建設業許可がなくても大丈夫?単価契約の注意点

建設業を営む皆さま、いつもお仕事お疲れ様です!

「建設業許可がないから、単価契約なら大丈夫だろう」

と考えていらっしゃる方が時々いらっしゃいます。

結論から言うと、これは大きな誤解です。

単価契約であっても、「工事全体の請負金額」が一定の金額以上になる場合は、建設業許可が必要になります。

今回は、特に注意が必要な「単価契約」について、行政書士として、わかりやすく解説させていただきますね。

1.単価契約と時価契約、どっちが有利?

建設業の契約は、大きく分けて単価契約時価契約の2つの方法があります。

それぞれにメリットとデメリットがあるので、違いについて一緒に考えていきましょう。

単価契約とは?

単価契約は、工事を行う前に、資材や作業員1人あたりの単価を決めておく契約です。

たとえば、以下のような単価を決めておきます。

  • コンクリート1立方メートルあたり〇円
  • 作業員1人1日あたり〇円
  • 重機1時間あたり〇円

単価契約のメリットは、工事全体の金額を細かく把握しやすい点です。

工事の進捗に合わせて発注されるので、発注側(施主)も受注側(建設業者)も、その都度いくらかかるか明確になります。

特に、工期が長くなりがちで、途中で仕様変更や追加工事が発生しやすい土木工事解体工事メンテナンス工事などではよく使われます。

時価契約とは?

時価契約は、工事が完了した後に、その時点の市場価格(時価)を基に工事代金を算出する契約です。

単価契約と違って、事前に細かな単価は決めず、工事にかかった実際の費用(資材費、人件費、運搬費など)と、それに利益を上乗せして請求します。

時価契約のメリットは、急な資材の高騰や人件費の変動にも対応しやすい点です。

ただし、最終的な工事金額が確定しないため、施主にとっては金額が読みにくいというデメリットがあります。

どちらの契約が有利?

「どちらが有利か」は、一概には言えません。

ご自身の事業の状況や工事内容によって、メリット・デメリットが大きく変わるからです。

単価契約時価契約
金額の明確さ✅ 事前に金額がわかりやすい❌ 最終的な金額が変動しやすい
資材価格の変動リスク❌ 材料費が上がった場合、業者側の負担になる可能性がある✅ 時価に合わせて請求できる
追加工事・変更❌ 契約外の工事が難しい✅ 柔軟に対応しやすい
向いている工事仕様が明確で追加工事が少ない工事仕様の変更が頻繁に発生する工事、緊急の対応が必要な工事

一番大切なのは、施主とお互いに納得できる契約を結ぶことです。

どちらの契約方法を選ぶにしても、事前にしっかりと内容を話し合い、書面で契約を交わすことがトラブルを避けるために非常に重要です。

2.建設業許可は、単価契約でも必要?

単価契約であっても、「工事全体の請負金額」が一定の金額以上になる場合は、建設業許可が必要になります。

これは、建設業法という法律で厳しく定められています。

建設業法では、許可が不要な工事を「軽微な建設工事」と呼んでおり、その範囲は次のように定められています。

  • 建築一式工事:工事1件の請負金額が1,500万円未満(税込)の工事、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事
  • その他の工事:工事1件の請負金額が500万円未満(税込)の工事

たとえ単価契約であっても、その目的が「建設工事の完成」である限りは、建設業法が適用される請負契約とみなされます。

「軽微な建設工事」の注意点

単価契約で最も注意が必要なのは、「工事1件の請負金額」の考え方です。

単価契約の場合、その都度発注が行われるので「今回の請負金額は50万円だから大丈夫」と思っていても、同じ工事の中で何度も発注が繰り返され、最終的な合計金額が500万円以上になってしまうことがあります。

この場合、合計金額が「軽微な建設工事」の範囲を超えるため、建設業法違反となり、罰則の対象となります。

無許可で工事を請け負うとどうなる?

  • 3年以下の懲役または300万円以下の罰金といった、非常に重い罰則が科される可能性があります。
  • また、法人にも罰金が科せられることがあります。

3.単価契約のもう一つの落とし穴「偽装請負」

単価契約のなかには、「偽装請負」とみなされてしまうケースがあります。

偽装請負とは、形式上は「請負契約」なのに、その実態は「労働者の派遣」であると見なされることです。

例えば、

  • 「作業員1人1日あたり〇〇円」という契約で、発注者が直接、作業員に指示を出す
  • 請負契約なのに、作業員に対する指揮命令権が発注者にある

このような場合、労働者派遣法違反となり、建設業法とは別の法律で罰則を受ける可能性があります。

価契約を結ぶ際は、あくまで「工事の完成」を目的にしていることを明確にし、作業員への指示は請け負った会社が責任をもって行うことが重要です。

単価契約は、工事の柔軟性を高める便利な契約方法ですが、建設業許可の要否や、偽装請負の観点から、法的なリスクが潜んでいることを知っておくことが大切です。

  • 単価契約でも、工事全体の請負金額が500万円以上(税込)になる場合は、建設業許可が必要です。
  • 単価契約を結ぶ際も、発注者との間で指揮命令系統を明確にし、あくまで「工事の完成」を目指す請負契約であることを確認しましょう。

この情報が、あなたの事業の発展に少しでも貢献できれば幸いです。