ゼロからわかる!「機械器具設置工事業許可」の取り方と知っておくべきポイント
機械据付工職人として、あなたの技術と情熱をさらに大きく花開かせたい。
そうお考えなら、「機械器具設置業許可」の取得は避けて通れない大切なステップです。
この記事では、機械器具設置業許可の取得要件から見落としがちなポイントまで、あなたが知りたい情報をわかりやすく解説していきます。
1.「機械器具設置工事業」の範囲を明確に!作業内容と他業種との違い
機械器具設置工事業は、工場やビルなどに様々な機械や設備を据え付け、運転可能な状態にする、非常に専門性の高い、現代社会を支える大切なお仕事ですね。
具体的にどのような作業が含まれるのか、そして他の業種とどう違うのか、ご説明しますね。
「建設工事の内容を定める告示」に基づく機械器具設置工事業の作業内容
まず、「建設工事の内容を定める告示」という国のルールでは、機械器具設置工事業は以下のように定義されています。
- 機械器具設置工事
機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取り付ける工事
簡単に言うと、様々な機械器具を組み立てたり、分解して設置したり、建物やプラントに取り付けたりする工事全般を指します。工場設備や生産ライン、立体駐車場などが代表的な例です。
「建設業許可事務ガイドラインの例示」に基づく具体的な作業内容
次に、「建設業許可事務ガイドライン」という、許可を出す側の行政が参考にしている資料には、もっと具体的な例が載っています。
これらの例を一つずつ詳しく見ていきましょう。
- プラント設備工事
- 化学工場、製鉄所、発電所などの大規模な生産設備や製造ラインを、基礎工事から据え付け、配管、配線、試運転まで一貫して行う工事です。非常に高度な技術と安全管理が求められます。
- 運搬機器設置工事
- エレベーター、エスカレーター、コンベヤー、クレーン、搬送ロボットなど、人や物を運ぶための機械を設置する工事です。安全性と機能性を確保するために、精密な据え付けが必要です。
- 内燃力発電設備工事
- ディーゼルエンジンやガスタービンなどを用いた自家発電設備を設置する工事です。非常用電源やコジェネレーションシステム(熱電併給)などで利用されます。
- 集塵機器設置工事
- 工場などで発生する粉じんや有害物質を捕集・除去するための集塵機やその関連設備を設置する工事です。作業環境の改善や公害防止に貢献します。
- 給排気機器設置工事
- 換気扇、換気ダクト、空調機の室内機・室外機など、建物内の空気の給気・排気を行う機器を設置する工事です。快適な室内環境を維持するために重要です。
- 揚排水機器設置工事
- ポンプ、送風機、水処理設備など、液体や気体を送り出す・排出するための機器を設置する工事です。上水道・下水道施設や農業用水路などで用いられます。
- ダム用水門設置工事
- ダムや河川に設置される水門(ゲート)やその開閉装置を設置する工事です。治水や利水に不可欠な大規模な設備です。
- 舞台装置設置工事
- 劇場やホールにおける舞台の昇降装置、幕の開閉装置、照明バトン、音響設備など、舞台を機能させるための各種装置を設置する工事です。
- サイロ設置工事
- 穀物やセメント、粉体などを貯蔵するための大型の貯蔵施設であるサイロを設置する工事です。通常、金属製やコンクリート製で、その構造と付属設備の設置が含まれます。
- 立体駐車設備工事
- 機械式駐車場(タワーパーキング、昇降式駐車場など)の機械本体を設置する工事です。スペースの有効活用に貢献します。
- (ただし、とび・土工工事業、管工事業、電気工事業等と重複するものを除く。)
- このただし書きが非常に重要です。機械器具設置工事は、他の専門工事と密接に関わるため、どの工事がどの業種に該当するのか、注意深く区別する必要があります。
間違いやすい他の業種との切り分け
ここがとても大切なポイントです。
機械器具設置工事業と間違えやすい業種がいくつかありますので、しっかり区別できるようにしましょう。
- とび・土工・コンクリート工事との違い
- とび・土工・コンクリート工事は、建物の基礎工事、土砂の掘削・埋め戻し、コンクリートの打設など、「構造物そのものの構築や、機械の据え付けに付随する基礎工事」 がメインです。例えば、機械を据え付けるためのコンクリート基礎を造る作業は、とび・土工・コンクリート工事に該当します。
- 機械器具設置工事業は、その基礎の上に「機械器具を設置する」 作業です。
- 切り分けのポイント:「機械を設置するための土台を作る」のがとび・土工・コンクリート工事、「その土台の上に機械を組み上げ、設置する」のが機械器具設置工事、と区別されます。クレーン等による機械の搬入・据え付け作業は、一般的に機械器具設置工事に含まれますが、建設現場での大規模な揚重作業自体はとび工事にも関連します。
- 切り分けのポイント:「機械を設置するための土台を作る」のがとび・土工・コンクリート工事、「その土台の上に機械を組み上げ、設置する」のが機械器具設置工事、と区別されます。クレーン等による機械の搬入・据え付け作業は、一般的に機械器具設置工事に含まれますが、建設現場での大規模な揚重作業自体はとび工事にも関連します。
- 管工事との違い
- 管工事は、給排水、給湯、冷暖房、ガスなどの「配管」を設置する工事です。建物内の給排水設備や空調設備の配管工事がこれに当たります。
- 機械器具設置工事業は、機械本体の設置がメインですが、その機械が機能するために必要な配管(機械に付属する範囲のものや、工場設備等の製造ラインに組み込まれる特殊な配管など)も含まれることがあります。しかし、一般的な給排水管や冷暖房の室外機から室内機への配管などは管工事に該当します。
- 切り分けのポイント: 「独立した配管設備」は管工事、「機械の一部として、または機械が機能するために不可欠な範囲の配管」は機械器具設置工事、と判断されることが多いです。ただし、線引きが難しい場合も多いため、個別の事例で判断が必要です。
- 電気工事との違い
- 電気工事は、発電、送電、変電、配電、電気設備の設置など、「電気の供給や使用に関する設備」 を設置する工事です。機械に電気を供給するための幹線工事や動力盤の設置などがこれに当たります。
- 機械器具設置工事業は、機械本体の設置がメインですが、機械の内部配線や、機械の運転に直接必要な制御盤の取り付けなどは含まれることがあります。
- 切り分けのポイント: 「建物全体の受変電設備や幹線配線」は電気工事、「機械本体の電源接続や機械内部の制御配線」は機械器具設置工事、と区別されます。これも管工事と同様、線引きが難しい場合が多いです。
- 鋼構造物工事との違い
- 鋼構造物工事は、鉄骨構造物(橋梁、鉄骨ビル、大型タンクなど)や水門など、「厚板を用いた大規模な鋼製の構造物」 を製作・設置する工事がメインです。
- 機械器具設置工事業のダム用水門設置工事やサイロ設置工事は、鋼構造物工事と重なる部分がありますが、機械器具設置工事は、あくまで「機械器具としての機能を持つものを設置する」 という点に主眼が置かれます。
- 切り分けのポイント: 「構造物そのものとしての製作・組み立て」が鋼構造物工事、「その構造物が特定の機能を持つ機械として設置される」場合は機械器具設置工事、と判断されることがあります。
2.「機械器具設置工事業」で一般建設業許可を取得するための要件や注意点
ここからは、実際に許可を取得するための大切な要件について、最新の情報も踏まえてご説明しますね。
以前よりも緩和された部分もありますので、ぜひ前向きにご検討ください。
建設業許可の5つの基本要件
一般建設業許可を取得するためには、大きく分けて以下の5つの要件を満たす必要があります。
- 経営業務の管理責任者等
- 営業所ごとに置く専任の技術者(旧:専任技術者)
- 財産的基礎又は金銭的信用
- 欠格要件に該当しないこと
- 誠実性
一つずつ、分かりやすくご説明しますね。
1.経営業務の管理責任者等
以前は「経営業務の管理責任者(通称:経管)」という、かなり厳しい要件がありましたが、令和2年10月1日からは「経営業務の管理責任者等」という新しい要件に緩和されました。
これは、経営経験のある方がいなくても、経験のある方を補佐する体制が整っていれば許可が取れるようになったということです。
具体的には、以下のいずれかに該当する必要があります。
- (A)経営業務の管理責任者としての経験を持つ方
- 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
- 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る)として経営業務を管理した経験を有する者
- 建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
- (B)適切な経営体制が構築されている方
- 建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
- 5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者
さらに、以下を有するものを置く必要があります。- 申請を行う会社で、建設業の財務管理について役員等に次ぐ職制上の地位の経験を5年以上有する者
- 申請を行う会社で、建設業の労務管理について役員等に次ぐ職制上の地位の経験を5年以上有する者
- 申請を行う会社で、建設業の業務運営について役員等に次ぐ職制上の地位の経験を5年以上有する者
ここがポイント:- 以前のように社長さんや役員の方が必ずしも長年の建設業経営経験を持っている必要がなくなりました。経験豊富なナンバー2の方や、会社の財務・労務をしっかりと管理できる方がいれば、許可取得の道が開ける可能性が高まりました。
- 常勤役員等は、原則としてその会社の役員や個人事業主でなければなりません。
- 経験を証明する書類(確定申告書、工事請負契約書など)が必要になりますので、日ごろからきちんと保管しておくことが大切です。
2.営業所ごとに置く専任の技術者(旧:専任技術者)
以前は「専任技術者」と呼ばれていましたが、要件の本質は変わりません。
各営業所に、その業種に関する専門知識と経験を持った技術者(「営業所技術者」と呼ぶこともあります)を常勤で配置する必要があります。
機械器具設置工事業の場合、以下のいずれかの要件を満たす方が必要です。
- (A)国家資格を持っている方
- 建設業法「技術検定」:合格証明書
- 一級建築施工管理技士:合格後実務経験3年以上
- 一級建築施工管理技士補:合格後実務経験3年以上
- 二級建築施工管理技士(建築、躯体、仕上げ):合格後実務経験5年以上
- 二級建築施工管理技士補:合格後実務経験5年以上
- 一級電気工事施工管理技士:合格後実務経験3年以上
- 一級電気工事施工管理技士補:合格後実務経験3年以上
- 二級電気工事施工管理技士:合格後実務経験5年以上
- 二級電気工事施工管理技士補:合格後実務経験5年以上
- 一級管工事施工管理技士:合格後実務経験3年以上
- 一級管工事施工管理技士補:合格後実務経験3年以上
- 二級管工事施工管理技士:合格後実務経験5年以上
- 二級管工事施工管理技士補:合格後実務経験5年以上
- 技術士法「技術士試験」:登録証
- 機械・総合技術監理(機械)
- 機械「流体機器」又は「熱・動力エネルギー機器」・総合技術監理(機械「流体機器」又は「熱・動力エネルギー機器」)
- 国土交通大臣が認める登録基幹技能者
- 登録計装基幹技能者
- 建設業法「技術検定」:合格証明書
- (B)実務経験が豊富な方
- 機械器具設置工事業に関する実務経験が10年以上ある方
- 指定学科(建築学、機械工学、電気工学)を卒業している場合、経験年数が短縮されます。
- 大学・高専卒業:3年以上
- 高校卒業:5年以上
ここがポイント:- 実務経験10年というのは、個人事業主としての経験も含まれます。
- 経験を証明するためには、工事請負契約書、請求書、入金確認ができる通帳のコピーなど、具体的な証拠書類が必要になります。曖昧な記憶ではなく、客観的に証明できるものを用意しましょう。
- 専任性について: 営業所技術者は、その営業所に常勤している必要があります。他の会社に籍を置いていたり、他の事業を兼業していたりする場合は認められません。
3.財産的基礎又は金銭的信用
会社にお金がきちんとあるか、信用があるか、という要件です。
一般建設業許可の場合は、以下のいずれかを満たす必要があります。
- 自己資本が500万円以上あること
直前の決算書(貸借対照表)の「純資産の額」が500万円以上であればOKです。 - 500万円以上の資金を調達する能力があること
預金残高証明書などで500万円以上の残高を証明できればOKです。申請日直前の残高証明書が必要です。 - 許可申請直前の過去5年間、継続して建設業の許可を受けて営業した実績があること
すでに許可をお持ちで更新される方などはこちらの要件でクリアできます。
ここがポイント:- 「500万円以上の資金を調達する能力」は、申請時に一時的に預金残高を増やして証明することも可能です。ただし、一時的な増額は、将来の経営に影響が出ないよう、慎重に検討しましょう。
4.欠格要件に該当しないこと
建設業の許可を取り消されたり、法律に違反したりしたことがないか、という要件です。
具体的には、以下のような事項に該当しないことが必要です。
- 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
- 不正な手段で許可を受けた、または営業停止処分に違反したことにより許可を取り消されてから5年が経過していない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年が経過していない者
- 建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法などの特定法令に違反して罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年が経過していない者
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年が経過していない者
- 未成年者で、その法定代理人が上記のいずれかに該当する者
ここがポイント:- 役員全員、政令で定める使用人(支店長など)、総株主の議決権の5%以上を有する個人株主、個人事業主本人などが対象となります。
5.誠実性
請負契約の締結や履行において、不正または不誠実な行為をするおそれがないこと、という要件です。
- 具体的には、契約内容を故意に履行しなかったり、請負代金をごまかしたり、他社を欺いたりするような行為がないことが求められます。
- 過去に建設業法違反などがあった場合、誠実性が認められないことがあります。
社会保険について
建設業許可の取得には、社会保険(健康保険、厚生年金保険)への加入が必須です。
- 法人であれば、従業員の有無にかかわらず、社長さん一人でも加入義務があります。
- 個人事業主の場合も、従業員を5人以上雇用していれば加入義務があります。
- 雇用保険も、従業員を雇用していれば加入義務があります。
ここがポイント:- 未加入の場合は、許可申請前に加入手続きを済ませておく必要があります。これは、建設業界全体の健全化を目指す国の動きとして、非常に重視されています。
その他、許可取得に向けた注意点
- 申請書類の準備: 必要書類は非常に多く、複雑です。ご自身で準備される場合は、時間と労力がかかります。
- 実務経験の証明: 工事請負契約書、注文書、請求書、入金確認ができる通帳のコピーなど、具体的な証拠書類を漏れなく揃えることが重要です。
- 営業所の確認: 営業所がきちんと機能しているか(独立したスペースがあるか、看板があるかなど)も確認されます。バーチャルオフィスなどは認められません。
- 経営業務の管理責任者等と営業所技術者の兼任: 要件を満たせば、同一人物が両方を兼ねることも可能です。ただし、その人が実態としてそれぞれの業務を遂行できる状況にある必要があります。
- 役員変更登記など: 許可申請前に役員や商号変更などが必要な場合は、事前に済ませておく必要があります。
機械器具設置工事業の許可取得は、決して簡単な道のりではありませんが、要件が緩和されたことで、以前よりも取得しやすくなっています。
許可取得はゴールではなく、新たなスタートラインです。
この情報が、あなたの事業の発展に少しでも貢献できれば幸いです。

