一般建設業許可と特定建設業許可の違い

Youtube動画でも、軽く内容をアップしています。

こんにちは。
大阪府吹田市の行政書士いわた事務所です。

建設業許可には、「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2種類があります。

「一般建設業許可」と「特定建設業許可」では、許可要件が大きく違います。
「大きな工事をするんだ!」と思っても、「特定建設業許可」が必要になるケースもあります。


この記事では、建設業許可を受けたい方に向けて説明しています。

1.「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の違い

一般建設業許可は、次のような場合に取得することになります。

  1. 下請として建設工事を行う場合
  2. 元請として建設工事を行うが、下請に出さずにすべて自社で建設工事を行う場合
  3. 元請として建設工事を行うが、下請に出す建設工事は4500万円未満の場合
    (建築一式工事の場合は、7000万円未満)

一般建設業許可に該当しない建設工事の場合は、特定建設業の許可を受ける必要があります。
次の条件に該当する建設業者は、「特定建設業許可」が必要です。

  1. 元請として建設工事を行うが、下請に出す建設工事は4500万円以上の場合
    (建築一式工事の場合は、7500万円以上)

複数の下請業者と締結する場合は、合計金額として計算します。
受注金額は関係ありません。

建設業界では、元請業者のもとに多くの下請業者が連なるピラミッド構造になっております。
元請業者に支払い能力や工事を監理する能力がなければ、下請業者が被害を被ることになります。

工事の規模が大きくなればなるほど、影響も大きくなります。
元請業者が倒れることで、下請業者もドミノ倒しで被害を受ける連鎖倒産を防がなくてはなりません。

そのため一定額以上の下請工事を出す元請業者に、「特定建設業許可」を設けられています。

2.建設業許可要件の違い

建設業許可を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 経営業務の管理責任者がいること(適切な社会保険に加入)
  2. 専任の技術者がいること(資格・実務経験等を有する技術者の配置)
  3. 財産的基礎・金銭的信用を有すること(財産的要件)
  4. 欠格要件等に該当しないこと
  5. 建設業の営業を行う事務所を有すること

特定建設業許可の要件は、「専任技術者」と「財産的基礎」が、一般建設業許可の要件より厳しくなります。
以下のいずれかに当てはまる方が、専任技術者になることができます。

一般建設業許可の専任技術者の要件

  1. 一定の国家資格者等(1級または2級)
  2. 大学、短期大学、高等専門学校などの指定学科卒業 + 実務経験3年以上
  3. 高校、専門学校、中等教育学校の指定学科卒業 + 実務経験5年以上
  4. 10年以上の実務経験者
  5. 国土交通大臣による認定
  6. 1級施工管理技士の一次試験合格を合格 + 実務経験3年以上(令和5年7月1日の要件緩和)
  7. 2級施工管理技士の一次試験合格を合格 + 実務経験5年以上(令和5年7月1日の要件緩和)

特定建設業許可の専任技術者の要件

  1. 一定の国家資格者等(1級のみ)
  2. 一般建設業許可の専任技術者の要件に該当し、4,500万円以上の元請工事に関して2年以上の指導監督的実務経験がある者
  3. 国土交通大臣による認定

※指定建設業の7業種(土木工事・建築工事・電気工事・管工事・鋼構造物工事・舗装工事・造園工事)で特定建設業の専任技術者になるには必ず国家資格等が必要です。

「財産的基礎の確保」の要件の違いは、大きく異なります。

一般建設業許可の財産的基礎の要件
以下のいずれかに、当てはまる必要があります。

  1. 直前の決算において「自己資本」の額が、500万円以上あること
  2. 金融機関の預金残高証明書で、「500万円以上の資金を調達する能力」があること
  3. 過去5年間許可を継続して営業した実績があること

特定建設業許可の財産的基礎の要件

以下の全てに、当てはまる必要があります。

  1. 「欠損の額」が、資本金の額の20%を超えていないこと
  2. 「流動比率」が75%以上であること
  3. 「資本金」の額が2,000万円以上あること
  4. 「自己資本」の額が4,000万円以上あること

3.気を付けるべき点

「特定建設業許可」では、要件が厳しい分、維持するのにも気を付けなければなりません。

退職や解雇などで、急に専任技術者が欠けた場合に困ってします。
2週間以内に代わりを立て変更届を提出しなければ、許可が取消されてしまいます。

また「財産的基礎」の要件は、許可の更新時にも要件をクリアしなければ許可が取消されてしまいます。
要件をクリアできないため、一般建設業許可に戻るということはできないため気を付ける必要があります。