建設業許可で「誠実性」を問われる理由
建設業法における「誠実性」とは、請負契約の締結や履行に関して、不正または不誠実な行為をするおそれがないことを指します。
これは、建設業者が健全な事業活動を行い、発注者や関係者からの信頼を損なわないために重要な要件です。
この記事では建設業許可の基本である「誠実性」を、建設業者様のために説明しています。
1.誠実性に該当する具体的な内容
建設業法における「誠実性」とは、建設業者が請負契約の締結や履行に関して、不正または不誠実な行為をするおそれがないことです。
不正な行為・不誠実な行為の具体例は、以下のとおりです。
- 不正な行為の具体例
- 詐欺的な契約締結
- 実際には保有していない資格や実績を偽って、高額な工事契約を結ぶ。
- 工事に必要な許可がないにもかかわらず、あると偽って契約を結ぶ。
- 虚偽の見積もり
- 契約金額を不当に吊り上げるために、実際よりも高額な材料費や人件費を記載した見積書を提出する。
- 手抜き工事と隠蔽
- 工事中に本来必要な工程を省いたり、粗悪な材料を使用したりして、後日発覚しないように隠蔽する。
- 横領
- 工事の前払い金や着手金を、個人的な用途に流用する。
- 詐欺的な契約締結
- 不誠実な行為の具体例
- 契約違反
- 正当な理由なく工事を中断し、発注者に損害を与える。
- 契約で定められた工期を大幅に遅延させ、発注者の事業計画に支障をきたす。
- 契約で定められた材料と異なる粗悪な材料を使用する。
- 不適切な対応
- 発注者からのクレームに対し、誠実な対応をせず、問題を放置する。
- 契約内容に関する説明を十分にせず、発注者の誤解を招く。
- 免許等の取消処分
- 建築士法や宅地建物取引業法等の規定により、不正又は不誠実な行為を行ったことをもって免許等の取消処分を受け、その最終処分から5年を経過しない。
- 暴力団との関係
- 暴力団の構成員である、または暴力団による経営上の支配を受けている。
- 過去の行政処分歴
- 建設業法違反やその他の法令違反により、行政処分を受けたことがある場合、その内容や頻度によっては誠実性を欠くと判断されることがあります。
- 社会保険未加入
- 建設業者は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険へ加入する義務があります。未加入の場合、誠実性を疑われる可能性もあります。
- 契約違反
誠実性の確認は、申請者からの申告だけでなく、行政庁による調査も行われます。
具体的には、以下の方法で確認されます。
- 過去の行政処分歴の確認
- 関係機関への照会
- 必要に応じて、面談や現地調査

誠実性を欠くと判断された場合、建設業許可は受けられません。
また、許可後に誠実性を欠く行為が発覚した場合は、許可が取り消されることがあります。
2.誠実性が求められる対象者
誠実性は、以下の対象者に求められます。
- 法人の場合
- 法人自体
- 役員等
業務を執行する社員、取締役、執行役、組合等の理事、相談役、顧問その他名称を問わず、法人の業務を執行し、もしくは同等以上の支配力を有すると認められる者であり、非常勤である者も含みます。監査役は含みません。 - 令3条の使用人(支店長、営業所長など)
- 総株主の議決権の5%以上を有する個人株主
- 個人事業主の場合
- 個人事業主本人
- 令3条の使用人(支配人)
- 上記が未成年者の場合
- その法定代理人

建設業者は、以下の点に注意し、誠実な事業活動を行う必要があります。
- 法令を遵守し、適正な契約を締結・履行する。
- 関係者との信頼関係を築き、誠実な対応を心がける。
- 不正行為や不誠実な行為を防止するための内部体制を整備する。