経審の点数で未来が変わる?行政書士が算出方法から入札まで徹底解説!


建設業を営む皆さん、会社の「未来」は、もしかしたら経営事項審査(経審)の点数で大きく変わるかもしれません。

経審の点数は、公共工事を受注するために非常に重要な指標となります。

この点数が高ければ高いほど、より大きな規模の工事に参加できるチャンスが広がります。

今回は、この経審の点数がどのように算出されるのか、そして公共工事の入札までの流れを、詳しく解説していきますね。

1.経審の点数って何?なぜ重要?

経審の点数は、簡単に言うと、皆さんの会社の経営状況や技術力を数値化したものです。

公共工事の入札では、各建設業者の施工能力や信頼性を判断するためにこの経審の点数が用いられます。

発注機関は、点数の高い会社をより優良な業者と判断し、入札参加資格を与える際の基準とするんです。

例えば、ある公共工事で「経審の点数が800点以上」という参加資格が定められていた場合、点数が799点の会社は残念ながらその工事には参加できません。

しかし、800点以上の会社は入札に参加できるだけでなく、点数が高ければ高いほど、より規模の大きな工事や、競争率の高い工事で有利になることが多いんです。

特に大阪府内で公共工事を受注したいと考えている建設業者の皆さんにとって、経審の点数は非常に重要です。

大阪府や府内の各市町村(例えば、大阪市、堺市、豊中市など)が発注する公共工事のほとんどは、経審の点数が入札参加の条件として設定されています。

具体的に見てみましょう。

  • 大阪府の場合: 大阪府が発注する工事は、工事の規模や種類に応じて必要な経審の点数(例えば、850点以上、950点以上といった具体的な点数)が細かく定められています。
    点数が高いほど、大規模な工事や、より多くの入札者が集まる競争の激しい工事にも挑戦できるようになります。
    大阪府の入札参加資格の等級区分では、経審結果の総合評定値(P点)に加えて、地元点(大阪府内に主たる営業所がある場合に100点加算)や、福祉点(法定雇用率達成で8点加算)、環境点(エコアクション21などの認証で2点または4点加算)といった独自の加点項目もあります。
     
  • 大阪府内の市町村の場合: 各市町村も、それぞれ独自の基準で経審の点数を設けています。
    例えば、豊中市が発注する学校の耐震補強工事で「経審の点数が1000点以上」という条件があれば、点数が足りない会社は入札に参加できません。
    大阪府内の自治体の多くは、年間発注工事の過半数、おおよそ6割から8割程度の工事で経審の点数を基準にした入札参加資格を設けていると言われています。

このように、経審の点数は、大阪府内で皆さんの会社がどれだけ公共工事に挑戦できるか、その「足切りライン」を決める非常に大切な要素なんです。

点数が高ければ高いほど、入札に参加できる工事の選択肢が広がり、会社の安定的な経営や成長に直結します。

競争参加資格審査

2.経審の点数はどうやって計算されるの?具体的な数字もご紹介!

経審の点数(総合評定値:P点)は、主に以下の5つの要素から計算されます。

それぞれの要素が会社の特性を多角的に評価し、最終的な点数に反映されます。

審査項目最高点最低点P点換算
(最高点)
P点換算
(最低点)
ウェイト
X1:経営規模(完成工事高)2,309点397点577.25点99.25点0.25
X2:経営規模(自己資本額・利益額)2,280点454点342.00点68.10点0.15
Y:経営状況1,595点0点319.00点0.00点0.20
Z:技術力2,441点456点610.25点114.00点0.25
W:その他審査項目(社会性等)2,073点▲1,837点310.95点▲275.55点0.15

上記は一般的な目安であり、実際の算出は複雑な計算式に基づきます。

特に、X1(完成工事高)Z(技術力)は、P点全体に与える影響がそれぞれ25%と最も大きいです。

  1. X1:完成工事高
    評価の対象となる完成工事高は、審査基準日以前の2年間または3年間の平均を選択できます。
    皆さんの会社にとって、より点数が高くなる方を選べるのがポイントです。
    例えば、直近2年間よりも3年間の平均の方が業績が安定している、または高いという場合には、3年平均を選択するメリットがあります。
    完成工事高が極めて高い場合、この項目だけで約2,309点の最高点が得られ、P点にはその25%、つまり約577点が加算されます。
     
  2. X2:自己資本額および平均利益額
    会社の財務状況の健全性を評価します。
    自己資本が多い、つまり借金が少なく会社の体力があるほど点数が上がります。
    また、安定して利益を出している会社も高く評価されます。
    例えば、自己資本が1億円ある会社と5,000万円の会社では、1億円の会社が有利です。
    この項目で最高点を取得すると、P点には約342点が加算されます。
     
  3. Y:経営状況
    会社の経営状況全体を評価する項目です。
    具体的には、純支払利息比率、負債回転期間、総資本売上総利益率、売上高経常利益率、自己資本対固定資産比率、自己資本比率、営業キャッシュフロー、利益剰余金の8つの指標から構成されます。
    経営が安定していて、財務状況が良いほど点数が伸びます。
    この項目はマイナス評価になる可能性もありますが、Y点自体の最低点は0点です。
    ただし、P点に換算すると、他の点数との兼ね合いで最終的にP点がマイナスになる場合もあります。
    Y点評価の最高点は約1,595点で、P点には約319点が加算されます。
     
  4. Z:技術力
    皆さんの会社に所属する技術職員の数や、保有する建設機械の状況、そして元請けとしての完成工事実績などが評価されます。
    技術職員が多いほど、また有資格者が多いほど、点数に大きく影響します。
    例えば、1級土木施工管理技士が5人いる会社と2人の会社では、5人いる会社の方が高く評価されます。
    この項目で最高点を取得すると、P点には約610点が加算され、P点への寄与が最も大きくなります。
    2021年の改正では、監理技術者補佐も加点対象となり、若年技術者(35歳未満)の育成・確保状況も評価されるようになりました。
     
  5. W:社会性等
    会社の社会貢献度や法令遵守状況を評価します。
    例えば、労働災害の少なさ、建設業退職金共済制度への加入状況、ISO認証の取得などが挙げられます。
    社会的な責任をきちんと果たしている会社は、加点される要素となります。
    この項目で最高点を取得すると、P点には約311点が加算されます。
    令和5年8月14日以降を審査基準日とする経審では、「建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況(CCUS活用状況)」がW点に新たに追加されました。
    これにより、W点の算出に用いる係数が変更(1,900/200 から 1,750/200 へ)され、CCUSの活用がないと、W点及びP点が以前よりも下がる可能性があります。

これらの各要素に点数が付けられ、最終的に特定の計算式(P点算出式)に当てはめて総合評定値(P点)が算出されます。

(X1)×0.25+(X2)×0.15+(Y)×0.20+(Z)×0.25+(W)×0.15= P点
※小数点以下、四捨五入

この計算式を見てわかるように、特に完成工事高(X1)技術力(Z)が全体の点数に与える影響が大きいことがわかりますね。

これらはそれぞれ25%ずつを占めています。

例えば、完成工事高を1億円増やすと、P点がおおよそ25点アップする可能性があります。

経営事項審査の通知書

3.経営事項審査から公共工事入札までの流れと有効期間

経審を受けて公共工事の入札に参加するには、いくつか段階を踏む必要があります。

以下のステップで進んでいくのが一般的です。

  1. 決算確定と消費税・法人税の申告
    まず、事業年度が終了したら決算を確定させ、消費税や法人税の申告を行います。
    これは経審の基礎となる財務情報を作成する大切なステップです。
    通常、事業年度終了後2ヶ月以内に行います。
     
  2. 経営状況分析申請(Y点申請)
    経審の「Y点(経営状況)」を算出するために、登録経営状況分析機関に申請を行います。
    会社の財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)を提出し、分析を受けます。
    この分析結果は、通常申請から1週間〜2週間程度で出ます。
     
  3. 経営事項審査申請(X1, X2, Z, W点申請)
    Y点の分析結果が出たら、それと合わせて「X1(完成工事高)」「X2(自己資本額・平均利益額)」「Z(技術力)」「W(社会性等)」の各項目について、管轄の行政庁に経営事項審査申請を行います。
    この申請には、建設業許可の状況や技術者名簿、社会保険加入状況など、多くの書類が必要となります。
    書類の準備には時間がかかることが多いので、早めに着手することをおすすめします。
    申請から審査結果が出るまでは、通常1ヶ月〜2ヶ月程度かかります。
     
  4. 総合評定値通知書(P点)の受領
    経営事項審査が完了すると、行政庁から「総合評定値通知書」が郵送されてきます。
    これに皆さんの会社のP点(総合評定値)が記載されています。
    このP点が、公共工事入札参加資格の基準となります。
    経審の有効期間は、審査基準日(通常は決算日)から1年7ヶ月です。
    例えば、2024年3月31日を決算日とした場合、その経審の有効期間は2025年10月31日までとなります。
    公共工事の入札に参加し続けるためには、この有効期間が切れる前に、毎年継続して経審を受ける必要があります。
     
  5. 入札参加資格申請(指名願)
    P点の通知書を受け取ったら、公共工事の発注機関(国、都道府県、市町村など)に対して「入札参加資格申請」(通称:指名願)を行います。
    この申請は、各発注機関が定める期間に行う必要があり、多くの場合、定期的に受け付けられる期間(例えば、毎年1月頃など)が決まっています。
    この申請書類の中に、先ほど取得したP点の通知書を添付することになります。
    大阪府内の多くの自治体では、電子入札システムの導入が進んでおり、オンラインでの申請が主流になっています。
     
  6. 入札参加資格審査の完了・名簿登録
    申請が認められると、皆さんの会社は「入札参加資格者名簿」に登録されます。
    これにより、その発注機関が発注する公共工事の入札に参加できるようになります。
    この登録は通常、有効期間が1年〜3年と定められており、期間満了前に更新手続きが必要です。
     
  7. 入札参加と落札
    名簿に登録されたら、いよいよ公共工事の入札に参加できます。
    各発注機関のウェブサイトなどで公告される入札情報を確認し、自社のP点や得意な工事内容に合った案件に入札します。
    無事に落札できれば、公共工事を受注できることになります。
経営事項審査の流れ

4.経審の点数を上げるにはどうすればいい?具体的な対策!

経審の点数を上げるためには、各要素をバランス良く改善していくことが重要です。

  • 完成工事高を増やす努力をする
    より多くの工事を受注し、着実に完成させることが、点数アップの近道です。
    例えば、年間1億円だった完成工事高を1億5,000万円に増やすことができれば、X1の評価が向上し、P点が約12.5点アップする可能性があります。
    また、完成工事高の集計期間は2年平均と3年平均から選択可能ですので、自社にとって最も点数が高くなる方を選びましょう。
     
  • 財務体質を強化する
    自己資本を増やし、負債を減らすことで、会社の安定性が評価されます。
    例えば、不必要な経費を見直して年間100万円の利益を増やせば、X2の評価が向上し、P点も約1.5点アップする可能性があります。
     
  • 技術職員を育成・確保する
    有資格者を増やすことは、Z点の向上に直結します。
    新たな資格取得支援制度を設けるなども有効です。
    例えば、1級施工管理技士を1人増やすだけで、P点に数点から数十点影響する場合があります。
    監理技術者補佐資格者の登録も忘れずに行いましょう。
     
  • 社会性を高める取り組み
    労働災害の防止、福利厚生の充実など、従業員が安心して働ける環境を整備することも、最終的に点数に反映されます。
    特に、建設業退職金共済制度(建退共)への加入退職一時金制度または企業年金制度の導入法定外労働災害補償制度への加入は、それぞれ加点対象となるため、積極的に検討してみてください。
    これらの制度を導入・加入することで、P点に大きく貢献します。
    また、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用状況も令和5年8月14日以降の審査基準日から加点対象となりました。
    全ての公共工事でCCUS活用措置を実施していれば10点、民間工事を含む全ての工事で実施していれば15点加点されます。
    この加点がないと、W点算出時の係数変更により、点数が下がる可能性もあるため、積極的に導入を検討しましょう。

経審の点数は一度上がれば終わりではなく、毎年継続して審査を受ける必要があります。

会社の成長とともに点数も伸ばしていくことで、将来的に参加できる公共工事の選択肢が格段に広がりますよ。

この情報が、あなたの事業の発展に少しでも貢献できれば幸いです。