経審「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」の計算方法を徹底解説!

経営事項審査のW点、特に「W1:建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況」がとても大切です。

W1点にはたくさんの項目がありますが、今回はその中でも「⑧知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」に焦点を当てて、詳しくご説明したいと思います。

この項目で加点を目指すには、技術者と技能者のスキルアップへの取り組みが評価されます。

この「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」における「継続学習(CPD)の実施状況」の点数計算方法には、技術者と技能者で明確な違いがあります。

「CPDって何?」という方もいらっしゃるかもしれませんので、基本から分かりやすく、そして優しくお伝えしていきますね!

1.「知識及び技術」の加点ポイントって何?

経審のW1点には、従業員の皆さんがどれだけスキルアップに取り組んでいるかを評価する項目があります。

それが「⑧知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」です。

この項目では、具体的に「技術者等の継続学習の実施状況」が評価の対象となります。

簡単に言うと、会社が従業員の皆さんの学びをどれだけ応援しているか、そして従業員の方々がどれだけ積極的に知識や技術を磨いているか、という点が見られているんです。

点数は、0点から最大10点まで加点される可能性があります。

この10点という点数は、経審全体から見ても決して小さくない加点ですので、ぜひとも狙っていきたいポイントですね!

この評価項目は、取得単位などの合計数値の絶対数で評価されません。

在籍する技術者や技能者の、1人当たりに換算した比率で評価されます。

そのため、技術者や技能者が多い在籍する建設業者は、その在籍者数に見合った点数を取得しないと望むような評価を得ることはできません。

一部の技術者と技能者でなく、全社的な取り組みが必要となります。

2.技術者の「継続学習(CPD)の実施状況」(最大5点)の計算方法

技術者(技術士、1級・2級施工管理技士など)については、国土交通大臣認定のCPD制度等で取得したCPD単位の合計によって評価されます。

  • ステップ1:対象となる技術者の確認
    • 経審の対象となるすべての技術者が評価対象です。
      技術者とは、審査基準日以前6か月を超える恒常的雇用関係及び常時雇用(法人の役員及び個人の事業主を含む)されている者で、以下の者が対象となります。
      • 主任技術者になる資格を有する者
      • 監理技術者になる資格を有する者
      • 1級技士補及び2級技士補(施工管理技士試験の一次検定合格者)
  • ステップ2:各技術者のCPD単位の合計
    • 審査基準日からさかのぼって1年間に、各技術職員が取得したCPD単位を合計します。
       
      審査基準日前1年間に、技術者が取得したCPD単位を「告示別表第18」に当てはめて下記の計算式で「換算後の取得数」を求めます。
      小数点以下は切り捨てにし、「換算後の取得数」の上限は30単位です。

      (取得単位数)÷(告示別表第18の係数)×30=換算後の取得数
       
告示別表第18
公益社団法人空気調和・衛生工学会50公益社団法人日本建築士会連合会12
一般財団法人建設業振興基金12公益社団法人日本造園学会50
一般社団法人建設コンサルタンツ協会50公益社団法人日本都市計画学会50
一般社団法人交通工学研究会50公益社団法人農業農村工学会50
公益社団法人地盤工学会50一般社団法人日本建築士事務所協会連合会12
公益社団法人森林・自然環境技術教育研究センター20公益社団法人日本建築家協会12
公益社団法人全国上下水道コンサルタント協会50一般社団法人日本建設業連合会12
一般社団法人全国測量設計業協会連合会20一般社団法人日本建築学会12
一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会20一般社団法人建築設備技術者協会12
一般社団法人全日本建設技術協会25一般社団法人電気設備学会12
土質・地質技術者生涯学習協議会50一般社団法人日本設備設計事務所協会連合会12
公益社団法人土木学会50公益財団法人建築技術教育普及センター12
一般社団法人日本環境アセスメント協会50一般社団法人日本建築構造技術者協会12
公益社団法人日本技術士会50
  • ステップ3:技術者一人あたりの平均CPD単位の算出
    • 各個人のCPD単位を合計し、それを対象となる技術者の総人数で割って、「一人あたりの平均CPD単位」を算出します。
       
      そして以下の計算式のとおり、審査基準日現在の在籍技術者数で割り、「技術者1人あたりのCPD取得単位数」を求めます。
      その「技術者1人あたりのCPD取得単位数」を、技術者算出テーブルに当てはめ「技術者点」を求めます。
       
      (全技術者のCPD単位取得数)÷(審査基準日現在の在籍技術者数)=技術者1人あたりのCPD取得単位数
       
技術者算出テーブル
技術者1人あたりの
CPD取得単位数
技術者点技術者1人あたりの
CPD取得単位数
技術者点
301012以上 15未満4
27以上 30未満99以上 12未満3
24以上 27未満86以上 9未満2
21以上 24未満73以上 6未満1
18以上 21未満63未満0
15以上 18未満5

3.技能者の「能力評価(レベルアップ)」(最大5点)の計算方法

技能者については、建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録された「能力評価制度におけるレベルアップ数」によって評価されます。

これは、技能者がCCUS上で設定された能力評価基準に基づき、技能レベルを向上させた数が加点に直結するという、非常に分かりやすい仕組みです。

  • ステップ1:対象となる技能者の確認
    • 経審の対象となるすべての建設キャリアアップシステム(CCUS)登録技能者が評価対象です。
      技能者とは、審査基準日以前6か月を超える恒常的雇用関係及び常時雇用(法人の役員及び個人の事業主を含む)されている者で、以下の者が対象となります。
      • 審査基準日以前3年間に、建設工事の施工に従事した者であって、作業員名簿を作成する場合に建設工事に従事する者として氏名が記載される者
        ただし、建設工事の施工の管理のみに従事する監理技術者や主任技術者は除く
  • ステップ2:レベルアップした技能者の比率を求める
    • 審査基準日からさかのぼって3年間に、各CCUS登録技能者がCCUSの能力評価制度においてレベルアップした回数をカウントします。
       
      審査基準日以前3年の間に、建設キャリアアップシステムの認定能力判定基準でレベルアップした技能者を全技能者で割り、100をかけてレベルアップした技能者の比率を求めます。
      ただし審査基準日3年前時点でレベル4の技能者は、全技能者数から控除します。
      計算式は以下のとおりです。
       
      (審査基準日以前3年間に1以上レベルアップした技能者数)÷(審査基準日現在の在籍技能者数ー審査基準日3年前時点でレベル4の技能者)×100=レベルアップした技能者の比率
  • ステップ3:技能者算出テーブルに当てはめ「技能者点」を求める
    • 求めた「レベルアップした技能者の比率」を、技能者算出テーブルに当てはめ「技能者点」を求めます。
技能者算出テーブル
レベルアップした技能者の比率技能者点レベルアップした技能者の比率技能者点
15%以上106%以上 7.5%未満4
13.5%以上 15%未満94.5%以上 6%未満3
12%以上 13.5%未満83%以上 4.5%未満2
10.5%以上 12%未満71.5%以上 3%未満1
9%以上 10.5%未満61.5%未満0
7.5%以上 9%未満5

4.「知識及び技術」の最終的な合計点(技術者と技能者を合算)

最終的な「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」の評価点は、以下の計算で算出されます。

  • (技術者数÷(技術者数+技能者数))×技術者点+(技能者数÷(技術者数+技能者数))×技能者点=合算数値

求められた「合算数値」を、以下の最終の算出テーブルに当てはめて評点が求めることができます。

最終の算出テーブル
合算数値評点合算数値評点
10104以上 5未満4
9以上 10未満93以上 4未満3
8以上 9未満82以上 3未満2
7以上 8未満71以上 2未満1
6以上 7未満61未満0
5以上 6未満5

5.技術者と技能者の兼用(計算シミュレーション)

技術者と技能者は、兼用することができます。
例えば、以下の条件で技術者と技能者がいる場合、計算をシミュレーションしてみましょう。

  1. 技術者と技能者を合わせて、AからGの7名の職員を雇用。
  2. A~Dの4名は、建設工事の施工管理のみ従事。
  3. F及びGの2名は、建設工事の施工に従事し、施工管理には従事しない。
  4. Eは建設工事の施工に従事するが、主任技術者となる資格を有する。
技術者と技能者

各技術者A~EのCPD単位は、以下のとおりとします。

氏名認定CPD単位CPD認定団体告示別表第18
20空気調和・衛生工学会10
10建設業振興基金9
50建設コンサルタンツ協会8
31交通工学研究会7
80地盤工学会6

換算後の取得数を求めるため、以下のとおり計算します。
小数点以下は、切り捨てにします。

  • A:20÷50×30=12
  • B:10÷12×30=25
  • C:50÷50×30=30
  • D:31÷50×30=18
  • E:80÷50×30=48

12+25+30+18+30=115

全技術者のCPD単位取得数を求めると、「115」になります。

全技術者のCPD単位取得数(115) ÷ 全技術者数(5) = 23

技術者1人あたりのCPD取得単位数は、「23」になります。
技術者算出テーブルに当てはめると、技術者点は「7」になります。

技術者算出テーブル
技術者1人あたりの
CPD取得単位数
技術者点技術者1人あたりの
CPD取得単位数
技術者点
301012以上 15未満4
27以上 30未満99以上 12未満3
24以上 27未満86以上 9未満2
21以上 24未満73以上 6未満1
18以上 21未満63未満0
15以上 18未満5

次に技能者E~Gのレベル向上は、以下のとおりだとします。

氏名3年前のレベル審査基準日時点のレベル
レベル2レベル2
レベル4レベル4
レベル1レベル2

Eは、レベルが変わらないため、「レベル向上なし」になります。
Fは、3年前からレベル4のため、「控除対象」になります。
Gは、今回レベルが上がっているため、「レベル向上あり」になります。

技能レベル向上者数(1) ÷ 技術者数(3) - 控除対象者数(1) = 50%

レベルアップした技能者の比率は、50%になります。
技能者算出テーブルに当てはめると、技術者点は「10」になります。

技術者算出テーブル
技術者1人あたりの
CPD取得単位数
技術者点技術者1人あたりの
CPD取得単位数
技術者点
301012以上 15未満4
27以上 30未満99以上 12未満3
24以上 27未満86以上 9未満2
21以上 24未満73以上 6未満1
18以上 21未満63未満0
15以上 18未満5

「技術者点」と「技能者点」を合算し、「合算数値」を求めます。

(技術者数(5)÷(技術者数+技能者数(8))×技術者点(7))+(技能者数(3)÷(技術者数+技能者数(8))×技能者点(10)= 8.125

求められた「合算数値」を、最終の算出テーブルに当てはめると評点は「8」になります。

最終の算出テーブル
合算数値評点合算数値評点
10104以上 5未満4
9以上 10未満93以上 4未満3
8以上 9未満82以上 3未満2
7以上 8未満71以上 2未満1
6以上 7未満61未満0
5以上 6未満5

6.会社としてできること:両方の側面を「総合的に」高める

一人の従業員をどちらか一方で評価するとはいえ、会社としては、技術者も技能者も、すべての従業員が「知識及び技術又は技能」を向上させるための取り組みを続けるべきです。

例えば、

  • 技術者には、CPD単位取得を促し、最新の技術や法令を学ぶ機会を提供しましょう。
  • 技能者には、CCUSのレベルアップを目指してもらい、実務経験を積み、専門技能講習の受講を支援しましょう。

会社全体の「知識及び技術又は技能の向上に関する体制の整備状況」は、どちらの立場の方への支援であっても評価対象となります。

つまり、技術者への研修も、技能者への技能講習支援も、会社全体の「学びを応援する姿勢」として、この点数に繋がってくるのです。

技術者にはCPD単位、技能者にはCCUSでのレベルアップを継続的に促すといった取り組みを進めてみてください。

従業員の皆さんの成長が会社の力となり、ひいては経審の点数アップにも繋がります。

この情報が、あなたの事業の発展に少しでも貢献できれば幸いです。