【建設業許可の更新】知っておきたい5つのポイント

建設業許可は、更新手続きをしないと、許可を維持することができません。
「更新手続きが面倒だからいいや」
などと、思ってはおられませんか?
建設業許可の有効期間は、5年間です。
5年ごとに、必ず更新の手続きが必要となります。
1.建設業許可の有効期間
建設業許可の有効期間は、許可を取得した日から5年間です。
建設業許可通知書に書かれている日から、5年後の前日で満了します。
例えば許可取得日が令和3年4月1日の場合、令和8年3月31日までが有効期間です。
注意が必要なのは、有効期間の末日が日曜や祝祭日などの場合です。
役所が休業日でも、その日をもって満了することになります。
更新申請の受付期間は、各行政庁によって異なります。
大阪府知事許可の場合は、有効期限が満了する日の3か月前から30日前までです。
大阪府の標準処理期間は30日ですので、有効期限満了までに新しい許可通知書が届くようにするためです。
更新申請の期限30日前を過ぎたときは?
もし30日前を過ぎてしまっても、有効期限の満了日までは更新申請を受け付けてもらえます。
ただし更新された許可証が、発行されるまで時間を要します。
発注業者から許可証を見せるように言われた場合、古い許可証を提示すると心証はよくありません。
更新申請書の副本(受付印あり)を提示し、現在更新中だと伝えるしかありません。
更新の審査中に、有効期間が過ぎたときは?
許可満了日の30日前を過ぎて更新申請をすると、審査中に有効期限を過ぎてしまいます。
この場合、審査が終了するまでは、従前の許可は有効です。
無許可になることはありません。
審査中に工事を受注した場合でも、工事を行うことはできます。
そのあとに更新が許可されたときは、前の許可の有効期限の翌日から5年間が有効期間となります。
更新せずに有効期限が過ぎたときは?
更新申請をすることなく有効期限を1日でも過ぎると、建設業許可はただちに失効します。
無許可業者となるため、軽微な工事しか受注できなくなります。
この場合は再度新規申請で、建設業許可を再取得しなければなりません。
許可番号も変わるため、工事の発注者や金融機関などの取引先からの信用が低下する可能性があります。

2.更新を受ける前に、知っておくべき5つのポイント
(1)「決算変更届」が、5期分提出していること
決算変更届は、毎年提出が義務付けられている書類です。
そのため、5年後毎の更新手続きでは、決算変更届が5期分提出している必要があります。
決算変更届が1期でも提出されていない場合、更新申請は受理されません。
有効期限間近で決算変更届を作っている間に、有効期限満了日が過ぎてしまわないように気をつけましょう。
決算変更届については、以下のページでまとめています。
決算変更届を提出しなくても大丈夫?【5つのデメリット】
建設業許可を取得したら、毎事業年度終了後4カ月以内に「決算変更届」を提出する必要があります。 「忙しくて準備する余裕がない。」 「提出しなくても、大したことない…
(2)「変更届」が、提出されていること
重要事項に変更があった場合は、変更届を提出している必要があります。
変更があったのに変更届を提出していない場合、更新申請は受け付けてもらえません。
経営業務の管理責任者と専任技術者の存在は、建設業許可の重要な要件です。
交代などで、1日でも空白期間ができてしまうと許可が失効します。
経営業務の管理責任者と専任技術者が不在にならないように、充分注意する必要があります。
やむなく経営業務の管理責任者と専任技術者が不在となった場合は、いったん廃業したうえで許可の再取得をするようにしましょう。
悪質と判断されると、最悪の場合、許可取消のうえ会社と全役員が5年間許可取得できなくなります。
また取締役の重任登記を忘れてはいけません。
株式会社の場合、役員には任期があります。
取締役は原則2年ですが、定款で最長10年にすることができます。
任期満了にともない取締役が再任されたときは、重任登記が必要です。
建設業許可の更新を受けるときに、重任登記が済んでいないと申請を受け付けてもらえません。
不測の事態で、期限に間に合わないという事がないように、日頃から変更届の期限に気をつけておくことが大切です。
(3)「社会保険」に加入していること
令和2年10月の建設業法改正により、建設業許可の要件に社会保険の加入が求められるようになりました。
社会保険加入が許可要件になったことで、未加入の場合は更新ができません。
法人か個人、常用の労働者数、就労形態により、加入すべき社会保険が異なります。
入らないといけない保険に未加入だと、更新申請を受付してもらえません。
社会保険については、以下のページでまとめています。
【社会保険要件】建設業許可の加入義務になりました
令和2年10月に施工された改正建設業法にて、「適切な社会保険の加入」が義務となりました。 「社会保険に入っていないけど、何とかなるでしょ。」「すでに許可を持って…
(4)「欠格要件」に該当している人がいないこと
申請書類である「誓約書」は、欠格要件に関する重要な書類です。
行政庁は警察に照会をかけて、欠格要件に該当しているものがいないか確認されます。
役員の1人が欠格要件に該当しているのに、知らずに更新申請をしたとします。
あとで欠格要件に該当していたことがバレると、その会社は「ウソの申請をした」ことになります。
そうすると、許可の取消処分となります。
欠格要件に該当していた役員だけでなく、会社の役員全員が欠格要件に該当することになります。
このような事態にならないように、日頃から欠格要件について確認することが大切です。
欠格要件については、以下のページでまとめています。
【欠格要件】取消処分から5年間、建設業許可はダメ
建設業許可に必要な要件のひとつに、「欠格要件」というのがあります。 「スピード違反で反則金を支払ったけど、建設業許可を受けれる?」「過去に犯罪を犯したけど、大丈…
(5)特定建設業の場合、財産的基礎要件をクリアしていること
特定建設業許可の更新申請時には、直前の決算期における財務諸表で財産的基礎要件をクリアしていることをチェックされます。
満たすことが出来ない場合は、特定建設業許可を維持することが出来ません。
特定建設業許可の企業様は、日頃から財産的基礎要件を把握しておくことが重要です。
特定建設業の財産的基礎要件については、以下のページでまとめています。
【財産要件】一般建設業と特定建設業の違い
建設業許可に必要な要件のひとつに、「財産要件」があります。 「財産要件とはなに?」「一般建設業許可と特定建設業許可で財産要件は違う?」 などと、思ってはおられま…
3.まとめ

大まかに、まとめてみると。
- 建設業許可の有効期限は、許可通知書に書かれている日から5年後の前日で満了する。
- 決算変更届が提出されていない場合は、更新申請は受け付けてもらえない。
- 変更届を提出していない場合、更新申請は受け付けてもらえない。
- 社会保険に加入していないと、更新申請は受け付けてもらえない。
- 役員の1人でも欠格要件に該当していると、更新申請は受け付けてもらえない。
- 特定建設業許可の更新申請は、財産的基礎要件をチェックされる。
厳しい要件をクリアして、手に入れた建設業許可です。
建設業許可を失わないように、日頃からしっかりと状況を把握し、スムーズな更新を心がける必要があります。
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