【事例で解説】建設業許可申請でよくある間違いと対策!
建設業許可の申請は、多くの書類と複雑な要件が絡み合うため、「完璧にやったつもりでも、実は間違いがあった!」なんてことが少なくありません。
せっかく時間と労力をかけて準備しても、小さなミスで審査が止まってしまうのは避けたいですよね。
今回は、私が「建設業許可申請でよくある間違い」を具体的な事例を交えながらご紹介し、その対策までを優しく、そして詳しく解説していきます。
目次
1.「経験」はあるけど「証明」がない!~経営業務管理責任者・営業所技術者の事例~
建設業許可で最も重要なのが、会社の経営経験を示す「経営業務の管理責任者」と、技術的な経験を示す「営業所技術者」です。
多くの方が「経験は十分ある!」とおっしゃるのですが、その「経験」を客観的な書類で証明できないという間違いが非常に多いんです。
- よくある間違い事例
- 経営業務の管理責任者の場合
- 「社長は長年この業界で経営してるから大丈夫!」と思っていても、当時の役員登記簿謄本や役員報酬がわかる確定申告書など、経営に携わっていたことを客観的に証明できる書類が揃っていない。
- 過去の会社での経験を証明しようとしても、その会社がすでに廃業しており、当時の書類が一切残っていない。
- 営業所技術者の場合
- 「現場経験は10年以上ある!」と自信満々でも、その10年間の工事請負契約書や注文書、請求書などがほとんど残っていない、あるいは内容が不明瞭(単に「工事代金」としか書いていないなど)で、具体的な工事内容や期間が確認できない。
- 個人事業主時代の経験を証明しようとするが、確定申告書の事業内容が「建設業」となっていないなど、経験業種との関連性が証明できない。
- 経営業務の管理責任者の場合
- 【対策!】
- 「経験」は「書類」で語る: 口頭の説明だけではダメです。特に、経営業務管理責任者や営業所技術者の方の「在籍期間」「役職」「関わった工事内容」が明確に分かる公的な書類や契約書類を最優先で探し、準備しましょう。
- 書類がない場合の代替案: もし契約書などが残っていない場合は、工事台帳、発注書、請求書控え、入出金がわかる通帳の記録など、他の客観的な証拠になりそうなものを探してみて行政庁に確認してみましょう。
- 個人事業主時代の記録も大切に: 個人事業主として経験を積んだ場合は、当時の確定申告書や工事台帳、請負契約書などを必ず保管しておきましょう。
2.書類は揃えたけど「有効期限切れ」や「記載ミス」が多発!~書類作成・収集の事例~
必要な書類をリストアップして集めたつもりでも、いざ提出する段階になって、実は「有効期限が切れていた」り、「記載内容にミスがあった」りするケースは、申請の遅れに直結する大きな間違いです。
- よくある間違い事例
- 有効期限切れ
- 住民票や身分証明書、納税証明書など、発行から3ヶ月以内という有効期限がある書類を、申請直前に取得せず、期限切れのものを提出してしまう。
- 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)も発行日が古いまま提出してしまう。
- 記載ミス・記入漏れ
- 申請書の日付や金額の記入を間違える。
- 特定の添付書類に押印を忘れてしまう。
- 社名や代表者名、住所の漢字を、他の公的書類と微妙に違った記載をしてしまう(例:「髙」と「高」など)。
- 不鮮明なコピー: 提出する書類のコピーが、読めないほど不鮮明で、内容が確認できない。
- 有効期限切れ
- 【対策!】
- チェックリストの活用と複数人での確認: 必要な書類のリストを作成し、それぞれに有効期限や取得日、内容の確認項目を記載するチェックリストを作りましょう。書類の作成・収集後には、必ず複数人で最終チェックを行うことをお強くお勧めします。
- 最新情報の確認: 各書類の発行機関(市役所、法務局など)のウェブサイトで、必要書類や発行期限、手数料などを常に最新の情報で確認しましょう。
- 余裕を持った取得: 有効期限のある書類は、申請提出日を見越して、少し余裕を持って取得するように心がけましょう。
3.「営業所」の実態が伴わない!&「社会保険」の認識不足!~営業所・社会保険の事例~
建設業許可において、事業を行う「営業所」が実態を伴っているか、そして従業員を守る「社会保険」にきちんと加入しているか、という点は、見落とされがちながらも非常に重要な審査ポイントです。
- よくある間違い事例
- 営業所の実態不備
- 自宅の一部を営業所としているが、生活スペースと明確に区別されておらず、独立した執務スペースがない。
- バーチャルオフィスなど、実体のない住所を営業所として申請しようとする。
- 電話やFAX、机、パソコンなどの事務設備が十分に整っていない。
- 社会保険の認識不足
- 法人の場合、代表者一人だけでも健康保険・厚生年金保険への加入義務があることを知らず、未加入のまま申請してしまう。
- アルバイトやパート従業員の場合でも、勤務時間や日数によっては社会保険や雇用保険への加入義務があることを認識していない。
- 未加入のまま申請し、行政から指摘を受けてから慌てて加入しようとする。
- 営業所の実態不備
- 【対策!】
- 営業所の実態確保: 申請する営業所は、きちんと事業活動が行える物理的なスペースであることを確認しましょう。自宅兼事務所の場合は、業務スペースが明確に区別されている写真などを用意できると良いでしょう。
- 社会保険の確認と加入: 会社の状況(法人か個人事業主か、従業員の人数など)に応じて、健康保険、厚生年金保険、雇用保険への加入義務があるかを事前に確認し、未加入の場合は申請前に必ず加入手続きを済ませておきましょう。
- 特に法人の場合、たとえ社長一人でも社会保険の加入義務があります。
- 専門家(社労士)に相談し、自社の社会保険加入状況を確認してもらうと確実です。
建設業許可申請でよくある間違いとその対策について、具体的な事例を交えながら解説しました。
これらのポイントを事前にしっかり押さえておくことで、無駄な時間や労力をかけずに、スムーズに許可を取得できる可能性が高まります。
この情報が、あなたの事業の発展に少しでも貢献できれば幸いです。

