【建設業許可】決算変更届の作成時の注意点

こんにちは。
大阪府吹田市のCCUS登録行政書士 岩田眞と申します。
毎年提出する義務のある決算変更届は、誰でも閲覧することができます。
適当に作成してしまうと、企業のイメージダウンに繋がります。
この記事では、決算変更届を提出したい方に向けて説明しています。
1.「決算変更届」の必要書類は?
決算変更届に必要な書類は、下記になります。
- 変更届出書
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 貸借対照表(財務諸表)
個人と法人では様式が違います - 損益計算書(財務諸表)
個人と法人では様式が違います - 完成工事原価報告書(財務諸表)
法人のみ - 株主資本等変動計算書(財務諸表)
法人のみ - 兼業事業売上原価報告書
兼業がある場合 - 注記表(財務諸表)
法人のみ - 附属明細書(財務諸表)
株式会社で、資本金の額が1億円超であるもの又は直前決算の貸借対照表の負債の合計額が200億円以上である場合 - 事業報告書
株式会社のみ - 事業税の納税証明書
- 使用人数
変更があった場合のみ必要 - 健康保険等の加入状況
従業員数のみの変更があった場合。それ以外は変更届。 - 令3条に規定する使用人の一覧表
変更があった場合のみ必要 - 定款の写し
変更があった場合のみ必要
2.「決算変更届」作成時の注意事項
決算変更届作成時の、注意事項を説明します。
「工事経歴書」作成時の注意事項
- 許可を受けた業種ごとに作成すること
- 完成工事高の実績がない業種でも、「実績なし」として作成すること
- 経営事項審査を受ける方は、“消費税別”で作成すること(免税事業者は税込みで作成)
- 個人情報保護の観点から、発注者欄や工事名欄の個人名は特定されないように作成すること
- 合計額と「直前3年の各事業年度における工事施工金額」における工事施工金額が一致すること
- 配置技術者は、工事期間を重複して工事現場を兼任することは出来ないので注意
- 経営事項審査を受ける場合は、経審ルールで作成すること
金額の大きい順に元請の工事のみを完成工事高の7割を超えるまで記載し、それでも7割に満たない場合は、金額の大きい順に下請の完成工事等を記載していきます。軽微な工事10件でも終了。 - 金額を記載する際は、千円未満を切り捨てる等の方法で端数処理を行い、千円単位で記載すること
会社法上の大会社は百万円単位で記載します。
「財務諸表」作成時の注意事項
- 経営事項審査を受ける方は、“消費税別”で作成すること(免税事業者は税込みで作成)
- 金額を記載する際は、千円未満を切り捨てる等の方法で端数処理を行い、千円単位で記載すること
会社法上の大会社は百万円単位で記載します。 - 一般的な経理を下記の様に、建設業の勘定科目に書き換えること
売掛金 → 完成工事未収金
仕掛品 → 未成工事支出金
買掛金 → 工事未払金
前受金 → 未成工事受入金
売上高 → 完成工事高
売上原価 → 完成工事原価
売上総利益 → 完成工事総利益 - 各財務諸表で、金額が一致していること
貸借対照表「資産合計」と、貸借対照表「負債純資産合計」
貸借対照表「純資産の部」の各金額と、株主資本等変動計算書「当期末残高」の各金額
損益計算書「当期純利益」と、株主資本等変動計算書「当期純利益」
損益計算書「完成工事原価」と、完成工事原価報告書「完成工事原価」
損益計算書「兼業事業売上原価」と、兼業事業売上原価報告書「兼業事業売上原価」
損益計算書「完成工事高」と、直前三年の各事業年度における工事施工金額「合計額」 - 建設工事に該当しない業務の売上は、完成工事高の金額には計上せずに、兼業売上高として計上すること
「除雪、除草、草刈、剪定、点検」などは、兼業として分ける必要があります。 - 完成工事原価報告書は、完成した工事の金額を材料費、労務費、外注費、経費に振り分けること
納税証明書の注意事項
納税証明書は、法人か個人事業主か、許可を受けた行政庁によって提出する納税証明書が異なります。
都道府県知事許可の場合
都府県税事務所に発行してもらいます。
- 個人事業主 → 個人事業税の納税証明書が必要となります。
- 法人 → 法人事業税の納税証明書が必要となります。
大臣許可の場合
税務署に発行してもらいます。
- 個人事業主 → 申告所得税(その1)の納税証明書が必要となります。
- 法人 → 法人税(その1)の納税証明書が必要となります。
財務諸表作成順位の注意事項
財務諸表作成の順序として、以下の順序で作成します。
- 「貸借対照表」は、「完成工事原価報告書」「兼業事業売上原価報告書」に関係ないため先に作ります。
- 工事に関わる「完成工事原価報告書」「兼業事業売上原価報告書(兼業があれば)」を作ります。
- 損益計算書、株主資本変動計算書、注記表と作っていきます。
建設業許可を取得したら、決算変更届を提出する義務があります。
建設業法を遵守し決算変更届を適切に提出することは、社会的信用を上げ、事業を発展させていくことに繋がります。
「決算変更届を作成する時間がない」
「決算変更届の作成方法がわからない」
という方は、当事務所に一度ご相談下さい。