建設業許可「変更届」の期限と注意点を解説

建設業許可業者は、建設業法に規定される変更事由に該当したときは、定められている期間内に変更届を提出しなければなりません。

変更届を提出していないと、建設業許可の更新をうけることができないなど、不都合が発生します。

この記事では「変更届」の提出期限や重要性について、建設業者様のために説明しています。

1.変更届の変更事由と提出期限

建設業許可の変更届は、建設業法で義務付けられた手続きです。

建設業法第50条により、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
ただし、遅延したからといってすぐに罰則が科せられることは少なく、まずは都道府県の建設業課から指導文書が届くなどの行政指導が行われる場合が多いです。

  • 事実発生から2週間以内
    建設業許可の要件に関わる重要な事項であり、建設業者の適格性を常に確認する必要があるため提出期限が短く設定されています。
    • 常勤役員等(経営業務の管理責任者)の変更
    • 営業所技術者等の変更
    • 令3条の使用人の変更
    • 欠格要件に該当した場合
    • 社会保険等(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)の加入状況の変更
       
  • 事実発生から30日以内
    建設業許可の根幹への影響は比較的少ないと考えられ、一定の猶予期間を設けています。
    • 商号または名称の変更
    • 営業所の変更
    • 資本金の変更
    • 法人の役員の変更
    • 支配人の変更・個人事業主、支配人の氏名の変更
    • 廃業した場合
       
  • 毎事業年度終了後4か月以内(決算変更届と同時に提出)
    • 毎事業年度の決算期を経過したとき(決算変更届)
    • 使用人数の変更
    • 定款の変更
    • 健康保険等の加入状況(人数のみ変更の場合)

変更があった場合は、速やかに変更届を提出するようにしましょう。

2.変更届に関わる注意事項

建設業許可の変更届を失念すると、建設業許可の更新ができません。
また法令遵守意識が低いとみなされ、取引先や金融機関からの信用を失う可能性があります。

経営業務の管理責任者や営業所技術者がいない

経営業務の管理責任者や営業所技術者の引継ぎは、建設業許可の要件であるため、許可を継続するために非常に重要です。

突然不在となった場合、後任者もいないと即許可取消しとなります。
許可取消処分を受けないためにも、常に許可要件に注意を払う必要があります。

変更届の提出事項を意識しておけば、必然的に許可要件に注意を払うことにつながります。

所在地の確認ができない

本店や営業所の所在地変更をしていない場合、許可行政庁が連絡が取れないと官報や広報で公告を出します。
それに気付かず、指定期日が経過してしまうと、許可取消処分となります。

罰則が適用されると、経営事項審査の原点や入札への参加が制限されるなど不利益を被る場合があります。

建設業許可の変更届は、単なる事務手続きではありません。
企業の法令遵守、信用維持、事業継続に深く関わる重要な手続きです。