経営事項審査の審査項目の仕組みについて

Youtube動画でも、軽く内容をアップしています。

こんにちは。
大阪府吹田市の行政書士いわた事務所です。

公共工事を発注者から直接請負う建設業者が、必ず受けなければならないのが経営事項審査です。

経審は奥が深く、なかなか手続きは大変です。

この記事では、経審を受けたい方に向けて説明しています。

1.「経営事項審査」の手続きは、なかなか難しい

経営事項審査は、工事実績、技術者の数や所有資格及び常勤性の確認など、様々な要因で審査されます。

工事経歴書についても、経営事項審査を受ける場合の工事経歴書には細かい記載ルールがあります。
それ以外の審査項目についても、手引きを少し読んだだけでは頭に入らないでしょう。

大抵の業者様は「公共工事を受注したい」と思い、経営事項審査を受審されます。
ただそれだけでなく、「対外的な信用のため」とか「元請のゼネコンさんに言われ」という方もおられます。

経営事項審査は、下表のとおり4つの区分から客観的評価(総合評定値 P点)を出すことで成り立っています。

区分記号審査項目ウェイト
経営規模X1完成工事高(業種別)0.25
X2自己資本額
利払前税引前償却前利益の額
0.15
技術力Z技術職員数(業種別)
元請完成工事高(業種別)
0.25
社会性W社会性加入の有無
建退共の加入
退職金制度の導入
法定外労災の加入
建設業の営業継続状況
その他
0.15
経営状況Y経営状況分析の結果0.20

以上の審査項目を基に、総合評定値(P)を以下の計算式で算出します。
P点=0.25(X1) + 0.15(X2) + 0.20(Y) + 0.25(Z) + 0.15(W)
※小数点以下、四捨五入

計算式だけでも、とてもややこしくなっています。

公共工事に入札するには、P点と各自治体が点数を付けた主観点をもとに、格付け(等級・順位)されます。

P点を挙げるための特別なテクニックや裏技をなくすため、P点を算出する計算式は複雑なものとなっています。
その複雑さゆえに、証明書類も多くなっています。

2.経営事項審査を受審する流れ

公共工事の入札に参加するには、まずは経営事項審査を受けなければなりません。
経営事項審査を受けるには、各種変更届や決算変更届、経営状況分析が終わってからでないと、経審を受けることはできません。

初めて経審を受ける場合、入札に参加できるようになるまでに3~6カ月程度の時間がかかることを想定します。

この工事の入札に参加したいと思ってから準備するのでは、遅すぎることもあります。

公共工事の入札に参加するのであれば、早めに手続きを済ませてから、入札の案件が出てきたらすぐにでも入札に参加できる体制をとっておくことが重要です。

決算から経営事項審査までの手続きの流れ

当事務所での経営事項審査までの大まかな流れは、以下のとおりになります。

  1. 事前のご相談
    経営事項審査を受ける目的、ご希望(「○○市の工事を請けたい」「この位の点数をとりたい」等)のヒアリングをさせて頂きます。
  2. 必要書類のご案内
    健康保険関係、社会保険関係等、なるべく解りやすくご案内させて頂いております。
  3. 決算変更届の作成・納税証明書の取得
    お預かりした契約書、注文書、請求書等を精査をし、決算変更届を作成させます。
    また「各種納税証明書」を、弊所にて取得させて頂きます。
  4. 経営状況分析への依頼
    国から指定を受けている分析機関へ必要な書類を送り、経営事項審査で必要な「Y点」を求めます。
  5. 決算変更届の提出
    作成した決算変更届を行政庁へ提出します。
  6. 経営事項審査申請書の作成
    経営事項審査の申請書を完成させます。
  7. 経営事項審査申請書の提出
    作成した経営事項審査の申請書を行政庁へ提出します。

3.経営事項審査の有効期間に注意!

入札参加資格の登録は、一定期間ごとに更新する必要があります。
そのためには毎年、経営事項審査を受審しておく必要があります。
経営事項審査の結果が有効期間中に、次の決算期の経営事項審査の審査結果を得る必要があります。

経営事項審査は、決算期を基準として審査が行われます。
経営事項審査の結果通知書の有効期限は、基準となる決算期から1年7か月です。
1年ではなく、1年7か月である理由は、申請の準備期間や審査期間など時間を要するためです。

公共工事を毎年継続して入札に参加できる状況を維持するためには、常に入札に参加できる状況を維持しておく必要があります。

経営事項審査の有効期間

申請時に既に新しい決算日(審査基準日)を迎えている場合、従前の決算日(審査基準日)では審査を受けることはできません。

そして国土交通大臣では、審査手数料貼付書に収入印紙を貼付けして納付します。
都道府県知事では、現金で納付する場合や証紙によって納付する場合と、行政庁によって異なります。

審査手数料は、 審査対象業種数 によって決まります。

経営規模等評価申請の手数料=11,000円+(2,500×(審査対象業種数-1))