【欠格要件】取消処分から5年間、建設業許可はダメ

建設業許可に必要な要件のひとつに、「欠格要件」というのがあります。
「スピード違反で反則金を支払ったけど、建設業許可を受けれる?」
「過去に犯罪を犯したけど、大丈夫じゃないの?」
などと、思ってはおられませんか?
建設業許可の新規申請後などに、警察にて前科照会をして調査されますよ。
1.欠格要件の対象者
対象者は、役員と同等以上の支配力を有する者も含まれます。
役員は、非常勤役員も含まれますが、監査役は除かれます。
従業員も対象ではありません。
法人の場合
- 法人自体
- 取締役
- 業務執行役員(持分会社)
- 相談役や顧問
- 株主(5%以上の議決権を有する者)
- 令3条の使用人(支配人や営業所長など)
個人事業主の場合
- 個人事業主本人
- 令3条の使用人(支配人)
これらの方が、欠格要件に該当すると不許可となります。
建設業許可業者の場合は、建設業許可が取消されます。
建設業許可が取消されると、欠格要件に該当した人だけでなく、全員が新たに欠格要件に該当することになります。
取消処分から5年間、建設業許可を受けることが出来ません。

2.欠格要件の内容
「欠格要件」には、どんなものがあるのか確認してみましょう。
- 許可申請書もしくは添付書類中に重要な事項について、虚偽の記載があり、または重要な事実の記載が欠けているとき
- 成年被後見人、被保佐人または破産者で復権を得ない者
- 不正の手段で許可を受けたこと等により、その許可を取り消されて5年を経過しない者
- 不正の手段で許可を受けたこと等により、聴聞の通知を受け取った後、廃業の届出をしてから5年を経過しない者
- 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼし、または危害を及ぼす恐れが大きいとき、あるいは請負契約に関して不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間を経過しない者
- 禁錮以上の刑を処せられその刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定める者、もしくは暴力団員による不要な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、または刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
許可申請書もしくは添付書類中に重要な事項について、虚偽の記載があり、または重要な事実の記載が欠けているとき
ウソを書いたり、都合の悪いことを書かずに隠したりすると虚偽申請になります。
「虚偽のつもりはなく、うっかり忘れただけ!」と言っても、虚偽申請です。
傷害事件を起こし罰金を払ったあとに、数年後に更新申請をしたとします。
「誓約書」や「略歴書」に、欠格要件には該当しない旨を書いて提出したら、虚偽記載と判断され、許可取消となります。
会社とその時のすべての取締役が、5年間許可を取得できなくなります。
成年被後見人、被保佐人または破産者で復権を得ない者
「成年被後見人・被保佐人」とは、知的障害や精神障害により判断能力を欠く人のことです。
家庭裁判所で後見開始の審判を受けないとなり得ません。
「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」により、「成年被後見人又は被保佐人」が「心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの」に改められました。
成年被後見人又は被保佐人に該当する場合であっても、医師の診断書などにより、回復の見込みや医師の所見を考慮したうえで、建設業を適正に営むために必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができると認められる場合については、欠格事由に該当しなくなりました。
「破産者で復権を得ていない者」とは、自己破産の経験というわけではありません。
自己破産の経験があっても、復権を得ていればOKです。
復権を得れば、ブラックリストに載っていても大丈夫です。
裁判所から「免責」を受けていれば許可申請できます。
「免責」を受ける前の破産手続き中は、欠格要件に該当します。
建設業法では、ブラックリストを欠格要件とは定めていません。
不正の手段で許可を受けたこと等により、聴聞の通知を受け取った後、廃業の届出をしてから5年を経過しない者
「取消されたら5年間許可取れない!」と思い、廃業届を出しました。
取消し逃れの為に廃業届を出しても、5年間は許可を取れません。
禁錮以上の刑を処せられその刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
禁錮刑以上は、罪名に関係なく欠格要件に該当します。
刑期が終わってから5年間は許可が取得できません。
自動車による人身事故などで、執行猶予付きの懲役刑を受けた場合も対象です。
執行猶予つきの場合は、執行猶予期間が終わるまでは欠格要件に該当します。
執行猶予期間が終われば、欠格要件に該当しません。
建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定める者、もしくは暴力団員による不要な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、または刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
これらの法令違反で、「罰金刑」を受けた場合は許可取消となります。
- 建設業法
- 刑法(傷害、暴行、脅迫、背任、現場助勢、凶器準備集合)
- 建築基準法
- 宅地造成等規制法
- 都市計画法
- 景観法
- 労働基準法
- 労働者派遣法
- 職業安定法
- 暴力行為等処罰に関する法律
駐車違反や速度出し過ぎで反則金を支払っても、建設業法関連の罰金刑ではないので問題ありません。
ただし悪質な場合は、罰金刑に該当する可能性があります。
また暴力団員だと欠格要件に該当するので、暴力団を辞めてから5年間経過しないと許可は取れません。
暴力団員等が内部にいなくても、経営に関して外部的に支配している場合は欠格要件に該当します。
誠実性と欠格事由の要件確認書類は、以下の書類で確認されます。
併せて、審査の過程で警察への照会が行われます。
- 誓約書
- 登記されていないことの証明書
- 身分証明書
3.まとめ

大まかに、まとめてみると。
- 対象者は、警察に前科照会をして調査される。
- 取消処分から5年間、建設業許可を受けることが出来ない。
- 禁錮刑以上は、罪名に関係なく欠格要件に該当する。
- 法令違反で「罰金刑」を受けた場合は、欠格要件に該当する。
- 暴力団を辞めてから、5年間経過しないと許可は取れない。
欠格要件に該当する者がいるのに虚偽申請をすると、会社とすべての取締役が5年間許可申請できなくなります。
欠格要件に該当する人を、あらかじめ取締役から外して申請すれば問題ありません。
欠格該当者は、会社を辞める必要はありません。
また許可を取得してからも、欠格要件に該当するものがいないか注意してくださいね。
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