未来を見据える損益計算書:行政書士と描く経営戦略
皆さんの会社の「健康状態」を映し出す大切な書類、損益計算書。
単なる過去の記録としてではなく、未来の経営戦略を立てるための羅針盤としてどう活用していくか、どのように未来を描いていけるかについて、分かりやすく解説していきますね。
未来を見据えた経営のために、損益計算書のデータを最大限に活用していきましょう!
1.損益計算書って、どんな「会社の成績表」?
まず、損益計算書がどんな役割を果たすのかを簡単におさらいしましょう。
損益計算書(Profit and Loss Statement:P/L)は、ある一定期間(通常は1年間)における会社の「経営成績」、つまり「会社がどれだけ稼いで、どれだけ使って、結果的にどれだけ儲かったのか(または損したのか)」を示す「会社の成績表」のようなものです。
この書類を見れば、会社がどのように利益を生み出し、どのような費用がかかっているのかが一目で分かります。
そして、その内容は大きく分けて以下の3つの要素で構成されています。
- 売上: 会社が稼いだ「収益」
- 費用: 会社が使った「コスト」
- 利益: 売上から費用を差し引いた「儲け」
この損益計算書は、会社の収益性や効率性を判断する上で、金融機関や取引先、そして公共工事の入札に必要な経営事項審査(経審)においても非常に重要な書類となります。
損益計算書の基本構造を徹底解説!
では、損益計算書を構成する「売上」「費用」「利益」について、一つずつ詳しく見ていきましょう。
1.売上:会社が「稼いだお金」のすべて
売上とは、皆さんの会社が提供した商品やサービス(建設業の場合は完成した工事)の対価として、お客様から受け取った、または受け取る権利があるお金のことです。
損益計算書の一番上に表示され、会社の「稼ぐ力」の源泉となります。
- 完成工事高: 建設業では、工事が完成し、お客様に引き渡された時点で計上される売上を「完成工事高」と呼びます。
2.費用:会社が「使ったお金」のすべて
費用とは、売上を上げるために会社が使ったお金や負担したコストのことです。
費用は、その性質によって大きく3つの種類に分類されます。
- ① 完成工事原価(売上を上げるために直接かかった費用)
- どんな費用?: 会社が工事を完成させるために直接的にかかった費用のことです。いわば、工事の「仕入れ値」です。
- 代表例
- 材料費: 工事に使われた木材、鉄骨、コンクリート、タイルなどの資材の費用。
- 労務費: 工事現場で作業した社員の給料、手当、法定福利費。
- 外注費: 専門工事(電気工事、給排水工事など)を他の業者に「請負」で依頼した費用。
- 経費(間接工事費): 現場監督の給料、現場事務所の費用、複数の工事で共有する重機のリース料など、工事に間接的にかかった費用。
- なぜ重要?: この完成工事原価をいかに抑えるかが、工事ごとの利益率に直結します。
- ② 販売費及び一般管理費(会社の運営にかかる費用)
- どんな費用?: 工事には直接関係ないけれど、会社を運営していくために必要な費用のことです。
- 代表例
- 役員報酬、事務員の給料: 会社全体の管理や営業活動にかかる人件費。
- 地代家賃: 本社や営業所の家賃。
- 減価償却費: 建物や備品、車両などの購入費用を少しずつ費用として計上するもの。
- 旅費交通費: 営業担当者の交通費、出張費など。
- 通信費、消耗品費: 本社や営業所での電話代、文房具代など。
- 広告宣伝費、接待交際費: 会社をアピールしたり、取引先との関係を深めたりするための費用。
- なぜ重要?: この費用が多いと、せっかく工事で利益を上げても、会社の最終的な利益が減ってしまいます。効率的な会社運営ができているかを示す指標になります。
- ③ 営業外費用(本業以外で発生する費用)
- どんな費用?: 会社の本業(建設工事)以外で発生する費用のことです。
- 代表例
- 支払利息: 銀行などからの借入金に対して支払う利息。
- 手形売却損: 受け取った手形を期日前に現金化する際に発生する割引料など。
- なぜ重要?: この費用が大きいと、本業で利益が出ていても、最終的な利益を圧迫することがあります。
3.利益:会社が「儲けたお金」のすべて
利益とは、売上から費用を差し引いた、会社の「儲け」のことです。
損益計算書では、費用の種類に応じて、段階的に3つの利益が表示されます。
- ① 売上総利益(粗利):工事ごとの儲け
- 計算式: 売上総利益=売上高(完成工事高)−完成工事原価
- なぜ重要?: 工事そのものがどれだけ儲かっているかを示す利益です。この利益がしっかり出ていないと、いくら売上があっても会社全体としては苦しくなります。
- ② 営業利益:本業の儲け
- 計算式: 営業利益=売上総利益−販売費及び一般管理費
- なぜ重要?: 会社の「本業」でどれだけ稼ぐ力があるかを示す利益です。この利益がプラスであれば、会社が事業活動を通して安定的に儲けを出せていることになります。マイナスだと、本業が赤字ということです。
- ③ 経常利益:会社全体の通常の儲け
- 計算式: 経常利益=営業利益+営業外収益−営業外費用
- なぜ重要?: 会社の「通常の活動全体」でどれだけ儲かっているかを示す利益です。金融機関が融資を判断する際や、経営事項審査(経審)の「Y点(経営状況)」で評価される「売上高経常利益率」など、会社の総合的な収益力を判断する上で非常に重要な指標です。
2.損益計算書から見えてくる未来へのヒント
では、損益計算書という会社の成績表から、どのような未来へのヒントを読み解き、経営戦略に役立てていけば良いのでしょうか?
ヒント1:売上総利益の分析で「工事の採算性」を高める
- 損益計算書の視点: 「売上高」と「完成工事原価」のバランス、そしてそこから算出される「売上総利益率」(売上総利益 ÷ 売上高)を見ます。
- この利益率が高いほど、工事自体が効率的に、そして採算良く行われていることを示します。
- 未来の経営戦略への活用
- 見積もり精度の向上: 過去の工事ごとの売上総利益率を分析し、どの工事が、どのような条件で利益が出やすかったかを把握します。これをもとに、より精度の高い積算を行い、適正な見積もり価格を設定することで、今後の工事の採算性を高めます。
- 原価管理の徹底: 材料費、労務費、外注費、経費(間接工事費含む)といった完成工事原価の内訳を細かく分析し、無駄を特定します。仕入れ先の見直し、効率的な資材管理、現場作業の効率化など、原価削減に繋がる具体的な施策を検討します。
ヒント2:営業利益の分析で「会社の収益構造」を強化する
- 益計算書の視点: 「売上総利益」から「販売費及び一般管理費(販管費)」を差し引いた「営業利益」を見ます。
- 営業利益は、本業でどれだけ稼ぐ力があるかを示す最も重要な指標です。
- 未来の経営戦略への活用
- 販管費の最適化: 販管費(事務所家賃、事務員の給与、広告費、通信費など)の内訳を精査し、削減できる費用がないか、あるいは投資対効果が低い費用がないかを見直します。例えば、ペーパーレス化による消耗品費削減や、業務効率化による残業代削減などが考えられます。
- 業務プロセスの改善: 営業利益が低い場合、営業から契約、工事管理、経理までの社内プロセス全体に無駄がないかを見直し、効率化を図ることで、人件費やその他の経費を最適化します。
ヒント3:経常利益の分析で「総合的な収益力」を評価する
- 損益計算書の視点: 「営業利益」に「営業外収益」を加え、「営業外費用」を差し引いた「経常利益」を見ます。
- 経常利益は、会社の通常の事業活動全体(本業+財務活動など)から得られる最終的な利益を示します。
- 未来の経営戦略への活用
- 資金調達方法の見直し: 支払利息などの営業外費用が大きい場合、借入金の金利見直しや、返済計画の最適化、自己資金の充実などを検討し、財務コストを削減します。
- 補助金・助成金の活用: 受取利息や受取配当金といった営業外収益を増やすことは難しいですが、事業再構築補助金や人材育成助成金など、会社の成長を支援する様々な補助金・助成金の活用を検討することで、実質的な利益向上に繋げることができます。
- 経審のY点対策: 経常利益は、経営事項審査(経審)の「Y点(経営状況)」の評価項目の一つである「売上高経常利益率」に直結します。計画的に経常利益を伸ばすことが、経審対策にも繋がります。
3.税務申告の決算書から建設業財務諸表への変換方法
税務申告のために作成する損益計算書は、会社の基本的な経営成績を示すものですが、建設業で提出する「建設業財務諸表」の損益計算書は、建設業特有の費用科目が明確に区分されるなど、少し異なるフォーマットが求められます。
なぜ変換が必要なの? 税務申告用と建設業財務諸表の違い
「同じ会社の損益計算書なのに、なぜわざわざ変換が必要なの?」と思われるかもしれませんね。主な理由は以下の2点です。
- 建設業会計の特殊性: 建設業は、工事の原価管理が複雑であり、特に「完成工事原価」の内訳を詳細に表示することが求められます。税務申告用では一括されている費用も、経審用では細かく分類する必要があるんです。
- 経審での評価: 経営事項審査(経審)では、これらの建設業特有の費用科目を正確に把握し、会社の収益性や効率性を適切に評価するための専用フォーマットが定められています。このフォーマットに沿っていないと、審査が進まなかったり、正しい評価が受けられなかったりする可能性があります。
簡単に言えば、税務申告用の損益計算書は「一般的な会社の成績表」ですが、建設業財務諸表は「建設業者さん専用の成績表」といったイメージです。
それでは、具体的にどのように変換していくのか、主要なポイントを解説します。
ステップ1:税務申告用の損益計算書を手元に用意する
まずは、税務申告のために税理士さんが作成した、または自社で作成した最新の損益計算書(法人税申告書別表一に添付されているものなど)を用意してください。これが、変換の元となる「原データ」です。
ステップ2:建設業特有の費用科目を抜き出す・振り分ける
ここが変換の最も重要な部分です。
税務申告用の損益計算書では一括されていることが多い費用を、建設業財務諸表のフォーマットに合わせて細かく分類し直していきます。
- ① 「完成工事原価」の内訳を詳細に確認
- 税務申告用での表示: 「売上原価」として一括されていることが多いです。
- 変換のポイント
- 材料費: 工事に直接使われた材料の費用を正確に集計します。
- 労務費: 自社職人や現場従業員の給料、手当、そして法定福利費(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料の会社負担分)を正確に計上します。法定福利費は経審の加点項目(社会性等)にも関わるため、漏れなく計上することが非常に重要です。
- うち労務外注費: 常用的に作業を依頼する一人親方などへの支払いをここに計上します。単なる「外注費」とは区別します。
- 外注費: 専門工事を他の業者に「請負」で依頼した費用を計上します。
- 経費(間接工事費): 現場監督の給料、現場事務所の家賃・水道光熱費、複数の工事で共用する重機のリース料や減価償却費、現場間の交通費など、工事に間接的にかかった費用をここに集計します。特に、税務申告上は「販売費及び一般管理費」に含まれがちな費用でも、実態として工事に直接・間接的に関連していれば「完成工事原価(経費)」として計上し直す必要があります。
- なぜ重要?: これらの詳細な内訳は、経審の「経営状況分析(Y点)」の計算や、「完成工事高」などの評価項目に大きく影響します。
- ② 「販売費及び一般管理費(販管費)」の確認
- 税務申告用での表示: 「販売費及び一般管理費」として表示されています。
- 変換のポイント
- 税務申告上、販管費に含まれている費用の中に、本来は「完成工事原価(経費)」として計上すべきものが混ざっていないか再確認します。例えば、現場事務所の家賃を本社経費として計上していないか、などです。
- うち人件費: 販管費の内訳として、事務員や営業担当者など、工事に直接関わらない従業員の人件費の合計額を「うち人件費」として計上します。
- なぜ重要?: 販管費が過大に計上されていると、営業利益が低く見え、会社の収益性が低いと評価される可能性があります。また、工事原価に含めるべき費用を販管費に計上すると、経審の評価が不利になることもあります。
ステップ3:営業外収益・営業外費用、特別利益・特別損失の確認
- 税務申告用での表示: それぞれの科目名で表示されています。
- 変換のポイント
- これらの項目は、建設業財務諸表でもほぼそのままの形で転記されます。ただし、稀に特殊な収益や費用が含まれている場合があるため、その内容が経審の評価に影響しないか確認が必要です。
- なぜ重要?: 経常利益や当期純利益の計算に影響し、経審の「Y点」の評価項目である「売上高経常利益率」に直結します。
ステップ4:建設業財務諸表のフォーマットに転記する
最終的に、申請する際に使用する、国土交通省令で定められた専用のフォーマットに、上記の分類・調整した金額を転記していきます。
- このフォーマットは、例えば「損益計算書(建設業財務諸表)」や「完成工事原価報告書」といった形で提供されています。
- 各項目に正確な金額を記載し、売上から費用を差し引いた段階ごとの利益(売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益)が正しく計算されているか、必ず確認しましょう。
『損益計算書』の書き方例
『損益計算書』の書き方例は、以下のようになります。
青字の項目は、大阪府の様式にはない項目で追加しています。

- 売上高
- 完成工事高
工事完成基準で、当期に完成した工事を計上します。
工事進行基準で当期中の出来高相当額として進捗割合をかけて計上します。
「直前3年の各事業年度における工事施工金額」の該当年度の合計額と一致します。 - 兼業事業売上高
建設業以外の事業による売上高を記載します。
- 完成工事高
- 売上原価
- 完成工事原価
「完成工事高」として計上した売上に対する工事原価を記載します。
工事原価とは、建設工事を行う上でかかった全ての費用を指します。
工事原価を構成する4要素は、材料費、労務費、経費、外注費です。
『完成工事原価報告書』の「完成工事原価」と一致します。 - 兼業事業売上原価
「兼業事業売上高」として計上した売上に対する兼業事業の原価を記載します。
『兼業事業売上原価報告書』の「兼業事業売上原価」と一致します。 - 売上総利益(売上総損失)
完成工事総利益と兼業事業総利益に分けて記載します。
各売上高から売上原価を引いて計算します。
- 完成工事原価
- 販売費及び一般管理費
- 役員報酬 → 取締役、執行役、会計参与または監査役に対する報酬を記載します。経営業務の管理責任者は常勤の役員として勤務していると考えられるため、役員報酬がゼロというのは、経営業務の管理責任者がいないと疑われる可能性があります。
(決算書の表示例=役員報酬、役員賞与、役員賞与引当金) - 従業員給料手当 → 管理部門、間接部門の業務に従事する従業員などにたいする給料、手当、賞与を記載します。工事に関わらず、現場にでない人が対象です。
(決算書の表示例=給料手当、賞与、賞与引当金繰入) - 退職金 → 役員および従業員にたいする退職金、退職給与引当金および退職年金掛金を記載します。
(決算書の表示例=退職金、退職引当金繰入額、建退共証紙購入費) - 法定福利費 → 役員および管理部門、間接部門の業務に従事する従業員に対する健康保険、厚生年金保険、雇用保険および労災保険などの保険料の事業主負担額を記載します。
(決算書の表示例=法定福利費) - 福利厚生費 → 慰安娯楽、貸与被服、医療、慶弔見舞等の福利厚生に要する費用を記載します。
(決算書の表示例=福利厚生費) - 修繕維持費 → 建物、車両、機械や装置などの修繕維持費を記載します。
(決算書の表示例=修繕費、修繕維持費) - 事務用品費 → 事務用消耗品費、固定資産に計上しない事務用備品費、新聞、参考図書などの購入費を記載します。
(決算書の表示例=事務用品費、新聞図書費) - 通信交通費 → 通信費、旅費交通費を記載します。
(決算書の表示例=通信費、交通費) - 動力用水光熱費 → 電気、ガス、水道料金の費用を記載します。
(決算書の表示例=水道代、電気代、ガス代) - 調査研究費 → 技術研究、技術開発などの費用を記載します。
(決算書の表示例=調査研究費) - 広告宣伝費 → 広告や宣伝の費用を記載します。
(決算書の表示例=広告宣伝費) - 貸倒引当金繰入額 → 営業取引に基づいて発生した受取手形、完成工事未収入金などの債権に対する貸倒引当金繰入額を記載します。企業が将来発生する可能性のある貸倒損失に備えるために、事前に費用として計上します。
(決算書の表示例=貸倒引当金繰入額) - 貸倒損失 → 営業取引に基づいて発生した受取手形、完成工事未収金などの債権にたいする貸倒損失を記載します。
(決算書の表示例=貸倒損失) - 交際費 → 得意先や士業などの接待費、慶弔費およびお中元やお歳暮の贈答品代を記載します。
(決算書の表示例=接待交際費、慶弔費) - 寄付金 → 国、地方公共団体、社会福祉法人や公益社団法人などへの寄付を記載します。
(決算書の表示例=寄付金) - 地代家賃 → 事務所、寮、社宅などの地代および借地料を記載します。
(決算書の表示例=地代、家賃、賃借料) - 減価償却費 → 管理部門、間接部門に属する固定資産についての減価償却実施額を記載します。工事で使用される機械や車両は、工事原価の経費に記載します。
(決算書の表示例=減価償却費) - 開発費償却 → 貸借対照表の「繰延資産」計上した「開発費」の償却額を記載します。
(決算書の表示例=開発償却費) - 租税公課 → 事務所税、消費税、不動産取得税、固定資産税、自動車税、収入印紙代などの租税および道路占用料などの公課を記載します。
(決算書の表示例=租税公課、消費税) - 保険料 → 傷害保険、火災保険、第三者賠償保険や盗難保険などの損害保険料を記載します。
(決算書の表示例=支払保険料、損害保険料) - 雑 費 → 車内外の打ち合わせや会議の費用、組合などの諸団体会費、荷造運賃など、他の販売費及び一般管理費の科目に属さない費用を記載します。
(決算書の表示例=支払手数料、諸会費、消耗品費、リース料、顧問料、車両費、雑費)
- 役員報酬 → 取締役、執行役、会計参与または監査役に対する報酬を記載します。経営業務の管理責任者は常勤の役員として勤務していると考えられるため、役員報酬がゼロというのは、経営業務の管理責任者がいないと疑われる可能性があります。
- 営業外収益
- 受取利息配当金 → 金融機関の預金利息および貸付金などに対する受取利息と、公社債などの有価証券利息と、保有している株式の配当金を記載します。
(決算書の表示例=受取利息、受取配当金、有価証券利息) - その他 → 売買目的株式や公社債等の売却による有価証券売却益や本業以外で家賃収入がある場合の受取家賃など、「受取利息配当金」以外の営業外収益を記載します。
(決算書の表示例=有価証券売却益、受取家賃、雑収入)
- 受取利息配当金 → 金融機関の預金利息および貸付金などに対する受取利息と、公社債などの有価証券利息と、保有している株式の配当金を記載します。
- 営業外費用
- 支払利息 → 金融機関などからの借入金に対する利息のほか、社債および新株予約権付社債の支払利息を記載します。
(決算書の表示例=支払利息、社債利息) - 貸倒引当金繰入額 → 営業取引以外の取引に基づいて発生した貸付金などの債権に対する貸倒引当金繰入額を記載します。営業取引に基づくものは販売費及び一般管理費に含めます。
(決算書の表示例=貸倒引当金繰入額) - 貸倒損失 → 営業取引以外の取引に基づいて発生した貸付金などの債権に対する貸倒損失を記載します。営業取引に基づくものは販売費及び一般管理費に含めます。
(決算書の表示例=貸倒損失) - その他 → 支払利息、貸倒引当金繰入額および貸倒損失以外の営業費用で、開発費以外の繰延資産の償却額や売買目的の株式、公社債等の売却により損失のほか、手形売却損や雑損失を記載します。
(決算書の表示例=開業費償却、社債発行費償却、有価証券売却損、雑損失)
- 支払利息 → 金融機関などからの借入金に対する利息のほか、社債および新株予約権付社債の支払利息を記載します。
- 特別利益
- 前期損益修正益 → 前期以前に計上された損益の修正による利益を記載します。
(決算書の表示例=前期損失修正益) - 固定資産売却益→会社が所有する固定資産(土地、建物、機械など)を売却した際に、売却価格が帳簿上の価格(帳簿価額)を上回った場合に発生する利益のことです。
(決算書の表示例=固定資産売却益) - その他 → 固定資産売却益、当期有価証券売却益、財産受増益など、特別な要因で臨時に発生した利益を記載します。
(決算書の表示例=固定資産売却益、資産受贈益、貸倒引当金戻入)
- 前期損益修正益 → 前期以前に計上された損益の修正による利益を記載します。
- 特別損失
- 前期損益修正損 → 前期以前に計上された損益の修正による損失を記載します。
(決算書の表示例=前期損益修正損) - 固定資産売却損→会社が所有する固定資産(土地、建物、機械など)を売却した際に、売却価格が帳簿上の価格(帳簿価額)を下回った場合に発生する損失のことです。
(決算書の表示例=固定資産売却損) - その他 → 固定資産売却損、除却損、当期有価証券売却損、災害損失など、特別な要因で臨時に発生した損失を記載します。
(決算書の表示例=固定資産売却損・除却損、損害賠償金)- 法人税、住民税及び事業税 → 当該事業年度の税引前当期純利益に対する法人税などの額を記載します。
(決算書の表示例=法人税・住民税、事業税、追徴税額、還付金) - 法人税等調整額 → 税効果会計の適用により税法上の課税所得から計算される法人税等の額と、会計上の利益から計算される法人税等の額との間に生じた期間的な差異を調整した額を記載します。
(決算書の表示例=法人税等調整額)
- 法人税、住民税及び事業税 → 当該事業年度の税引前当期純利益に対する法人税などの額を記載します。
- 前期損益修正損 → 前期以前に計上された損益の修正による損失を記載します。
損益計算書の10%ルールとは
「損益計算書の10%ルール」と言うのをご存じでしょうか?
損益計算書の様式にセットになっている「記載要領」を読めば書かれています。
『損益計算書』の記載要領には、以下のように記載されています。
『損益計算書』の記載要領
- 「雑費」に属する費用で「販売費及び一般管理費」の総額の10分の1を超えるものについては、それぞれ当該費用を明示する科目を用いて掲記すること。
- 記載要領6は、営業外収益の「その他」に属する収益及び営業外費用の「その他」に属する費用の記載に準用する。
- 「前期損益修正益」の金額が重要でない場合においては、特別利益の「その他」に含めて記載することができる。
- 特別利益の「その他」については、それぞれ当該利益を明示する科目を用いて掲記すること。ただし、各利益のうち、その金額が重要でないものについては、当該利益を区分掲記しないことができる。
- 「特別利益」に属する科目の掲記が「その他」のみである場合においては、科目の記載を要しない。
- 記載要領8は「前期損益修正損」の記載に、記載要領9は特別損失の「その他」の記載に、記載要領10は「特別損失」に属する科目の記載にそれぞれ準用すること。
損益計算書に記載する各科目の金額が、各科目(Ⅲ~Ⅶ)の合計額の10%を超える場合は、「雑費」や「その他」としてまとめずに、個別に記載することを求めています。
「特別利益」と「特別損失」は、「金額が重要でないものについては、当該利益を区分掲記しないことができる」とあります。
「金額が重要でないもの」とは何でしょうか?
『財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則』にて、以下のとおり記載されています。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和三十八年大蔵省令第五十九号)
- (特別利益の表示方法)
第九十五条の二
特別利益に属する利益は、固定資産売却益、負ののれん発生益その他の項目の区分に従い、当該利益を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。ただし、各利益のうち、その金額が特別利益の総額の百分の十以下のもので一括して表示することが適当であると認められるものについては、当該利益を一括して示す名称を付した科目をもつて掲記することができる。- (特別損失の表示方法)
第九十五条の三
特別損失に属する損失は、固定資産売却損、減損損失、災害による損失その他の項目の区分に従い、当該損失を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。ただし、各損失のうち、その金額が特別損失の総額の百分の十以下のもので一括して表示することが適当であると認められるものについては、当該損失を一括して示す名称を付した科目をもつて掲記することができる。
「総額の百分の十以下のもので一括して表示することが適当であると認められるもの」と書かれています。
この規定により「特別利益」と「特別損失」も同様に、合計額の10%を超える場合は「その他」としてまとめずに、個別に記載することを求めていると考えられます。
「売上」「費用」「利益」という損益計算書の基本構造を理解することは、皆さんの会社の経営状況を正しく把握し、将来の経営戦略を立てるための第一歩です。
- 売上は「稼ぎ」
- 費用は「使ったお金」
- 利益は「儲け」
この関係性を理解すれば、損益計算書が「難解な数字の羅列」ではなく、「会社の活動結果を語る大切な情報源」として見えてくるはずです。
この情報が、あなたの事業の発展に少しでも貢献できれば幸いです。

