決算変更届を適当に作っていませんか?【3つのポイント】

建設業許可を取得したら、毎事業年度終了後4カ月以内に「決算変更届」を提出する必要があります。
「ただの届出なので、内容なんて関係ない」と適当に作成されていませんか?
適当に作成し、行政庁から建設業法違反を疑われてしまう場合もあります。
目次
1.「決算変更届」の書類
決算変更届の提出書類は、個人と法人で提出書類が異なります。
大阪府知事免許の場合を想定して、以下を記載しています。
個人の場合
- 変更届出書(府規則様式第3号)
- 工事経歴書(様式第2号)
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)
- 貸借対照表(様式第18号)
- 損益計算書(様式第19号)
- 個人事業税納税証明書
最新の個人事業税納税証明書の発行は、8月中旬からです。
提出が8月中旬までは、確定申告書第一表の写し(受付印 or 税務署の受信通知)を提出します。
個人事業主の場合は、確定申告を提出しても直ぐには、最新のものが発行されません。
法人の場合
- 変更届出書(府規則様式第3号)
- 工事経歴書(様式第2号)
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)
- 貸借対照表(様式第15号)
- 損益計算書(様式第16号)
- 完成工事原価報告書
- 株主資本等変更計算書(様式第17号)
- 注記表(様式第17号の2)
- 附属明細表(様式第17号の3) ※株式会社で、資本金の額が1億円超であるもの又は直前決算の貸借対照表の負債の合計額が200億円以上である場合
- 事業報告書 ※株式会社のみ
- 法人事業税納税証明書
変更があった場合のみ提出する書類
- 使用人数(様式第4号)
- 健康保険等の加入状況(様式第7号の3) ※従業員数のみの変更があった場合。それ以外は変更届。
- 令3条に規定する使用人の一覧表(様式第11号)
- 定款の写し(会社保存)
兼業がある場合
- 兼業事業売上原価報告書(様式第25号の12)
2.「財務諸表」の勘定科目
決算変更届の「工事経歴書」の書き方は、以下のページで記載しています。
【工事経歴書】作成するときに気を付けるポイント
工事経歴書とは、1年間に行った工事の内容を報告する書類です。工事経歴書は、決算変更届、新規申請、業種追加、般特新規や経営事項審査の申請手続きに提出が必要です。 …
決算変更届の「財務諸表」の作成は、税務申告時の財務諸表を元に作成します。
建設業にかかわる金額とそれ以外の金額を分けた上で、 決められた勘定科目に振り分けて金額計上します。
個人の場合
貸借対照表(様式第18号)
法人用と比べると、科目数がかなり少ないです。
流動資産
正常な営業サイクル内における資産、及び1年以内に現金化、費用化できる資産のことです。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
現金預金 | 現金及び預金を合算 |
受取手形 | 営業取引に基づいて発生した手形債権 |
完成工事未収入金 | 完成工事高に計上した工事に係る請負代金の未収額 |
売掛金 | 兼業事業売上高に係る未収額 |
有価証券 | 時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券及び決算期後 1年以内に満期の到来する有価証券 |
未成工事支出金 | 完成工事原価に計上していない工事費並びに材料の購入及び外注のための前渡金及び手付金等 |
材料貯蔵品 | 手持ちの工事用材料及び消耗工具器具等並びに事務用消耗品等のうち未成工事支出金、 完成工事原価又は販売費及び一般管理費として処理されなかったもの |
その他 | 完成工事未収入金以外の未収入金及び営業取引以外の取引によって生じた未収入金、 営業外受取手形その他決算期後 1 年以内に現金化できると認められるもので他の流動資産科目に属さないもの |
貸倒引当金 | 受取手形、完成工事未収入金等流動資産に属する債権に対する貸倒見込額を一括して記載 |
固定資産
長期間(1年以上)所有・使用される資産のことです。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
建物・構築物 | 建物及び構築物を合算 |
機械・運搬具 | 機械装置、船舶、航空機及び車両運搬具を合算 |
工具器具・備品 | 工具器具、備品を合算 |
土地 | 自家用の土地 |
その他 | 有償取得又は有償創設したもので、他の固定資産科目に属さないもの |
流動負債
正常な営業サイクル内における負債、及び1年以内に返済しなければならない負債です。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
支払手形 | 営業取引に基づいて発生した手形債務 |
工事未払金 | 工事費の未払額(工事原価に算入されるべき材料貯蔵品購入代金等を含む) |
買掛金 | 兼業事業売上原価に係わるものを計上 |
短期借入金 | 決算期後、 1 年以内に返済されると認められる借入金(金融手形を含む) |
未払金 | 固定資産購入代金未払金、未払配当金及びその他の未払金で、決算期後 1 年以内に支払われると認められるもの |
未成工事受入金 | 請負代金の受入高のうち、完成工事高に計上していないもの |
預り金 | 営業取引に基づいて発生した、預り金及び営業外取引に基づいて発生した預り金で、 決算期後 1 年以内に返済されるもの、又は返済されると認められるもの |
・・・引当金 | 修繕引当金、完成工事補償引当金、工事損失引当金等の引当金(その設定目的を示す名称を付した科目をもって記載すること) |
その他 | 営業外支払手形等、決算期後、1年以内に支払又は返済されると認められるもので、他の流動負債科目に属さないもの |
固定負債
通常の営業活動以外で発生する債務のうち、返済期日が1年以内に到来しないもの。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
長期借入金 | 流動負債に記載された短期借入金以外の借入金 |
その他 | 長期未払金等、1年を超える負債で、他の固定負債科目に属さないもの |
純資産
資産から負債を差し引いたもの。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
期首資本金 | 前期末の資本合計 |
事業主借勘定 | 事業主が事業外資金から事業のために借りたもの |
事業主貸勘定 | 事業主が営業の資金から家事費等に充当したもの |
事業主利益(事業主損失) | 損益計算書の事業主利益(事業主損失) |
損益計算書(様式第19号)
法人用と比べると、科目数がかなり少なくなっています。
売上高
勘定科目 | 内容 |
---|---|
完成工事高 | 工事進行基準により収益に計上する場合における期中出来高相当額及び工事完成基準により、 収益に計上する場合における最終総請負高 |
兼業事業売上高 | 建設業以外の事業(兼業事業)を併せて営む場合における当該事業の売上高 |
売上原価
勘定科目 | 内容 |
---|---|
完成工事原価 | 完成工事高として計上したものに対応する工事原価 |
材料費 | 工事のために直接購入した素材、半製品、製品、材料貯蔵品勘定等から振り替えられた材料費(仮設材料の損耗額等を含む) |
労務費 | 工事に従事した直接雇用の作業員に対する賃金、給料及び手当等 |
(うち労務外注費) | 労務費のうち、工種・工程別等の工事の完成を約する契約で、その大部分が労務費であるものに基づく支払額 |
外注費 | 工種・工程別等の工事について素材、半製品、製品等を作業とともに提供し、 これを完成することを約する契約に基づく支払額 |
経費 | 完成工事について発生し、又は負担すべき材料費、労務費及び外注費以外の費用で、 動力用水光熱費、機械等経費、設計費、労務管理費、租税公課、地代家賃、保険料、 従業員給料手当、退職金、法定福利費、福利厚生費、事務用品費、通信交通費、交際費、補償費、雑費、出張所等経費配賦額等 |
兼業事業売上原価 | 兼業事業売上高として計上したものに対応する兼業事業の売上原価 |
総利益
勘定科目 | 内容 |
---|---|
完成工事総利益(総損失) | 完成工事高から完成工事原価を控除した額 |
兼業事業総利益(総損失) | 兼業事業売上高から兼業事業売上原価を控除した額 |
売上総利益(総損失) | 売上高から売上原価を控除した額 |
販売費及び一般管理費
販売のための費用や、会社を運営していく上で必要な費用のことです。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
従業員給料手当 | 本店及び支店の従業員等に対する給料、諸手当及び賞与 |
退職金 | 役員及び従業員に対する退職金 |
法定福利費 | 健康保険、厚生年金保険、労働保険等の保険料の事業主負担額及び児童手当拠出金 |
福利厚生費 | 慰安娯楽、貸与被服、医療、慶弔見舞等福利厚生等に要する費用 |
修繕維持費 | 建物、機械、装置等の修繕維持費及び倉庫物品の管理費等 |
事務用品費 | 事務用消耗品費、固定資産に計上しない事務用備品費、新聞、参考図書等の購入費 |
通信交通費 | 通信費、交通費及び旅費 |
動力用水光熱費 | 電力、水道、ガス等の費用 |
広告宣伝費 | 広告、公告又は宣伝に要する費用 |
交際費 | 得意先、来客等の接待費、慶弔見舞及び中元歳暮品代等 |
寄付金 | 社会福祉団体等に対する寄付 |
地代家賃 | 事務所、寮、社宅等の借地借家料 |
減価償却費 | 減価償却資産に対する償却額 |
租税公課 | 事業税、事業所税、不動産取得税、 固定資産税等の租税及び道路占用料、身体障害者雇用納付金等の公課 |
保険料 | 火災保険その他の損害保険料 |
雑費 | 社内打合せ等の費用、諸団体会費並びに他の販売費及び一般管理費の科目に属さない費用 |
営業利益(営業損失) | 売上総利益(売上総損失)から販売費及び一般管理費を控除した額 |
営業外収益
勘定科目 | 内容 |
---|---|
受取利息及び配当金 | 次の受取利息、有価証券利息及び受取配当金 |
その他 | 受取利息及び配当金以外の営業外収益 |
営業外費用
勘定科目 | 内容 |
---|---|
支払利息 | 借入金利息等の支払利息 |
その他 | 支払利息、以外の営業外費用 |
事業主利益
勘定科目 | 内容 |
---|---|
事業主利益(事業主損失) | 営業利益(営業損失)に営業外収益の合計額と営業外費用の合計額を加減した額 |
法人の場合
貸借対照表(様式第15号)
流動資産
正常な営業サイクル内における資産及び1年以内に現金化、費用化できる資産です。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
現金預金 | 現金及び預金を合算 |
受取手形 | 営業取引に基づいて発生した手形債権 |
完成工事未収入金 | 完成工事高に計上した工事に係る請負代金 の未収額 |
売掛金 | 兼業事業売上高に係る未収額 |
有価証券 | 時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券及び決算期後 1年以内に満期の到来する有価証券 |
未成工事支出金 | 完成工事原価に計上していない工事費並びに材料の購入及び外注のための前渡金及び手付金等 |
材料貯蔵品 | 手持ちの工事用材料及び消耗工具器具等並びに事務用消耗品等のうち、未成工事支出金、 完成工事原価又は販売費及び一般管理費として処理されなかったもの |
短期貸付金 | 決算期後 1 年以内に返済されると認められるもの |
前払費用 | 未経過保険料、未経過支払利息、前払賃借料等の費用の前払で決算期後 1 年以内に費用となるもの |
繰延税金資産 | 税効果会計の適用により 資産として計上される金額のうち、次の各号に掲げるもの 1.流動資産に属する資産又は流動負債に属する負債に関連するもの 2.特定の資産又は負債に関連しないもので決算期後 1 年以内に取り崩されると認められるもの |
その他 | 完成工事未収入金以外の未収入金及び営業取引以外の取引によって生じた未収入金、 営業外受取手形その他決算期後 1 年以内に現金化できると認められるもので他の流動資産科目に属さないもの |
貸倒引当金 | 受取手形、完成工事未収入金等流動資産に属する債権に対する貸倒見込額を一括して記載 |
有形固定資産
物として実体をもつ、長期間(1年以上)所有・使用される資産です。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
建物・構築物 | 建物及び構築物を合算 |
機械・運搬具 | 機械装置、船舶、航空機及び車両運搬具を合算 |
工具器具・備品 | 工具器具及び備品を合算 |
土地 | 自家用の土地 |
リース資産 | ファイナンス・リース取引におけるリース物件の借主である資産 |
建設仮勘定 | 建設中の自家用固定資産の新設又は増設のために要した支出 |
その他 | 他の有形固定資産科目に属さないもの |
無形固定資産
物として実体をもたない、長期間(1年以上)所有・使用される資産です。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
特許権 | 有償取得又は有償創設したもの |
借地権 | 有償取得したもの(地上権を含む) |
のれん | 合併、事業譲渡等により取得した事業の取得原価が、取得した資産及び引き受けた負債に配分された純額を上回る場合の超過額 |
リース資産 | ファイナンス・リース取引におけるリース物件の借主である資産 |
その他 | 有償取得又は有償創設したもので、他の無形固定資産科目に属さないもの |
投資その他の資産
投資目的で保有する、有価証券などです。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
投資有価証券 | 流動資産に記載された有価証券以外の有価証券 |
関係会社株式・関係会社出資金 | 関係会社株式及び関係会社出資金を合算 |
長期貸付金 | 流動資産に記載された短期貸付金以外の貸付金 |
破産更生債権等 | 完成工事未収入金、受取手形等の営業債権及び貸付金、立替金等のその他の債権のうち、破産債権、再生債権、更生債権その他 これらに準ずる債権で、決算期後1年以内に弁済を受けられないことが明らかなもの |
長期前払費用 | 未経過保険料、未経過支払利息、前払賃借料等の費用の前払で流動資産に記載された前払費用以外のもの |
繰延税金資産 | 税効果会計の適用により、資産として計上される金額のうち、 流動資産の繰延税金資産として記載されたもの以外のもの |
その他 | 長期保証金等1年を超える債権、出資金(関係会社に対するものを除く)等、他の投資その他の資産科目に属さないもの |
貸倒引当金 | 長期貸付金等投資等に属する債権に対する貸倒見込額を一括して記載 |
繰延資産
すでに支払い済みだが、その効果が将来に及ぶ場合に資産として計上できるものです。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
創立費 | 定款等の作成費、株式募集のための広告費等の会社設立費用 |
開業費 | 土地、建物等の賃借料等の会社設立後、営業開始までに支出した開業準備のための費用 |
株式交付費 | 株式募集のための広告費、金融機関の取扱手数料等の新株発行、又は自己株式の処分のために直接支出した費用 |
社債発行費 | 社債募集のための広告費、金融機関の取扱手数料等の社債発行のために直接支出した費用 |
開発費 | 新技術の採用、市場の開拓等のために支出した費用 |
流動負債
正常な営業サイクル内における負債、及び1年以内に返済しなければならない負債です。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
支払手形 | 営業取引に基づいて発生した手形債務 |
工事未払金 | 工事費の未払額 |
買掛金 | 兼業事業売上原価に係わるものを計上 |
短期借入金 | 決算期後、 1 年以内に返済されると認められる借入金(金融手形を含む) |
リース債務 | ファイナンス・リース取引におけるもので決算期後1年以内に支払われると認められるもの |
未払金 | 固定資産購入代金未払金、未払配当金及びその他の未払金で、決算期後 1 年以内に支払われると認められるもの |
未払費用 | 未払給料手当、未払利息等継続的な役務の給付を内容とする契約に基づいて、決算期までに提供された役務に対する未払額 |
未払法人税等 | 法人税、住民税及び事業税の未払額 |
繰延税金負債 | 税効果会計の適用により負債として計上される金額のうち、 次の各号に掲げるもの 1.流動資産に属する資産又は流動負債に属する負債に関連するもの 2.特定の資産又は負債に関連しないもので決算期後 1 年以内に取り崩されると認められるもの |
未成工事受入金 | 請負代金の受入高のうち、完成工事高に計上していないもの |
預り金 | 営業取引に基づいて発生した、預り金及び営業外取引に基づいて発生した預り金で、 決算期後 1 年以内に返済されるもの、又は返済されると認められるもの |
前受収益 | 前受利息、前受賃貸料等 |
・・・引当金 | 修繕引当金、完成工事補償引当金、工事損失引当金等の引当金 |
その他 | 営業外支払手形等、決算期後、1年以内に支払又は返済されると認められるもので、他の流動負債科目に属さないもの |
固定負債
通常の営業活動以外で発生する債務のうち、返済期日が1年以内に到来しないものです。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
社債 | 会社法(平成18年法律第86号)第2条第23号の規定によるもの |
長期借入金 | 流動負債に記載された短期借入金以外の借入金 |
リース債務 | ファイナンス・リース取引におけるもののうち、流動負債に属するもの以外のもの |
繰延税金負債 | 税効果会計の適用により、負債として計上される金額のうち、 流動負債の繰延税金負債として記載されたもの以外のもの |
・・・引当金 | 退職給付引当金等の引当金 |
負ののれん | 合併、事業譲渡等により取得した事業の取得原価が、取得した資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回る場合の不足額 |
その他 | 長期未払金等、1年を超える負債で、他の固定負債科目に属さないもの |
株主資本
勘定科目 | 内容 |
---|---|
資本金 | 会社法第445条第1項及び第2項、第448条並びに第450条の規定によるもの |
新株式申込証拠金 | 申込期日経過後における新株式の申込証拠金 |
資本剰余金 資本準備金 | 会社法第445条第3項及び第4項、第447条並びに第451条の規定によるもの |
その他資本剰余金 | 資本剰余金のうち、資本金及び資本準備金の取崩しによって生ずる剰余金や自己株式の処分差益など資本準備金以外のもの |
利益剰余金 利益準備金 | 会社法第445条第4項及び第451条の規定によるもの |
その他利益剰余金 ・・・準備金 ・・・積立金 | 株主総会又は取締役会の決議により設定されるもの |
繰越利益剰余金 | 利益剰余金のうち、「利益準備金、・・・準備金、・・・積立金」以外のもの |
自己株式 | 会社が所有する自社の発行済株式 |
自己株式申込証拠金 | 申込期日経過後における自己株式の申込証拠金 |
評価・換算差額等
勘定科目 | 内容 |
---|---|
その他有価証券評価差額金 | 時価のあるその他有価証券を期末日時価により評価替えすることにより生じた差額から税効果相当額を控除した残額 |
繰延ヘッジ損益 | 繰延ヘッジ処理が適用されるデリバティブ等を評価替えすることにより生じた差額から税効果相当額を控除した残額 |
土地再評価差額金 | 土地の再評価に関する法律(平成10年法律第34号)に基づき、事業用土地の再評価を行ったことにより、 生じた差額から税効果相当額を控除した残額 |
新株予約権
勘定科目 | 内容 |
---|---|
新株予約権 | 会社法第2条第21号の規定によるものから、同法第255条第1項に定める自己新株予約権の額を、控除した残額 |
損益計算書(様式第16号)
売上高
勘定科目 | 内容 |
---|---|
完成工事高 | 工事進行基準により収益に計上する場合における期中出来高相当額及び工事完成基準により、 収益に計上する場合における最終総請負高 |
兼業事業売上高 | 建設業以外の事業(兼業事業)を併せて営む場合における当該事業の売上高 |
売上原価
勘定科目 | 内容 |
---|---|
完成工事原価 | 完成工事高として計上したものに対応する工事原価 |
兼業事業売上原価 | 兼業事業売上高として計上したものに対応する兼業事業の売上原価 |
総利益
勘定科目 | 内容 |
---|---|
売上総利益(総損失) | 売上高から売上原価を控除した額 |
完成工事総利益(総損失) | 完成工事高から完成工事原価を控除した額 |
兼業事業総利益(総損失) | 兼業事業売上高から兼業事業売上原価を控除した額 |
販売費及び一般管理費
販売のための費用や、会社を運営していく上で必要な費用です。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
役員報酬 | 取締役、執行役、会計参与又は監査役に対する報酬 |
従業員給料手当 | 本店及び支店の従業員等に対する給料、諸手当及び賞与 |
退職金 | 役員及び従業員に対する退職金 |
法定福利費 | 健康保険、厚生年金保険、労働保険等の保険料の事業主負担額及び児童手当拠出金 |
福利厚生費 | 慰安娯楽、貸与被服、医療、慶弔見舞等福利厚生等に要する費用 |
修繕維持費 | 建物、機械、装置等の修繕維持費及び倉庫物品の管理費等 |
事務用品費 | 事務用消耗品費、固定資産に計上しない事務用備品費、新聞、参考図書等の購入費 |
通信交通費 | 通信費、交通費及び旅費 |
動力用水光熱費 | 電力、水道、ガス等の費用 |
調査研究費 | 技術研究、開発等の費用 |
広告宣伝費 | 広告、公告又は宣伝に要する費用 |
貸倒引当金繰入額 | 営業取引に基づいて発生した受取手形、完成工事未収入金等の債権に対する貸倒引当金繰入額 |
貸倒損失 | 営業取引に基づいて発生した受取手形、完成工事未収入金等の債権に対する貸倒損失 |
交際費 | 得意先、来客等の接待費、慶弔見舞及び中元歳暮品代等 |
寄付金 | 社会福祉団体等に対する寄付 |
地代家賃 | 事務所、寮、社宅等の借地借家料 |
減価償却費 | 減価償却資産に対する償却額 |
開発費償却 | 繰延資産に計上した開発費の償却額 |
租税公課 | 事業税、事業所税、不動産取得税、 固定資産税等の租税及び道路占用料、身体障害者雇用納付金等の公課 |
保険料 | 火災保険その他の損害保険料 |
雑費 | 社内打合せ等の費用、諸団体会費並びに他の販売費及び一般管理費の科目に属さない費用 |
営業利益(営業損失) | 売上総利益(売上総損失)から販売費及び一般管理費を控除した額 |
営業外収益
営業活動以外の原因によって生じる収益です。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
受取利息及び配当金 | 受取利息、有価証券利息及び受取配当金 |
その他 | 受取利息及び配当金以外の営業外収益で次のものをいう |
営業外費用
営業活動以外の原因によって生じる費用です。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
支払利息 | 支払利息及び社債利息 |
貸倒引当金繰入額 | 営業取引以外の取引に基づいて発生した貸付金等の債権に対する貸倒引当金繰入額 |
貸倒損失 | 営業取引以外の取引に基づいて発生した貸付金等の債権に対する貸倒損失 |
その他 | 支払利息、貸倒引当金繰入額及び貸倒損失以外の営業外費用で次のもの |
経常利益
勘定科目 | 内容 |
---|---|
経常利益(経常損失) | 営業利益(営業損失)に営業外収益の合計額と営業外費用の合計額を加減した額 |
特別利益
勘定科目 | 内容 |
---|---|
前期損益修正益 | 前期以前に計上された損益の修正による利益 |
その他 | 固定資産売却益、投資有価証券売却益、財産受贈益等異常な利益 |
特別損失
勘定科目 | 内容 |
---|---|
前期損益修正損 | 前期以前に計上された損益の修正による損失 |
その他 | 固定資産売却損、減損損失、災害による損失、投資有価証券売却損、固定資産圧縮記帳損、損害賠償金等異常な損失 |
税引前当期純利益
勘定科目 | 内容 |
---|---|
税引前当期純利益(純損失) | 経常利益(経常損失)に特別利益の合計額と特別損失の合計額を加減した額 |
法人税等
勘定科目 | 内容 |
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法人税、住民税及び事業税 | 当該事業年度に税引前当期純利益に対する法人税等(法人税、住民税及び利益に関する金額を課税標準として課される事業税) の額並びに法人税等の更正、決定等による納付税額及び還付税額 |
法人税等調整額 | 税効果会計の適用により計上される 法人税、住民税及び事業税の調整額 |
当期純利益(当期純損失)
勘定科目 | 内容 |
---|---|
当期純利益(当期純損失) | 税引前当期純利益(税引前当期純損失)から 法人税、住民税及び事業税を控除し、 法人税等調整額を加減した額 |
完成工事原価報告書
勘定科目の追加は認められていません。
「期首未成工事支出金」等の科目追加はできないことになっています。
定義されている勘定科目の「材料費」「労務費」等に振り分ける必要があります。
勘定科目 | 内容 |
---|---|
材料費 | 工事のために直接購入した素材、半製品、製品、材料貯蔵品勘定等から振り替えられた材料費(仮設材料の損耗額等を含む) |
労務費 | 工事に従事した直接雇用の作業員に対する賃金、給料及び手当等 |
(うち労務外注費) | 労務費のうち、工種・工程別等の工事の完成を約する契約で、その大部分が労務費であるものに基づく支払額 |
外注費 | 工種・工程別等の工事について素材、半製品、製品等を作業とともに提供し、 これを完成することを約する契約に基づく支払額 |
経費 | 完成工事について発生し、又は負担すべき材料費、労務費及び外注費以外の費用で、 動力用水光熱費、機械等経費、設計費、労務管理費、租税公課、地代家賃、保険料、 従業員給料手当、退職金、法定福利費、福利厚生費、事務用品費、通信交通費、交際費、補償費、雑費、出張所等経費配賦額等 |
(うち人件費) | 経費のうち、従業員給料手当、退職金、法定福利費及び福利厚生費 |
3.「財務諸表」の作成のポイント!
財務諸表作成の順序として、以下の順序で作成します。
- 「貸借対照表」は、「完成工事原価報告書」「兼業事業売上原価報告書」に関係ないため先に作ります。
- 工事に関わる「完成工事原価報告書」「兼業事業売上原価報告書(兼業があれば)」を作ります。
- 損益計算書、株主資本変動計算書、注記表と作っていきます。
財務諸表作成のポイントです。
(1)経営事項審査を受ける場合は、税抜で作成すること
事業年度毎に、 課税事業年度分の財務諸表は税抜金額で、 免税事業年度分は税込金額で提出する必要があります。
税務申告時の財務諸表を税込で提出していても、 課税事業年度分は税抜の建設業財務諸表を提出しなければなりません。
法人の場合は、 注記表「2.重要な会計方針 (5)消費税及び地方消費税に相当する額の会計処理の方法」欄に記載する必要があります。
「税抜処理方式」、「税込処理方式」または「免税につき税込処理」と明記して下さい。
個人の場合は、 貸借対照表「注 消費税及び地方消費税に相当する額の会計処理の方法」欄に記載する必要があります。
「税抜処理方式」、「税込処理方式」または「免税につき税込処理」と明記して下さい。
(2)建設業にかかわる金額と、それ以外の金額を分けること
税務申告用の財務諸表では、建設業とそれ以外の業種の売上高等が一緒に計上されます。
建設業財務諸表の場合は、建設業にかかわる金額と、 それ以外の金額を兼業として分ける必要があります。
建設業科目 | 兼業科目 | |
---|---|---|
売上高 | 完成工事高 | 兼業事業売上高 |
原価 | 完成工事原価 | 兼業事業売上原価 |
総利益 | 完成工事総利益 | 兼業事業総利益 |
未収入金/売掛金 | 完成工事未収入金 | 売掛金 |
未払金/買掛金 | 工事未払金 | 買掛金 |
棚卸資産 | 未成工事支出金 材料貯蔵品 | 販売用資産 等 |
「除雪、除草、草刈、剪定、点検」などは、兼業として分ける必要があります。
建設工事の完成を目的とした契約に含まれる場合は、完成工事高に含めることができます。
(3)千円単位で作成(一部の大企業は百万円単位も可)すること
建設業の財務諸表は、千円単位で作成する必要があります(一部の大企業は百万円単位も可)。
端数処理は、「切り捨て/四捨五入/切り上げ」のどれでも構いませんが、統一する必要があります。
平成16年3月までは、法律で「切り捨て」と決められていたため、「切り捨て」が一般的です。
許可行政庁によっては、四捨五入を指定されるケースもあります。

4.財務諸表の金額一致ポイントはこれ!
財務諸表を作成したら、金額が一致していることをポイントとしてチェックしましょう。
個人の場合
- 貸借対照表「資産合計」と、貸借対照表「負債純資産合計」
- 貸借対照表「事業主利益」と、損益計算書「事業主利益」
- 損益計算書「兼業事業売上原価」と、兼業事業売上原価報告書「兼業事業売上原価」
法人の場合
- 貸借対照表「資産合計」と、貸借対照表「負債純資産合計」
- 貸借対照表「純資産の部」の各金額と、株主資本等変動計算書「当期末残高」の各金額
- 損益計算書「当期純利益」と、株主資本等変動計算書「当期純利益」
- 損益計算書「完成工事原価」と、完成工事原価報告書「完成工事原価」
- 損益計算書「兼業事業売上原価」と、兼業事業売上原価報告書「兼業事業売上原価」
5.まとめ

大まかに、まとめてみると。
- 決算変更届の提出書類は、個人と法人で提出書類が異なる。
- 税務申告時の財務諸表を元に、 決められた勘定科目に振り分けて財務諸表を作成する。
- 経営事項審査を受ける場合は、原則は税抜きで作成する。
- 財務諸表では、金額一致ポイントがある。
毎年提出する決算変更届は、誰でも閲覧することができます。
適当に作成してしまうと、企業のイメージダウンに繋がります。
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