「一般建設業許可」じゃ満足できない「特定建設業許可」を選ぶ?

建設業許可には、「一般建設業許可」と「特定建設業許可」があります。


「一般建設業許可」と「特定建設業許可」では、許可要件が大きく違います。
「大きな工事をするんだ!」と思っても、「特定建設業許可」が必要になるケースもあります。

建設業の許可を取りたい企業様に対して、わかりやすく解説してみます。
閲覧していただいた皆様のご参考になれば嬉しいです!

まず基本的なケースとして、建設業許可は特定建設業と一般建設業に区分されています。
同一の業種について、特定と一般の許可を同時に受けることは出来ません。

ポイント


以下のケースはできません!

建築一式工事 → 特定建設業許可 一般建設業許可

異なる業種について、特定と一般の許可を同時に受けることは出来ます。
以下のケースはできます!

建築一式工事 → 特定建設業許可
内装工事   → 一般建設業許可

1.なぜ「特定建設業許可」を必要としているのか?

「特定」というぐらいなので、「特定」の方が特別なのでしょうか?
それは、下請け業者を守るために「特定建設業許可」という区分を設けているため特別なのです。

建設業界では、元請業者のもとに多くの下請業者が連なるピラミッド構造になっています。
元請業者に支払い能力や工事を監理する能力がなければ、下請業者が被害を被ることになります。

工事の規模が大きくなるほど、影響も大きくなります。
元請業者が倒れることで、下請業者もドミノ倒しで被害を受ける連鎖倒産を防がなくてはなりません。

そのため一定額以上の下請工事を出す元請業者に、「特定建設業許可」を求めています。
下請業者を守るために、特定建設業許可の要件は厳しいものにしています。

次の条件に該当する建設業者は、「特定建設業許可」が必要です。

  • 建設一式工事の場合で、6,000万円以上(消費税込)となる下請契約を締結する場合
  • 建設一式工事以外の場合で、4,000万円以上(消費税込)となる下請契約を締結する場合

複数の下請業者と締結する場合は、合計金額として計算します。
受注金額は関係ありません。

一般建設業と特定建設業
出典:国土交通省中部地方整備局

「一般建設業許可」は、「特定建設業許可」に該当する業者以外になります。
次の場合は、「一般建設業許可」だけで仕事ができます。

  • 下請工事だけを受注する場合
  • 元請工事だが、すべての工事の施工を自社で行う場合
  • 元請工事だが、建築一式工事の下請工事の総額が6,000万円未満の場合
  • 元請工事だが、建築一式工事以外の下請工事の総額が4,000万円未満の場合

下請工事は、1次下請だけでなく2次以降の下請工事もすべて含まれます。
直接発注者から工事を受注しない限り、「一般建設業許可」のみで工事ができます。

2.「特定建設業許可」の許可要件は?

建設業の許可要件は、以下8つの要件をクリアしなければなりません。

  • 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)
  • 専任技術者
  • 財産的基礎の確保
  • 請負契約に関しての誠実性
  • 建設業法に定める欠格要件に該当していないこと
  • 暴力団の構成員になっていないこと
  • 建設業の業務を行う営業所があること
  • 社会保険に加入していること

「一般建設業許可」より「特定建設業許可」の許可要件が厳しいのは次の2つです。
あとは「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の要件は同じです。

  • 専任技術者
  • 財産的基礎の確保

「専任技術者」の要件は、次の2つどちらかクリアできればOKです。

  • 一定の国家資格者
  • 元請として請負代金が4,500万円以上の工事で、2年以上の指導監督的な実務経験を有する者

2年以上の指導監督的な実務経験とは、次のすべての経験をいいます。

  • 現場主任者や現場監督者のような立場での経験
  • 4,500万円以上の元請工事
  • 2年以上の指導監督的な実務経験

ただし下記の7業種に関しては、指定建設業とされ一級の国家資格者、技術士の資格者又は国土交通大臣が認定した方に限られます。
他の業種に比べて、総合的な施工技術を必要とする事や社会的責任が大きいためです。

  • 土木一式工事業
  • 建築一式工事業
  • 電気工事業
  • 管工事業
  • 鋼構造物工事業
  • 舗装工事業
  • 造園工事業

詳しくは、以下のページにまとめました。

専任技術者の要件を得るのも楽じゃない。

建設業許可に必要な要件のひとつに、専任技術者(通称:せんぎ)があります。 専任技術者は、営業所に常勤する技術的総括責任者です。できれば実務経験より、国家資格で証…

「財産的基礎の確保」の要件は次のとおりです。

  • 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
  • 流動比率が75%以上であること
  • 資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること

気を付けなればならないのは、更新申請時にも財産的基礎は審査されます。
要件をクリアできなければ、許可の取り消しになります。

詳しくは、以下のページにてまとめています。

一般建設業と特定建設業の財産要件、違いはなにか?

建設業許可に必要な要件のひとつに、「財産要件」があります。 「財産要件」とは、建設業者が事業を継続するための財務力のことです。そして「財産要件」は、一般建設業と…

3.「特定建設業許可」の気を付けなければならない点は?

「特定建設業許可」で、気を付けなければならない点は要件に関してです。
許可を取得するのにも要件が厳しい分、維持するのにも要件に気を付けていかなければなりません。

退職や解雇などで、専任技術者が欠けた場合に困ってします。
2週間以内に代わりを立て変更届を提出しなければ、許可が取消されてしまいます。
「一般建設業許可」でも同様ですが、後継者を探すのは要件が厳しい分大変になります。

そして「財産的基礎の確保」の要件ですが、5年ごとの許可の更新時にも要件をクリアしなければ許可が取消されてしまいます。
要件をクリアできないため一般建設業許可に戻るということはできませんので、注意しなければなりません。


「一般建設業許可」では、更新申請時には財産的基礎を審査されないため、特定建設業許可がいかに厳しいかは分かります。

ポイント

「厳しい!厳しい!」だけでなく、もちろん「特定建設業許可」を取得するメリットもあります。
「特定建設業許可」を取得することで、大きな工事を取るチャンスが増えます。
そして社会的信用が大きくなるため、工事の引き合いが増えますし、借り入れなども好条件になりやすいです。

規模を大きくするとき、特定建設業の許可はさけては通れません。

まとめ

令和2年3月時点の建設業者の数は、以下のとおりです。

一般建設業許可業者 → 449,015業者
特定建設業許可業者 → 46,451業者

「特定建設業者」の割合は10%ほどになり、取得するのは難しくなります。
そのくらい難関ということです。

まとめてみると。

  • 下請け業者を守るために、「特定建設業許可」という区分を設けている。
  • 建設一式工事の場合で、6,000万円以上(消費税込)となる下請契約を締結する場合に特定の許可が必要。
  • 建設一式工事以外の場合で、4,000万円以上(消費税込)となる下請契約を締結する場合に特定の許可が必要。
  • 「専任技術者」と「財産的基礎の確保」の要件は、一般建設業許可よりも厳しくなっている。

「建設業許可を取得して、大きな工事をするんだ!」とお考えであっても、特定建設業許可が必要になるケースもあります。
そのことだけは、忘れないように注意しなければなりません。

特定建設業の許可のメリットは侮れません。
ぜひ、特定建設業の許可も検討してみてください。