【営業所要件】「独立性の確保」と「業務の継続性」が大事

営業所要件

建設業許可に必要な要件のひとつに、「営業所要件」があります。

「適当に事務所を用意すればいいだろ」

などと、思ってはおられませんか?

「営業所」にあたる場所は、形式としてではなく、「実態として」どうなっているのかを重要視されます。

1.「営業所」の要件

営業所の要件は、申請先の都道府県によって対応が違います。
大阪府での営業所調査は、基本的に書類審査だけで終わります。

「営業所」は、常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。
請負契約の見積り、入札、協議など請負契約の締結を実際に行います。

単なる登記上の本店や作業所などは、建設業法上の営業所に該当しません。
他の営業所に請負契約に関する指導監督を行うなど、建設業に関する営業に実質的に関与するものは、「営業所」に該当します。

ポイント

大阪府の手引きでは、以下のように要件が定められています。
原則として、以下のすべてに該当することを必要とします。

  • 事務所など建設業の営業を行うべき場所を、常時使用する権限を有していること
  • 建物の外観又は入口等において、申請者の商号又は名称が確認できること
  • 固定電話、事務機器、机等什器備品を備えていること
  • 許可を受けた建設業者にあっては、営業所ごとに法第40条に基づく標識(建設業の許可票)を掲げていること
  • 支店等の代表者が常勤しており、かつ契約締結等に関する権限を申請者から委任されていること
  • 専任技術者が営業所に常勤して、専らその職務に従事していること

(1)事務所など建設業の営業を行うべき場所を、常時使用する権限を有していること

自己物件か、賃貸借契約を結んでいる必要があります。
気を付けることは、賃貸借契約書の場合の「使用目的」です。
賃貸借契約書の「目的」欄に「居住用にかぎる」だと、許可申請をすることができません。

家主に、賃貸借契約書を「事務所利用も可」等に書き換えるか、使用承諾書を貰わなければなりません。
必要に応じて、不動産登記簿謄本、賃貸借契約書又は使用承諾書等の提示を求める場合があります。

(2)建物の外観又は入口等において、申請者の商号又は名称が確認できること

看板、標識などで、外部から建設業の営業所であることが分かるようにしなければなりません。
集合ポストに自社名や、入口ドアに自社名の表示が必要です。
自宅兼事務所であっても商号などを併記し、建設業者であることが分かるようにしましょう。

(3)固定電話、事務機器、机等什器備品を備えていること

申請書に記入する電話番号は、固定電話の電話番号でなければなりません。
営業所には見積書などを作成するため、事務作業ができる設備が整っていなければなりません。

(4)許可を受けた建設業者にあっては、営業所ごとに法第40条に基づく標識(建設業の許可票)を掲げていること

各営業所ごとに、室内に標識(建設業の許可票)掲示します。
金看板と呼ばれ、許可年月日や許可業種が書かれている物です。
本当に金看板である必要は無く、紙で作成された物でも大丈夫です。

また業種追加や一部廃業、更新などにより情報が変わったときは、その都度正しい内容に変更した許可票を掲示するようにしてください。

建設業の許可票

(5)支店等の代表者が常勤しており、かつ契約締結等に関する権限を申請者から委任されていること

建設業許可の要件である、本店・本社には「経営業務の管理責任者」が常勤していなければなりません。
支店・支社には、「令3条の使用人」が常勤しなければなりません。
遠隔地に住んでおり、通勤が不可能な場合は認められません。

(6)専任技術者が営業所に常勤して、専らその職務に従事していること

建設業許可の要件である、「専任技術者」が常勤していなければなりません。

2.営業所要件の注意点

(1)転送不要郵便
建設業許可が下りると、許可行政庁から「建設業許可通知書」が本店に郵送されます。
本当にその場所に建設業の営業所が存在しているのか、所在確認を兼ねているため転送することは出来ません。

もし許可行政庁へ返戻されてしまった場合、営業所の実態を確認できてからの再送となります。
転送の手続きをしているときは、転送取消しの手続きを忘れないように注意してください。

(2)独立性の確保
営業所には、独立性を求められます。
自宅を事務所とする場合は、住居の部分と事務所の部屋を別々に確保する必要があります。

入り口が1つで、同じ部屋に別法人が混在している場合はアウトです。
固定式パーティションにより仕切りで区切り、他の事務所部分を通らずに事務所に入れるようにしなければなりません。

(3)レンタルオフィスで取得できる?
レンタルオフィスでの許可申請は、かなり厳しいです。
しかし、「レンタルオフィスは建設業の営業所として認めない」と明確に定められてはいません。

  • 物理的に、業務を継続的に行える機能があること。
  • 社会通念上、事務所として独立した形態を備えていること。

営業所のキーポイントは、「独立性の確保」と「業務の継続性」です。

条件さえクリアできれば、認められる可能性があります。
レンタルオフィスでの許可申請を考えておられる場合は、契約する前に許可行政庁へ事前に相談する方が無難でしょう。

なるほど

まとめ

大まかに、まとめてみると。

  • 請負契約の見積り、入札、契約締結などの実態的な業務を行っていること。
  • 常時使用する権原を有していること。(自己所有、使用貸借、賃貸借など)
  • 電話、机、各種事務台帳などを備え、事務作業ができる設備が整っていること。
  • 「経営業務の管理責任者」または「令3条の使用人」が、常勤していること。
  • 専任技術者が、常勤していること。
  • 営業所としての独立性を、確保していること。
  • レンタルオフィスでの許可申請は厳しいが、全く認められないわけではない。

建設業法でいう「営業所」とは、常時建設工事の請負契約を締結する事務所のことをいいます。
一般的な営業所とは少し異なりますので、ご注意ください。

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