一般許可と特定許可の財産的基礎の確認方法
建設業許可の要件の一つとして、「財産的基礎等」という要件があります。
建設工事は公共性が高く、工期も長期化することが多いため、発注者保護の観点として設けらています。
また一般許可と特定許可で、大きく要件が異なります。
この記事では建設業許可の基本である「財産的基礎等」を、建設業者様のために説明しています。
1.一般許可の財産的基礎の確認方法
一般建設業許可の財産的基礎等の要件は、以下の3項目のうちいずれかに該当する必要があります。
- 直前の決算において、自己資本の額が5 0 0 万円以上であること
- 法人の場合は、貸借対照表の純資産合計額が500万円以上である必要があります。
- 個人事業主の場合は、期首資本金、事業主借勘定、事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金および準備金の額を加えた額が500万円以上である必要があります。
- 法人の場合は、貸借対照表の純資産合計額が500万円以上である必要があります。
- 金融機関の預金残高証明書(残高日が申請日前4週間以内のもの)で、5 0 0 万円以上の資金調達能力を証明できること
- 金融機関からの預金残高証明書で、必要な資金を調達できる能力があることを証明する必要があります。
※金融機関が発行した日付(発行日)ではありませんので注意してください。
- 金融機関からの預金残高証明書で、必要な資金を調達できる能力があることを証明する必要があります。
- 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること
(5年目の更新申請者は、この基準に適合するものとみなします)- 一般許可の「更新」の場合は、この要件に該当します。

一般許可では、定められた届出(決算変更届など)をきちんとしていれば、更新時に財産的基礎の確認は行われないよ。
2.特定許可の財産的基礎の確認方法
特定建設業者では、一般建設業に比べて大規模な工事を請負うことになります。
そのため発注者や下請業者を保護し連鎖倒産を防ぐために、財産的基礎の要件は厳しいものになります。
特定建設業許可の財産的要件は、以下の4項目全てに該当する必要があります。
- 欠損の額が、資本金の20%を超えていないこと
会社の財務状況が健全であることを示す指標です。- 法人の場合 ⇒ 欠損の額 ÷ 資本金の額 × 100 ≦ 20%
貸借対照表のマイナスの繰越利益剰余金が、資本剰余金、利益準備金、その他利益剰余金(繰越利益剰余金を除く)の合計金額を上回る額のことを「欠損の額」となります。
会社は、事業活動で得た利益を「繰越利益剰余金」という勘定科目に積み立てていきます。しかし、赤字が続くと、この繰越利益剰余金がマイナスになります。
そのため繰越利益剰余金がマイナスでなければ、欠損は発生しないことになります。
以下のケースでは、欠損額が発生しないので、欠損比率を求める必要はありません。
(1) 繰越利益剰余金がマイナスではない
(2) 繰越利益剰余金がマイナスでも、(資本剰余金+利益準備金+その他利益剰余金(繰越利益剰余金を除く))の合計額が上回る
例:繰越利益剰余金がマイナスの場合
貸借対照表の繰越利益剰余金:△1,000万円
資本金:5,000万円
計算:△1,000万円 ÷ 5,000万円 × 100 = △20%
欠損の額は1,000万円で、資本金の20%以内であるため、要件を満たします。
- 個人事業主の場合 ⇒欠損の額 ÷ 期首資本金 × 100 ≦ 20%
法人のように「繰越利益剰余金」という勘定科目はありません。
貸借対照表の事業主損失が事業主借勘定から事業主貸勘定の額を控除した額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金を加えた額を上回る額のことを「欠損の額」となります。
例:欠損額が期首資本金額の20%を超えない場合
期首資本金:1,000万円
事業主損失に事業主貸勘定を加えた額から事業主借勘定、利益留保性の引当金、準備金を引いた額:150万円
計算:1,000万円×20%=200万円
150万円は200万円以下なので、要件を満たします。
- 法人の場合 ⇒ 欠損の額 ÷ 資本金の額 × 100 ≦ 20%
- 流動比率が75%以上であること
短期的な支払い能力を示す指標です。- (法人、個人ともに同じ計算式)
流動比率(%)= 流動資産 ÷ 流動負債 × 100
貸借対照表の流動資産合計額を流動負債合計額で割り、100を掛けた値が75%以上であることを確認します。
- (法人、個人ともに同じ計算式)
- 資本金が2,000万円以上であること
会社の規模と安定性を示す指標です。- 法人の場合 ⇒ 貸借対照表の資本金の額を確認します。
- 個人事業主の場合 ⇒ 期首資本金の額を確認します。
- 自己資本が4,000万円以上であること
会社の純資産であり、十分な財産的基盤があることを示す指標です。- 法人の場合 ⇒ 貸借対照表の純資産合計の額を確認します。
- 個人事業主の場合 ⇒ 期首資本金、事業主借勘定、事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金および準備金の額を加えた額を確認します。

特定許可の財産的要件は、5年に1度の更新申請で毎回審査されます。
要件を満たすことが出来なければ、一般許可を新規で取り直す必要があります。
もし要件を満たすことが出来ないのであれば、般特新規申請で一般許可に切り替えておきましょう。
ちょっと古い情報の動画ですが、参考としてYoutube動画をアップしています。