【産廃】「マニフェスト」とは、排出業者が処理業者に渡す伝票です。

こんにちは。
大阪府吹田市の行政書士 岩田眞と申します。
「マニフェスト」は、産業廃棄物収集運搬業を営む上では非常に重要なしくみです。
マニフェストの取り扱いに違反した場合、廃棄物処理法では非常に厳しい罰則が設けられています。
この記事では、収集運搬業許可を受けたい方に向けて説明しています。
目次
1.「マニフェスト」とは?
「マニフェスト」とは、産業廃棄物の排出業者が処理業者に渡す伝票のことです。
正式名称は「産業廃棄物管理票」と法律上で規定されています。
「排出者責任の明確化」と「不法投棄の未然防止」を、目的にしています。
マニフェストの交付は、産業廃棄物の排出事業者に課せられた義務になります。
マニフェストには、「紙マニフェスト」と「電子マニフェスト」の2種類があります。
「紙マニフェスト」とは?
紙マニフェストは、「A票、B1票、B2票、C1票、C2票、D票、E票」の7種類の複写になっています。
それぞれの票で、記入者と保管者が定められています。

A票
排出事業者記入用で、排出事業者が控えとして保管します。
B1票
収集運搬業者記入用の用紙で、収集運搬業者が保管します。
B2票
B1票と同じ内容のもので、収集運搬業者が記入したあと排出事業者に戻します。
C1票
中間処理業者記入用の用紙で、中間処理業者が保管します。
C2票
C1票と同じ内容のもので、中間処理業者が記入したあと収集運搬業者に戻します。
D票
中間処理業者記入用の用紙で、処理完了後に排出事業者に戻します。
E票
中間処理業者が記入し、最終処分業者からの最終処分が適正に実施されたことを確認した後、最終処分印を押印して排出事業者に戻します。
「電子マニフェスト」とは?
電子マニフェストは、オンライン上で手続きが完結します。
電子マニフェストを利用するには、排出事業者、収集運搬業者、処理業者のすべてが導入する必要があります。

電子マニフェストを導入していない業者がいると、他の業者も電子マニフェストを利用できません。
利用には、年額の利用料金がかかります。
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターの情報処理センターが運営するネットワーク(JWネット)を利用して、排出事業者・収集運搬業者・処分業者がマニフェスト情報を報告・管理するシステムです。
2.「電子マニフェスト」のメリットとデメリット
電子マニフェストは、紙マニフェストと比較し、以下の点でメリットとデメリットがあります。
「電子マニフェスト」のメリット
- 事務の効率化
産業廃棄物を毎日大量にやり取りする場合、事務作業の効率化を図ることができます。 - 法令遵守のしやすさ
入力項目が管理されているため、項目を全て入力チェックされます。
記載もれ・記載ミスの防止ができます。
また、処理終了確認期限が近づくと、返却されていないマニフェストの注意喚起を促してくれます。 - データの透明性
廃棄物の処理状況が、リアルタイムで確認できます。
排出事業者には、情報処理センターから、メールなどで運搬終了報告、処分終了報告、最終処分終了報告の通知がされます。 - マニフェスト交付状況報告書の提出義務の免除
年に一度、マニフェスト交付状況を都道府県等に報告する義務があります。
電子マニフェストでは、情報処理センターが代行してくれます。 - マニフェスト保管の不要
紙マニフェストは、5年間の保管義務があります。
電子マニフェストでは、情報処理センターにマニフェスト情報が保存されるため、保管義務がありません。
「電子マニフェスト」のデメリット
- 使用料金が必要
電子マニフェストの利用は、紙マニフェストよりもコストがかかります。
詳細は、「公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)」のサイトでご確認ください。 - システム障害になると、利用ができない
システムがダウンすると、入力や閲覧が出来なくなります。 - すべての産廃業者が電子マニフェストに対応
すべての産廃業者が電子マニフェストに対応していなければ、紙マニフェストを使用せざるを得ません。
委託先の事業者すべてが、電子マニフェストを導入済みの場合は、電子マニフェストの導入は大きなメリットとなります。
3.気を付けるべき点
電子マニフェストはメリットが多いのですが、産業廃棄物のやり取りが少ししかない場合は、ランニングコストの回収が難しくなります。
初めて収集運搬業許可を受けるには、自社のみの力で手続きを処理するのは、なかなか難しいと思います。
「収集運搬業許可の受け方がわからない」
という方は、一度ご相談下さい。