【工事の丸投げ】発注者の信頼を裏切ってはダメ!

建設業法では、「工事の丸投げ」は原則禁止されています。
「下請にそのまま工事を任せよう」
などと、思ってはおられませんか?
「工事の丸投げ」になっていることを知らなくても、該当すれば処分されてしまいます。
知らず知らずのうちに違反とならないように、注意する必要があります。
1.「工事の丸投げ」に該当する例
「工事の丸投げ」は、元請も下請けも禁止されています。
発覚すれば両者とも、監督処分を受けることになります。
元請業者、下請業者はもちろん、1次下請業者、2次下請業者、それ以下の下請業者間でも禁止です。
「元請業者」は許可業者だけが対象ですが、「下請業者」は許可のない業者であっても処分対象です。
親会社と子会社の間であっても、一括下請負となります。
施工する者が、受注すべきという考え方です。
以下のように部分的に請け負わせる場合でも、「工事の丸投げ」に該当します。
- 建築一式工事を請け負った元請業者が、自らは内装仕上工事のみを行い、その他すべての工事を下請業者に請け負わせるケース
- 外壁塗装工事を請け負った元請業者が、自らは足場工事のみを行い、塗装工事を下請業者に請け負わせるケース
- 戸建分譲住宅5戸の新築工事を請け負った元請業者が、そのうちの1戸を下請業者に請け負わせるケース
「工事の丸投げ」を禁止している理由は、以下のとおりです。
- 発注者の信頼を裏切ることになるため
- 工事の責任が曖昧になり、手抜工事が増え労働条件の悪化につながるため
- 施工能力のない商業ブローカーが増えることを防ぐため
「工事の丸投げ」に該当するかどうかは、原則として請負契約ごとに判断されます。
具体的な判断には難しい面があるため、不安がある場合は、許可行政庁に確認することをおすすめします。

2.「工事の丸投げ」の例外規定
原則は「工事の丸投げ」は禁止ですが、一定の場合だけ例外的に丸投げが出来る場合があります。
以下のすべてを満たした場合は、合法的に丸投げすることが出来ます。
- 民間工事であること
- 共同住宅を新築する工事以外
- 元請が発注者に、あらかじめ一括下請負することを書面で承諾を得ていること
特に重要なのが、「元請が発注者」にというところです。
下請が発注者に、承諾をもらっても要件を満たしたことにはなりません。
もう一つのポイントが、「あらかじめ書面で承諾」です。
工事の途中に丸投げしようと、発注者に話に行っても合法になりません。
また合法的に丸投げすることになったとしても、主任技術者や監理技術者は配置する必要があります。
もし「工事の丸投げ」を違法に行ってしまったら、罰則が規定されています。
大阪府の「建設業法に基づく監督処分基準 」では、15日以上の営業停止処分が下りるとなっています。
「丸投げした元請」も「丸投げされた下請」も、処分を受けることになっています。
3.まとめ

大まかに、まとめてみると。
- 「工事の丸投げ」は、建設業許可の有無、元請・下請関係なく処分対象になる。
- 建設工事の全てを丸投げするだけでなく、部分的な丸投げにも気を付けなければならない。
- 原則は丸投げ禁止だが、例外的に丸投げが出来るケースがある。
下請業者は、「工事の丸投げ」をされてるのかどうか分かりにくい場合もあると思います。
下請業者としても、元請業者の管理体制に気を配ることが大事です。
「工事の丸投げ」は、発注者の信頼を裏切る行為であり、重い処分を受けないように気を付けなければなりません。
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