【建設業許可】決算変更届の作成時の注意点

決算変更届の作成時の注意点
決算変更届の作成時の注意点

こんにちは。
大阪府吹田市のCCUS登録行政書士 岩田眞と申します。

毎年提出する義務のある決算変更届は、誰でも閲覧することができます。
適当に作成してしまうと、企業のイメージダウンに繋がります。

この記事では、決算変更届を提出したい方に向けて説明しています。

1.「決算変更届」の必要書類は?

決算変更届に必要な書類は、下記になります。

  1. 変更届出書
  2. 工事経歴書
  3. 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  4. 貸借対照表(財務諸表)
    個人と法人では様式が違います
  5. 損益計算書(財務諸表)
    個人と法人では様式が違います
  6. 完成工事原価報告書(財務諸表)
    法人のみ
  7. 株主資本等変動計算書(財務諸表)
    法人のみ
  8. 兼業事業売上原価報告書
    兼業がある場合
  9. 注記表(財務諸表)
    法人のみ
  10. 附属明細書(財務諸表)
    株式会社で、資本金の額が1億円超であるもの又は直前決算の貸借対照表の負債の合計額が200億円以上である場合
  11. 事業報告書
    株式会社のみ
  12. 事業税の納税証明書
  13. 使用人数
    変更があった場合のみ必要
  14. 健康保険等の加入状況
    従業員数のみの変更があった場合。それ以外は変更届。
  15. 令3条に規定する使用人の一覧表
    変更があった場合のみ必要
  16. 定款の写し
    変更があった場合のみ必要

2.「決算変更届」作成時の注意事項

決算変更届作成時の、注意事項を説明します。

「工事経歴書」作成時の注意事項

  1. 許可を受けた業種ごとに作成すること
  2. 完成工事高の実績がない業種でも、「実績なし」として作成すること
  3. 経営事項審査を受ける方は、“消費税別”で作成すること(免税事業者は税込みで作成)
  4. 個人情報保護の観点から、発注者欄や工事名欄の個人名は特定されないように作成すること
  5. 合計額と「直前3年の各事業年度における工事施工金額」における工事施工金額が一致すること
  6. 配置技術者は、工事期間を重複して工事現場を兼任することは出来ないので注意
  7. 経営事項審査を受ける場合は、経審ルールで作成すること
    金額の大きい順に元請の工事のみを完成工事高の7割を超えるまで記載し、それでも7割に満たない場合は、金額の大きい順に下請の完成工事等を記載していきます。軽微な工事10件でも終了。
  8. 金額を記載する際は、千円未満を切り捨てる等の方法で端数処理を行い、千円単位で記載すること
    会社法上の大会社は百万円単位で記載します。

「財務諸表」作成時の注意事項

  1. 経営事項審査を受ける方は、“消費税別”で作成すること(免税事業者は税込みで作成)
  2. 金額を記載する際は、千円未満を切り捨てる等の方法で端数処理を行い、千円単位で記載すること
    会社法上の大会社は百万円単位で記載します。
  3. 一般的な経理を下記の様に、建設業の勘定科目に書き換えること
    売掛金 → 完成工事未収金
    仕掛品 → 未成工事支出金
    買掛金 → 工事未払金
    前受金 → 未成工事受入金
    売上高 → 完成工事高
    売上原価 → 完成工事原価
    売上総利益 → 完成工事総利益
  4. 各財務諸表で、金額が一致していること
    貸借対照表「資産合計」と、貸借対照表「負債純資産合計」
    貸借対照表「純資産の部」の各金額と、株主資本等変動計算書「当期末残高」の各金額
    損益計算書「当期純利益」と、株主資本等変動計算書「当期純利益」
    損益計算書「完成工事原価」と、完成工事原価報告書「完成工事原価」
    損益計算書「兼業事業売上原価」と、兼業事業売上原価報告書「兼業事業売上原価」
    損益計算書「完成工事高」と、直前三年の各事業年度における工事施工金額「合計額」
  5. 建設工事に該当しない業務の売上は、完成工事高の金額には計上せずに、兼業売上高として計上すること
    「除雪、除草、草刈、剪定、点検」などは、兼業として分ける必要があります。
  6. 完成工事原価報告書は、完成した工事の金額を材料費、労務費、外注費、経費に振り分けること

納税証明書の注意事項

納税証明書は、法人か個人事業主か、許可を受けた行政庁によって提出する納税証明書が異なります。

都道府県知事許可の場合
都府県税事務所に発行してもらいます。

  • 個人事業主 → 個人事業税の納税証明書が必要となります。
  • 法人 → 法人事業税の納税証明書が必要となります。

大臣許可の場合
税務署に発行してもらいます。

  1. 個人事業主 → 申告所得税(その1)の納税証明書が必要となります。
  2. 法人 → 法人税(その1)の納税証明書が必要となります。

財務諸表作成順位の注意事項

財務諸表作成の順序として、以下の順序で作成します。

  1. 「貸借対照表」は、「完成工事原価報告書」「兼業事業売上原価報告書」に関係ないため先に作ります。
  2. 工事に関わる「完成工事原価報告書」「兼業事業売上原価報告書(兼業があれば)」を作ります。
  3. 損益計算書、株主資本変動計算書、注記表と作っていきます。

建設業許可を取得したら、決算変更届を提出する義務があります。
建設業法を遵守し決算変更届を適切に提出することは、社会的信用を上げ、事業を発展させていくことに繋がります。


「決算変更届を作成する時間がない」
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という方は、当事務所に一度ご相談下さい。