8億円未満30 × (自己資本額) / 200,000 + 777
5億円以上6億円未満18 × (自己資本額) / 100,000 + 759
4億円以上5億円未満21 × (自己資本額) / 100,000 + 744
3億円以上4億円未満27 × (自己資本額) / 100,000 + 720
2.5億円以上3億円未満15 × (自己資本額) / 50,000 + 711
2億円以上2.5億円未満19 × (自己資本額) / 50,000 + 691
1.5億円以上2億円未満23 × (自己資本額) / 50,000 + 675
1.2億円以上1.5億円未満16 × (自己資本額) / 30,000 + 664
1億円以上1.2億円未満13 × (自己資本額) / 20,000 + 650
0.8億円以上1億円未満16 × (自己資本額) / 20,000 + 635
0.6億円以上0.8億円未満19 × (自己資本額) / 20,000 + 623
0.5億円以上0.6億円未満11 × (自己資本額) / 10,000 + 614
0.4億円以上0.5億円未満14 × (自己資本額) / 10,000 + 599
0.3億円以上0.4億円未満16 × (自己資本額) / 10,000 + 591
0.25億円以上0.3億円未満10 × (自己資本額) / 5,000 + 579
0.2億円以上0.25億円未満12 × (自己資本額) / 5,000 + 569
0.15億円以上0.2億円未満14 × (自己資本額) / 5,000 + 561
0.12億円以上0.15億円未満11 × (自己資本額) / 3,000 + 548
0.1億円以上0.12億円未満8 × (自己資本額) / 2,000 + 544
0.1億円未満223 × (自己資本額) / 10,000 + 361

自己資本額がマイナスの場合は、0として算出します。
算出した評点に、小数点以下の端数があった場合は切り捨てます。

平均利益額

「平均利益額」は、利払前税引前償却前利益の2期平均値(審査基準年と前期の平均値)です。
「利払前税引前償却前利益」は、下記の計算式で算出します。

利払前税引前償却前利益 = 営業利益 + 減価償却実施額

平均利益額は、以下の表に当てはめて算出します。

平均利益額点数
300億円以上2,447
250億円以上300億円未満134 × (平均利益額) ÷ 5,000,000 + 1,643
200億円以上250億円未満151 × (平均利益額) / 5,000,000 + 1,558
150億円以上200億円未満175 × (平均利益額) / 5,000,000 + 1,462
120億円以上150億円未満123 × (平均利益額) / 3,000,000 + 1,372
100億円以上120億円未満93 × (平均利益額) / 2,000,000 + 1,306
80億円以上100億円未満104 × (平均利益額) / 2,000,000 + 1,251
60億円以上80億円未満122 × (平均利益額) / 2,000,000 + 1,179
50億円以上60億円未満70 × (平均利益額) / 1,000,000 + 1,125
40億円以上50億円未満79 × (平均利益額) / 1,000,000 + 1,080
30億円以上40億円未満92 × (平均利益額) / 1,000,000 + 1,028
25億円以上30億円未満54 × (平均利益額) / 500,000 + 980
20億円以上25億円未満60 × (平均利益額) / 500,000 + 950
15億円以上20億円未満70 × (平均利益額) / 500,000 + 910
12億円以上15億円未満48 × (平均利益額) / 300,000 + 880
10億円以上12億円未満37 × (平均利益額) / 200,000 + 850
8億円以上10億円未満42 × (平均利益額) / 200,000 + 825
6億円以上8億円未満48 × (平均利益額) / 200,000 + 801
5億円以上6億円未満28 × (平均利益額) / 100,000 + 777
4億円以上5億円未満32 × (平均利益額) / 100,000 + 757
3億円以上4億円未満37 × (平均利益額) / 100,000 + 737
2.5億円以上3億円未満21 × (平均利益額) / 50,000 + 722
2億円以上2.5億円未満24 × (平均利益額) / 50,000 + 707
1.5億円以上2億円未満27 × (平均利益額) / 50,000 + 695
1.2億円以上1.5億円未満20 × (平均利益額) / 30,000 + 676
1億円以上1.2億円未満15 × (平均利益額) / 20,000 + 666
0.8億円以上1億円未満16 × (平均利益額) / 20,000 + 661
0.6億円以上0.8億円未満19 × (平均利益額) / 20,000 + 649
0.5億円以上0.6億円未満12 × (平均利益額) / 10,000 + 634
0.4億円以上0.5億円未満12 × (平均利益額) / 10,000 + 634
0.3億円以上0.4億円未満15 × (平均利益額) / 10,000 + 622
0.25億円以上0.3億円未満8 × (平均利益額) / 5,000 + 619
0.2億円以上0.25億円未満10 × (平均利益額) / 5,000 + 609
0.15億円以上0.2億円未満11 × (平均利益額) / 5,000 + 605
0.12億円以上0.15億円未満7 × (平均利益額) / 3,000 + 603
0.1億円以上0.12億円未満6 × (平均利益額) / 2,000 + 595
0.1億円未満78 × (平均利益額) / 10,000 + 547

平均利益額がマイナスの場合は、0として算出します。
算出した評点に、小数点以下の端数があった場合は切り捨てます。

2.経営規模(X2)を評点アップする

経営規模(X2)は、「自己資本額」と「平均利益額」が大きいほど評点アップします。
対策としては、自己資本額、営業利益と減価償却費のそれぞれを大きくしていくことです。

いずれも会社の経営状況との関連性が強いため、短期間で結果を出すのは難しいです。
中長期的な目標を定めたうえで、進めていくことが望ましいでしょう。

なるほど

経営規模(X2)を評点アップするには、以下の2つのテクニックがあります。

  • 利益剰余金の拡大
  • 減価償却費の拡大

(1)利益剰余金の拡大

「自己資本額」は、決算書のうち貸借対照表の資産総額から負債総額を差し引いた、純資産合計です。
「純資産合計」は、毎年の利益を社内留保した「繰越利益剰余金」と、株主出資の「資本金」および「資本剰余金」を合計したものです

「繰越利益剰余金」は、今までの純利益が蓄積したものであるため、短期間でUPさせることはできません。
毎年の利益を計上して、「繰越利益剰余金」を拡大していきましょう。

短期的な対策は「資本金」の増資です。
ですが、法人住民税が増えたり、中小企業の優遇措置から外れる場合もあります。
担当税理士と相談してからの方が良いでしょう。

「自己資本額」点数では、過去から現在までの蓄積利益の合計額ですので、大きい建設業者が有利になります。
いかに利益剰余金を残せるかが、ポイントになります。

2)減価償却費の拡大

平均利益額は、営業利益と減価償却費で決まります。

「営業利益」を大きくするには、本業で稼ぐ企業努力によるところが大きいです。
「減価償却費」は、ある程度の操作が可能です。

減価償却費は、建設機械等の保有状況により変わってきます。
この保有とは、自社で保有していることを指します。

そのため建設機械等を導入する際は、レンタルより自社保有(リースを含む)を選択する方が有利になります。
建設機械の固定資産が増えることは、工事の施工能力があるとして評価されます。
建設機械の保有は、社会性等(W)にも加点になります。

しかし減価償却費の拡大を優先しすぎる設備投資は、自社の首を絞める結果になることもあります。
経営状況のバランスをみながら、計画的な設備投資を心掛けましょう。

3.まとめ

大まかに、まとめてみると。

  • 中長期的に利益計上し、自己資本額を積み増しする。
  • 建設機械などの設備投資で、自社施工能力を高める。
  • 不要な設備投資を行わない。

利益の積み重ねで自己資本を増やすことは、短期的になんとかできるものではありません。
中長期的な視野で、コツコツと自己資本を大きくする必要があります。

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