社会保険加入は必須?建設業許可と社会保険の関連を行政書士が解説

建設業界では、近年「社会保険の加入」がますます重視されるようになっています。

「これって、建設業許可と何か関係あるの?」「うちは入らないといけないの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、建設業許可と社会保険の関わりについて、皆さまに分かりやすく、そして優しく詳しくご説明させていただきます。

1.なぜ建設業許可と社会保険が関係するの?その背景と目的

「建設業許可と社会保険って、一見関係なさそうだけど」そう思われるのも無理はありません。
しかし、実はこの二つ、近年は非常に密接な関係にあります。

その背景には、建設業界全体の「働き方改革」と「労働者の処遇改善」という大きな目的があります。

建設現場で働く皆さまが、安心して長く働ける環境を整備するため、国は社会保険(健康保険、厚生年金保険)や労働保険(雇用保険、労災保険)への加入を厳しく求めているのです。

つまり、建設業許可を持つということは、ただ建設工事ができるだけでなく、「社会的な責任を果たし、従業員を適切に守る企業であること」の証明でもあります。

社会保険への加入状況は、その責任を果たす意思があるかどうかの重要な指標として見られるようになっているのです。

もし、社会保険に適切に加入していない場合、許可の取得や更新が難しくなったり、公共工事の入札に参加できなかったりするなどの影響が出る可能性があります。

2.建設業許可申請・更新時に社会保険の加入状況はチェックされる!

具体的にどのような場面で社会保険の加入状況が関係してくるのでしょうか。

主なポイントは、建設業許可の申請時と更新時です。

  1. 許可の新規申請・更新申請時の「確認」
    建設業許可を新規で申請する際、または5年ごとの更新を行う際には、社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)の加入状況を確認する書類の提出が求められます
    これらの書類を通して、会社が法的に定められた社会保険にきちんと加入しているかどうかがチェックされます。
     
  2. 「未加入」の場合の取り扱い
    もし、会社の規模や従業員の状況から社会保険への加入が義務付けられているにもかかわらず、未加入のままで許可申請や更新を行うと、許可が下りなかったり、更新ができなかったりする可能性が非常に高まります
     
    行政庁からは、加入指導が行われ、まずは社会保険に加入することが求められるでしょう。適切な対応を取らない限り、許可手続きを進めることは困難になります。

注意点として、一人親方や個人事業主の場合でも、従業員を常時5人以上雇用している場合は社会保険の強制加入義務が発生します
また、法人の場合は、従業員の人数に関わらず、代表者一人だけでも社会保険への加入が義務付けられています。

3.今すぐチェック!社会保険加入のステップ

「うちは社会保険、ちゃんと入れているかな?」と不安に思われた方もいらっしゃるかもしれません。

まずは、ご自身の会社の状況を確認し、必要であれば早めに加入手続きを進めましょう。

所属する事業所雇用保険健康保険
(いずれかに加入)
年金保険
形態常用労働者就労形態
法人1人~常用労働者雇用保険・協会けんぽ
・健康保険組合
・適用除外承認を受けた国民健康保険組合(建設国保等)
厚生年金
0人役員等のみ
個人事業主

一人親方
5人~常用労働者雇用保険・協会けんぽ
・健康保険組合
・適用除外承認を受けた国民健康保険組合(建設国保等)
厚生年金
1人~4人常用労働者雇用保険・国民健康保険
・国民健康保険組合(建設国保等)
国民年金
0人個人事業主
一人親方
※雇用保険は、週所定労働時間が20時間以上等の要件に該当する場合は、常用であるか否かは問わない。
従業主に従業員を加入させる義務があるもの
個人の責任において加入するもの
  1. 雇用保険
    労働者が失業した場合や、育児・介護などで休業した場合に給付を行う保険です。
    労働者を1人でも雇用していれば、原則として加入義務があります。
     
    法人の役員や個人事業主、同居の親族のみで構成される事業所は原則適用除外です。
    また労働者でも、週に20時間未満の勤務や日雇労働の場合は加入義務はありません。
     
  2. 健康保険
    業務外の病気やけが、出産、死亡などに対して給付を行う保険です。
    法人の場合は原則加入が義務付けられています。
    個人事業主の場合は、従業員が5人以上いれば加入義務があります。
     
    適用除外承認を受けた国民健康保険組合(国保組合)とは、健康保険の適用事業所となった事業所が、特定の条件を満たす場合に、健康保険の適用を除外され、引き続き国保組合に加入できる制度です。
    建設関係の国民健康保険組合(建設国保)は、建設業に従事する方々が加入できる国民健康保険組合です。
     
    主に、建設業に従事する個人事業主、一人親方、従業員5人未満の事業所の従業員などが対象です。
    法人化した場合でも、一定の条件を満たせば、適用除外承認を受けることで継続して加入できる場合があります。
     
    メリットとして、建設業特有の労働災害や疾病に対する保障が充実しています。
    所得に関係なく年齢や家族構成などによって保険料が算出されるため、所得が多い方にとっては保険料が割安になる場合があります。
     
  3. 厚生年金保険
    老後の生活保障や、障害を負った場合の保障、遺族への保障を行う保険です。
    健康保険と同様に、法人は原則加入義務があり、個人事業主は従業員が5人以上いれば加入義務があります。
  • 手続きの窓口
    • 雇用保険・・・ハローワーク
    • 健康保険・厚生年金・・・年金事務所(協会けんぽ)
    • 国民健康保険・国民年金・・・各市区町村
    • 建設国保・・・全国建設工事業国民健康保険組合、都道府県建設国民健康保険組合など

社会保険への加入は、建設業許可のためだけでなく、従業員の皆さまが安心して働ける環境を整えるためにも非常に重要です。

この情報が、あなたの事業の発展に少しでも貢献できれば幸いです。