未加入なら許可は消える?建設業の「社会保険」義務化をやさしく解説!
今回は、建設業の許可を取るために、絶対に避けては通れないお話をします。
それは「社会保険(病気や老後に備える公的な仕組み)」への加入についてです。
実は、今のルールでは、これに入っていないと許可がもらえません。
「うちは大丈夫かな?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
でも、安心してください。
初心者でもわかる言葉で、心を込めて丁寧に解説します。
1.なぜ社会保険に入らないと許可がもらえないの?
昔は、社会保険に入っていなくても建設業の許可が取れる時代がありました。
しかし、今はルールが変わり、「許可の要件(許可をもらうための絶対の条件)」になりました。
なぜ、国はここまで厳しく決めたのでしょうか。
理由は大きく分けて3つあります。
- 工事で働く人たちが、安心して長く働ける環境を作るためです。
- 若い人が「建設業で働きたい」と思える業界にするためです。
- 保険料をきちんと払っている会社が、損をしない仕組みにするためです。
保険料を払わない会社は、その分、工事の価格を安くできてしまいます。
それは「ずるい競争」になってしまうので、国がストップをかけたのです。
建設業法施行規則第7条(建設業の細かいルールを定めたきまり)で、しっかり決められています。
2.許可に必要な「3つの保険」をチェックしましょう
建設業の許可を取るためには、次の3つのセットに正しく入っている必要があります。
ご自身の会社がどれに当てはまるか、確認してみてください。
- 健康保険
病気やケガをしたときに、病院で使う保険証のことです。
法人の場合は、社長一人であっても加入しなければなりません。 - 厚生年金保険
年を取ったときや、体に障害が残ったときにもらえる年金の仕組みです。
これも、法人の場合は加入が義務づけられています。 - 雇用保険
従業員がもし仕事を辞めたときに、失業手当をもらうための保険です。
一人でも従業員(アルバイトも含みます)を雇っていれば、入る必要があります。
3.「建設国保」や「土建国保」でも大丈夫?
建設業界には、古くから「建設国保」や「土建国保」という独自の保険があります。
「これに入っているけど、許可は取れるの?」という質問をよくいただきます。
結論から言うと、「手続きをしていれば大丈夫」です。
本来、法人の会社は「協会けんぽ(全国健康保険協会がつくる保険)」に入るのがルールです。
しかし、以前から建設国保などに入っている場合もありますよね。
その場合は、年金事務所に「健康保険被保険者適用除外(特定の保険に入らなくてよいという特別の認め)」の申請を出します。
この承認をもらっていれば、建設国保のままでも「健康保険に入っている」と認めてもらえます。
ただし、年金(厚生年金)については、必ず年金事務所で入らなければなりません。
ここを勘違いしやすいので、気をつけてくださいね。
4.建設業ならではの「労働保険」の計算ルール
次に、「労働保険(労災保険と雇用保険を合わせた呼び方)」のお話です。
建設業の計算方法は、他の仕事とは少し違っていて「二元適用(二つの方法で計算すること)」と呼ばれます。
なぜ建設業だけ特別な計算をするのでしょうか。
それは、建設業が「元請(工事を直接引き受けた人)」と「下請(元請から仕事を任された人)」という複雑な関係だからです。
- 労災保険(仕事中のケガの保険)
現場の労災は、基本的に「元請の会社」がまとめて計算して払います。
計算は「工事の請負金額(工事全体の代金)」をもとに計算します。 - 雇用保険(失業のための保険)
それぞれの会社が、自分のところの従業員に払った「給料の総額」をもとに計算します。
このように、計算の仕方が別々なので、書類も別々に出てくることが多いです。
許可の申請では、特に「雇用保険」にちゃんと入っているかを見られます。
「労働保険概算確定申告書(保険料の計算結果を書いた紙)」という書類を準備しておきましょう。
5.最近増えている「一人親方」の問題
最近、ニュースなどで「偽装一人親方」という言葉を耳にしませんか。
これは、本当は従業員として雇っているのに、書類上だけ「個人事業主」として扱うことです。
社会保険料の負担を逃れるために行われることがありますが、これは大きな問題になっています。
😐 一人親方が入るべき保険
本当に一人で仕事をしている個人事業主の方は、次の保険に入ります。
- 国民健康保険(市町村が運営する保険)
- 国民年金(全ての国民が共通で入る年金)
もし、実態が「雇われている人」と同じであれば、会社は正しく社会保険に入れる義務があります。
国もこの問題を厳しく見ており、正しい契約を結ぶように指導を強めています。
6.加入状況が変わったらどうするの?
会社を経営していると、状況が変わることもありますよね。
例えば、今まで役員だけだったけれど、新しく従業員を雇った場合などです。
このように、社会保険の状況が変わったときは、すぐに届け出が必要です。
「様式第7号の3(社会保険の加入状況を報告する書類)」という紙を、2週間以内に出さなければなりません。
また、加入状況は変わらなくても、従業員の数だけが変わったという場合もあります。
そのときは、1年に一度出す「決算変更届(一年の実績を報告する書類)」と一緒に提出します。
7.まとめ:正しく入って、堂々と仕事をしましょう
社会保険のルールをまとめます。
- 法人は「健康保険・厚生年金・雇用保険」の3点セットが必須です。
- 個人事業主(5人以上雇用)も、基本的には同じように加入が必要です。
- 建設国保などは「適用除外」の手続きをすれば認められます。
- 雇用保険に入っていないと、今の時代は許可が通りません。
保険料の負担は決して軽くはありません。
しかし、国も「法定福利費(会社が負担する保険料のこと)」を、見積書に正しく載せるように指導しています。
元請から下請まで、みんなで正しく費用を負担し合おうという流れになっています。
社会保険にしっかり入ることは、会社を守り、従業員を守ることにつながります。
そして何より、発注者(工事を頼んでくれるお客さま)からの信頼にもつながります。
📚 参考になる資料
この記事を書くにあたって、以下の資料を参考にしました。
- 建設業法施行規則 第7条 第2号(社会保険のルール)
- 健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法(それぞれの保険の法律)
- 建設業の一人親方問題に関する検討会 資料(国土交通省)
- 建設業フォローアップ相談ダイヤル 回答集
もしお手元に書類があれば、ぜひ照らし合わせてみてください。
これからも、経営者のみなさまに寄り添った、わかりやすい情報をお届けしていきます。

