【産廃収集運搬業許可】「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の見分け方

廃棄物は、「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分けられます。
「見分け方なんて、適当でいいや」
などと、思ってはおられませんか?
無許可営業とならないように、しっかりと確認しておく必要があります。
1.廃棄物の見分け方
廃棄物は、「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分けられますが、さらに細かく分けられます。
産業廃棄物は、「産業廃棄物」と「特別管理産業廃棄物」に分けられます。
一般廃棄物は、「一般廃棄物」と「特別管理一般廃棄物」に分けられます。
また一般廃棄物は、「事業系一般廃棄物」と「家庭系一般廃棄物」があります。

産業廃棄物は、事業活動にともなって生じた廃棄物であり、廃棄物処理法で決められた20品目の廃棄物です。
20品目の廃棄物については、以下のページで記載しています。
産業廃棄物の20品目判断【間違えたらあかん!ダメ絶対】
産業廃棄物収集運搬業許可を取得する際、「どの品目を選択するか」はとても重要です。 「適当に品目を選んでおけばいいだろう?」 などと、思ってはおられませんか?許可…
事業活動にともなって生じた廃棄物が「産業廃棄物」ですが、「事業活動」の定義は広範囲に及びます。
工場や建設現場だけでなく、オフィスや学校、病院、商店など、法人、個人事業問わずすべての事業が対象となります。
また事業活動には、NPO法人などの「非営利事業」も対象です。
特に見分けが難しいのが、「産業廃棄物」と「事業系一般廃棄物」です。
特定業種から排出されるものは、「産業廃棄物」となりますが、特定業種でなければ「事業系一般廃棄物」となります。
例えば「紙くず」は、建設業やパルプ製造業など業種が限定される「産業廃棄物」です。
そのため製紙工場から排出された紙くずは「産業廃棄物」ですが、製紙工場の事務所から排出された紙くずは「事業系一般廃棄物」になります。
2.「廃棄物」と「有価物」の見分け方
不要品が、必ずしも「廃棄物」というわけではありません。
所有者によっては不要品でも、価値のあるものは「有価物」となります。
不要品である「有価物」は、古物商許可があると回収することができます。
「有価物」はお金を出して買取り、買い取った不要品を売却して利益を得ることができます。
自分にとっては不要品であっても、誰かにとっては必要品であるかもしれません。
「有価物」に該当するかどうかの判断は、「総合判断説」で判断します。
以下を総合的に判断して、決定します。
- 物の性状
- 排出の状況
- 通常の取り扱い形態
- 取引価値の有無
- 占有者の意思等
単に売却できるから廃棄物ではない、というわけではありません。
総合判断説は、複数の要素を総合的に判断します。
「廃棄物」か「有価物」かの判断は、排出事業者が勝手に決めるわけではありません。

廃棄物の定義を理解するのに重要な判例の一つに、1983年の最高裁判所の判決による「おから裁判」があります。
おから裁判で裁かれたのは、産業廃棄物処理の許可を持たない業者でした。
この業者は豆腐製造業者から有償でおからを収集し、飼料や肥料として再利用していました。
おからが廃棄物であれば、産業廃棄物処理の許可を持たずに有償でおからを処理していたため、非があることになります。
しかし業者は、「おからは食品や飼料として活用できる資源であるため廃棄物ではない」と主張しました。
判決としては、食品として再利用されている割合が少なく、腐敗しやすいなどの理由から、「おからは廃棄物である」という判断が下されました。
つまり売却できれば、「有価物である」というわけではないのです。
また「到着時有価物」というものがあります。
排出事業者が、運送費やリサイクル料を支払い売却代金を上回った場合、排出事業所から処分先までの輸送中は廃棄物として扱います。
処分先に引き渡した時点で有価物として扱うものです。
最終的に有価物になりますが、輸送中は産業廃棄物になるため、マニフェストを発行する必要があります。
マニフェストについては、以下のページでまとめています。
【産業廃棄物収集運搬業許可】マニフェストの運用について
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3.まとめ

大まかに、まとめてみると。
- 廃棄物は、「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分けられ、さらに細かく分けられる。
- 産業廃棄物は、事業活動にともなって生じた廃棄物であり、廃棄物処理法で決められた20品目の廃棄物である。
- 特定業種から排出されるものは「産業廃棄物」となり、特定業種でなければ「事業系一般廃棄物」となるものがある。
- 「廃棄物」か「有価物」に該当するかどうかの判断は、「総合判断説」で判断する。
- 運送費などを支払い売却代金を上回った場合、「到着時有価物」として扱うものがある。
判断が難しい廃棄物も少なくありませんが、最終的には自治体によって解釈が異なってくることがあります。
判断が難しい場合は、管轄の自治体に問い合わせて確認することが必要です。
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