自己資本額と平均利益額(X2点)で点数アップしたい

経営事項審査とは、公共工事の受注をめざす建設業者に義務づけられている審査です。
その中の評価項目の一つとして、「自己資本額」と「平均利益額」を確認する(X2点)があります。

この記事では『経営事項審査』を受けたい建設業者様のために、「自己資本額」と「平均利益額」(X2点)で点数アップをしたい方に向けて説明しています。

1.自己資本額と平均利益額(X2)の算出方法

経営事項審査は、以下の計算式で総合評点値(P点)を算出します。

総合評定値(P点)=(X1点)×0.25+(X2点)×0.15+(Y点)×0.20+(Z点)×0.25+(W点)×0.15

経営事項審査の指標をアルファベットで表します。
自己資本額と平均利益額(X2点)は、総合評定値(P点)のウエイトで15%あることになります。

自己資本額は、会社の体力を表し、平均利益額は会社が生み出す価値を表しています。
X2点の評点幅は、最高2,280点~最低454点になります。

算出方法は、自己資本額点数と平均利益額点数から算出します。
自己資本額と平均利益額(X2) = (自己資本額の点数 + 平均利益額の点数) / 2
※小数点以下は切り捨て

自己資本額と平均利益額の金額を、それぞれの点数表があるので当てはめて点数にします。
そのうえで、上記の算出式に当てはめます。

自己資本額も平均利益額も0円に満たないマイナスの場合は、0円として計算します。

自己資本額とは

「自己資本額」は、貸借対照表の純資産の額です。

「基準決算」と「2期平均」のどちらかを選択して、申請することができます。
自己資本額は高いほどP点が上がります。

直前決算単年のほうが純資産の額が高ければ、「1.基準決算」を選択します。
直前々決算と直前決算の2期平均の額が高ければ、「2.2期平均」を選択します。

自己資本額の入力例
福島県の経営事項審査の手引きより引用

平均利益額とは

「平均利益額」は、利払前税引前償却前利益の2期平均値(審査基準年と前期の平均値)です。
本業の事業活動での利益「営業利益」と、財務諸表の費用として計上している「減価償却実施額」を合算します。

減価償却実施額は、損益計算書の「販売費及び一般管理費」の「減価償却実施額」だけでなく、工事原価や兼業原価に含まれているものも合算して構いません。
そのため「確定申告書の別表16」も確認を必要とします。

「利払前税引前償却前利益」は、下記の計算式で算出します。
利払前税引前償却前利益 = 営業利益 + 減価償却実施額

平均利益額は、単年か2期平均かを選択することはできません。
必ず2期平均の額で申請することになります。

利益額の入力例
福島県の経営事項審査の手引きより引用

2.自己資本額と平均利益額(X2)の点数アップ方法

「自己資本額」と「平均利益額」(X2点)をアップさせる方法は、企業の財務体質を強化することが基本となります。

経営規模の大きい大会社に有利に働く傾向があります。
いずれも会社の経営状況との関連性が強いため、中小企業が行える対策には限りがあります。

あえて経営規模(X2)の点数アップをするには、2つのテクニックがあります。

  1. 「自己資本額」の点数アップ
    自己資本額である「純資産合計」は、毎年の利益を社内留保した「繰越利益剰余金」と、株主出資の「資本金」および「資本剰余金」を合計したものです。
    毎年の利益を計上し、「繰越利益剰余金」を拡大していきます。
  2. 「平均利益額」の点数アップ
    平均利益額は、「営業利益」と「減価償却費」で決まります。
    減価償却費は、建設機械等の保有状況により変わってきます。
    建設機械等を導入する際は、レンタルより自社保有(リースを含む)を選択する方が有利になります。

減価償却費をきちんと費用に組み込んで、そのうえで利益を出せるようにすることが大切だよ。