【産業廃棄物収集運搬業許可】産廃を運ぶ運搬車両について

運搬車両

産業廃棄物は、性状や運搬の効率を考慮して、運搬車両を使用します。

「適当な車両に載せればいいんでしょ?」

などと、思ってはおられませんか?

産業廃棄物を収集運搬する場合、廃棄物に適切な車両が必要です。

1.運搬車両の主な種類

運搬する廃棄物に不適切な車両を選択すると、飛散・流出の原因になります。
産業廃棄物の性状などに応じて、最適な車両を選択しなければなりません。

産業廃棄物の収集運搬によく使われる車両は、ダンプ車と平ボディ車になります。
紙くずや木くず、または建設廃棄物など、かさばる固形状の廃棄物を運ぶのに適しています。

コンクリート等のかたまりは大きいため、深ボディと呼ばれるダンプ車も使われます。
上部には、飛散防止のためにシートカバー等を取り付けます。

ダンプ車

荷台を囲むものを「あおり」といいます。
あおりの高さは、30~40cm程度が一般的です。
廃棄物の運搬に使用する車両により、2mを超えるものもあります。

がれき類などの比重の大きいものを、あおりの高い車両に積み込むと、積載量の上限を簡単に超えてしまうため注意が必要です。

廃プラスチックなど重量が低く圧縮性があるもは、パッカー車がよく使われます。
パッカー車は廃棄物を圧縮しながら運搬できるため、多くの廃棄物を運搬できます。

パッカー車

汚泥等の泥状や液状の廃棄物を運搬する場合は、液状のものが外部に漏れだす危険性があるため、タンクローリーや汚泥吸引車などを使用します。

汚泥吸引車

事業の規模によっては、軽トラックで運びたい場合もあるでしょう。
法律上は、最大積載量や運搬車両の性能等の下限値は定められていません。

そのため事業計画にて運搬量に見合えば、軽トラックでもOKです。
ただし、車検証に「乗用」ではなく「貨物」と記載されていることが必要です。
注意すべき点として、車検証に「土砂禁止」の記載があるとその品目は運搬できません

軽トラック

2.運搬する車両に備えるもの

運搬する車両には、法律で決まった事項を表示しなければなりません。
車両の両側面に直接ペイントするか、マグネットシートを用います。

収集運搬時には、常に表示する必要があります。
文字の大きさなど、細かく定められています。

産業廃棄物を荷降ろした後は表示の義務はありませんので、マグネットシートを外しても問題ありません。

表示の義務
出典:環境省ホームページ(http://www.env.go.jp/recycle/waste/pamph/02.pdf)

車両には、携行していつでも提示できる定められた書類が必要です。
委託を受けて運搬する車両には、「許可証のコピー」と「マニフェスト」を携帯する必要があります。

携行書類
出典:環境省ホームページ(http://www.env.go.jp/recycle/waste/pamph/03.pdf)

表示と携帯の義務を怠った場合、廃棄物処理法違反になります。
産業廃棄物収集運搬業者は「営業停止処分」です。
自社運搬の排出事業者には「改善命令」の対象になります。

産業廃棄物収集運搬業許可取得には、1台以上の車両を登録する必要があります。
産業廃棄物収集運搬業の業務には、「登録車両」しか使うことは出来ません。

気を付けるべき点として、以下になります。

  • 車検証の使用者と申請者は、同じである必要があります。
    車検証の使用者と申請者が異なる場合は、「車両の貸借に関する証明書」により使用の権原を明らかにする必要があります。
  • 他の事業者が登録した車両は、使用(登録)できません。
  • 収集運搬する車両の保管場所を、確保しておく必要があります。
  • 申請者と車両の運転者の間には、雇用関係が成立していることが必要です。

3.まとめ

大まかに、まとめてみると。

  • 産業廃棄物の性状などに応じて、最適な車両を選ぶこと。
  • 運搬する車両には、法律で決まった事項を表示しなければならない。
  • 運搬する車両には、携行していつでも提示できる定められた書類がある。
  • 運搬する車両には、「登録車両」しか使うことができない。

産業廃棄物収集運搬業許可では、産廃の収集と運搬をセットにすることで、運送業許可なしで運搬を行うことが認められています。

そのため、産廃の収集と伴わない運搬や、有価物の運搬には、原則として運送業許可が必要となるため注意してください。

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