【建設業許可】役員変更の日から30日以内に届出

役員の変更

役員(取締役)の就任や退任があった場合は、登記手続きを行います。
その後に、建設業許可の変更届を提出しなければなりません。

「変更手続きなんて、めんどくさい」

などと、思ってはおられませんか?

変更届を提出していないと、更新申請、業種追加、経営事項審査を受け付けてもらえません。
また変更届の未提出や提出期限が遅れた場合は、処罰の対象です。

1.役員が就任したとき

役員(取締役)が新たに就任した場合、就任承諾の日から2週間以内に登記が必要です。
法務局に申請後、1~2週間で登記が完了します。

建設業許可では、役員就任の変更届は就任の日から30日以内が期限です。
役員には、監査役などは含まれません。

登記申請に1~2週間かかるため、タイトなスケジュールになります。

役員就任の必要書類は、以下になります。

  • 変更届出書(第一面)
  • 役員等の一覧表
  • 誓約書
  • 登記されていないことの証明書(発行日から3か月以内)
  • 市町村の長の証明書(発行日から3か月以内の原本)
  • 就任した役員の住所・生年月日等に関する調書
  • 登記事項証明書(発行日から3か月以内の原本)

登記事項証明書の取り方

許可を申請するものが法人の場合、法人情報を証明する書類です。
履歴事項全部証明で、取締役の就任期間を特定したり、重任登記を行っていることの確認をします。

履歴事項全部証明では記載がされていない、もっと昔の情報が欲しい場合があります。
その場合は、「閉鎖事項全部証明」で確認します。

登記事項証明書は、各都道府県に置かれる法務局(本局/支局/出張所)で入手することができます。
どなたでも取得できますので、本人確認書類や印鑑は不要です。
請求手続きは、窓口での交付請求のほか、郵送による交付請求や、オンラインによる交付請求を行うことができます。

登記事項証明書

市町村の長の証明書の取り方

建設業許可で必要とする市町村の長の証明書(身分証明書)は、個人が法律上の行為能力を備えているかを証明する書類です。
具体的には、次のことを証明します。

  • 破産宣告または破産手続開始決定の通知を受けていない。
  • 禁治産または準禁治産の宣言の通知を受けていない。
  • 後見の登記の通知を受けていない。

請求できるのは本人、もしくは代理人による請求の場合は「委任状」が必要になります。
請求手続きは、本籍地の市役所・区役所・町村役場の戸籍課に、窓口または郵送にて請求します。

市町村の長の証明書(身分証明書)

登記されていないことの証明書の取り方

「登記されていないことの証明書」とは、成年後見制度の利用者を登記している「後見登記等ファイル」に登録されていないことを証明する書類です。
取得方法は、東京法務局後見登録課、または、全国の法務局・地方法務局の本局戸籍課窓口で取得することができます。

請求できるのは、本人もしくは本人の四親等内の親族で、代理人による請求の場合は「委任状」が必要になります。
郵送による請求もできますが、東京法務局後見登録課の1カ所のみの受付となります。
郵送による請求の場合、一週間程度かかることもありますので、余裕をもって請求するようにしましょう。

申請では、申請用紙の「証明を受ける方」の記載がそのまま証明書に使用されます。
住所や本籍地は、記載ミスのないように注意が必要です。

登記されていないことの証明書

2.役員が退任したとき

役員は、任期満了・辞任・解任・死亡・破産・欠格事由に該当したことなどで退任します。
役員(取締役)が退任した場合、退任の日から2週間以内に登記が必要です。
法務局に申請後、1~2週間で登記が完了します。

役員退任でも、変更届は退任の日から30日以内が期限です。

役員退任の必要書類は、以下になります。

  • 変更届出書(第一面)
  • 役員等の一覧表
  • 登記事項証明書(発行日から3か月以内の原本)

役員の交代の場合は、就任と退任の両方の変更届出書を提出します。

退任する役員が、「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」を兼務しているときは注意が必要です。
「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」は許可要件ですので、1日でも不在となると許可取消の対象となります。

そして「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」を兼ねる役員を変更するときは、提出期限が変わってきます。
提出期限が、就任や退任の日から2週間以内となります。

「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」の実務経験を証明するためには、多くの資料が必要となります。

「経営業務の管理責任者」の交代時に必要書類は、以下になります。

  • 変更届出書(第一面)
  • 経営業務の管理責任者証明書
  • 経営業務の管理責任者 略歴書
  • 商業登記簿謄本
  • 常勤性の確認書類
  • 経営経験の確認書類

「専任技術者」の交代時に必要書類は、以下になります。

  • 変更届出書(第一面)
  • 専任技術者の一覧表
  • 専任技術者証明書
  • 技術的資格を証する書類(実務経験証明書・卒業証書の写し又は卒業証明書 の原本・国家資格等の資格を証する書面の写し・監理技術者資格者証 の写し・指導監督的実務経験証明書・登録解体工事講習修了証の写し)
  • 実務経験確認書類

3.役員が急な出来事で亡くなった場合

「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」を兼ねる役員が、不慮の事故や病気で突然亡くなってしまう可能性もあります。
「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」の要件をクリアする役員などがいる場合は、2週間以内に変更届を提出することで事業を継続できます。

「経営業務の管理責任者」であれば、社内に要件に合う方を探します。
以下のページで、要件について記載しています。

【経営業務の管理責任者】5年以上の経営経験のプロ

建設業許可に必要な要件のひとつに、常勤役員等「経営業務の管理責任者等」(通称:けいかん)があります。 「経営業務の管理責任者になれるかなぁ?」 などと、思っては…

もし社内に要件をクリアできる者がいなければ、外部から要件をクリアする者を招き入れることを検討します。

該当者がいない場合は、30日以内に廃業届を提出して許可を返上しなければなりません。
無許可となるため、軽微な工事しか請け負うことができません。

対策として、普段から「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」の要件をクリアできる候補者を育てることが重要です。

ポイント

「経営業務の管理責任者」の要件をクリアするには、最低でも5年の経営経験が必要です。
早めに対策を講じておきましょう。

法人の場合は、常勤の取締役を複数名にして、経営業務に従事させておきましょう。

個人の場合は、以下の対策を講じておきましょう。

  • 家族を事業専従者として給与を支給する。(税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、毎年の青色申告決算書に計上しておく)
  • 後継者を支配人として登記する。(事業者と同じ権限を持つため、あまり利用されない)
  • 法人成りを検討する。(家族従事者を取締役にする)

「専任技術者」の要件をクリアするには、国家資格でクリアできます。
以下のページで、要件について記載しています。

4.まとめ

大まかに、まとめてみると。

  • 役員就任の変更届は、就任の日から30日以内が期限である。
  • 役員退任の変更届は、退任の日から30日以内が期限である。
  • 「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」を兼ねる役員の場合、2週間以内に変更届を提出することで事業を継続できる。
  • 「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」を兼ねる役員の場合、普段から要件をクリアできる候補者を育てることが重要である。

「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」を兼ねる役員の場合、特に注意が必要です。
1日でも「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」が不在の状態になると、許可取消の対象となります。

日頃から後継者対策を考え、準備しておくことが肝要です。

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