意外に知らない産業廃棄物の20品目の選び方とは?

廃棄物は、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の大きく2つに分けられます。
「産業廃棄物」については規定があり、「産業廃棄物」とならないものが「一般廃棄物」になります。
産業廃棄物収集運搬業の許可を取りたい企業様に対して、わかりやすく解説してみます。
閲覧していただいた皆様のご参考になれば嬉しいです!
1.20品目の産業廃棄物とは?
産業廃棄物の定義は、以下の全てに当てはまるものです。
- 事業活動によって排出されること
- 法令に定める20品目に該当すること
- 固形状もしくは液状であること
- 放射性廃棄物以外であること
産業廃棄物とは、事業活動にともなって生じた廃棄物であり、廃棄物処理法で決められた20品目の廃棄物です。
工場や建設現場だけでなく、オフィスや学校、病院、商店などの廃棄物も事業活動をともなえば「産業廃棄物」の対象です。
その中でも、すべての業種で産業廃棄物に該当するもの(13品目)と、業種が限定されているもの(7品目)に分類されます。
すべての業種で産業廃棄物に該当するもの(13品目)
廃棄物の種類 | 具体例 | |
---|---|---|
1 | 燃え殻 | 石炭がら、焼却炉の残灰、炉清掃排出物、その他焼却残さ |
2 | 汚泥 | 排水処理語および各種製造業生産工程で排出された泥状のもの、ベルピット汚泥、カーバイトかす、ベントナイト汚泥、洗車場汚泥、建設汚泥等 |
3 | 廃油 | 鉱物性油、動植物性油、潤滑油、絶縁油、洗浄油、切削油、溶剤、タールピッチ等 |
4 | 廃酸 | 写真定着廃液、廃硫酸、廃塩酸、有機廃酸類等すべての酸性廃液 |
5 | 廃アルカリ | 写真現像廃液、廃ソーダ液、金属せっけん廃液等すべてのアルカリ性廃液 |
6 | 廃プラスチック類 | 合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む)等固形状、液状のすべての合成高分子系化合物 |
7 | ゴムくず | 生ゴム、天然ゴムくず |
8 | 金属くず | 鉄鋼、非鉄金属の破片、研磨くず、切削くず等 |
9 | ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず | 廃ガラス類(板ガラス等)製品の製造過程等で生ずるコンクリートくず、インターロッキングブロックくず、レンガくず、廃石膏ボード、セメントくず、モルタルくず、スレートくず、陶磁器くず等 |
10 | 鉱さい | 鋳物廃砂、電炉等溶解炉かす、ボタ、不良石灰、粉炭かす等 |
11 | がれき類 | 工作物の新築、改築又は除去により生じたコンクリート破片、アスファルトは変その他これに類する不要物 |
12 | ばいじん | 大気汚染防止法に定めるばい煙発生施設または産業廃棄物焼却施設において発生するばいじんであって集塵施設によってあつめられたもの |
13 | 産業廃棄物を処分するために処理したもの | 産業廃棄物を処分するために処理したものであって、これらの産業廃棄物に該当しないもの(コンクリート固型化物など) |
業種が限定されているもの(7品目)
以下の廃棄物では、産業廃棄物として排出する業種が特定されています。
排出する業種以外から排出されるものは、一般廃棄物となります。
廃棄物の種類 | 具体例 | |
---|---|---|
1 | 紙くず | 建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去により生じたもの)パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業から生ずる紙くず |
2 | 木くず | 建設業に係るもの(範囲は紙くずと同じ)木材または木製品製造業、家具製品製造業、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業から生ずる木材片、おがくず、パーク類等貨物の流通のために使用したパレット等 |
3 | 繊維くず | 建設業に係るもの(範囲は紙くずと同じ)繊維工業(衣服その他、繊維製品製造業を除く)から生ずる木綿くず、羊毛くず等の天然繊維くず |
4 | 動植物性残さ | 食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業から生ずる動物又は植物の固形状の不要物 |
5 | 動物系固形不要物 | と畜場において処分した獣畜、鳥処理場において処理した食鳥にかかる固形状の不要物 |
6 | 動物のふん尿 | 畜産農業から排出される牛、馬、豚、めん羊、にわとり等のふん尿 |
7 | 動物の死体 | 畜産農業から排出される牛、馬、豚、めん羊、にわとりの死体 |
例えば、「製紙工場から排出された紙くず」は産業廃棄物ですが、「製紙工場の事務所から排出された紙くず」は事業系一般廃棄物ということになります。

2.特別管理廃棄物とは?
この他に「特別管理廃棄物」という区分が、「産業廃棄物」と「一般廃棄物」にそれぞれあります。
特別管理産業廃棄物とは、「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」のことです。
危険なので一般廃棄物とは分けて、特別に管理する必要があります。
例えば、以下の廃棄物が対象とあります。
- 引火性廃油
- 強酸・強アルカリ
- 感染症産業廃棄物
- PCB汚染物
- 石綿
PCBとは、ポリ塩化ビフェニルの略です。
昭和28年頃から製造された合成油で、トランスやコンデンサなど電気機器を始めとして幅広く使われていました。
昭和43年のカネミ油症事件で、その毒性と環境汚染が社会問題となりました。
食用米ぬか油の製造工程でPCBが混入し、口にした人から皮膚の異常や内臓疾患などが続出。
肌の黒い赤ちゃんが産まれ、社会に大きなショックを与えた事件です。
PCBの毒性は科学的に分解されにくく、人体に入ると脂肪に溶け、体内に蓄積されます。
皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常が発生します。
まとめ
廃棄物を「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分ける理由は、責任をもつ主体が違うためです。
「産業廃棄物」は、排出した事業者が処理責任を負います。
「一般廃棄物」は、市町村が適正な処理をしなければならないと定められています。

まとめてみると。
- 廃棄物は、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の大きく2つに分けられる。
- 産業廃棄物は、廃棄物処理法で決められた20品目の廃棄物である。
- 産業廃棄物は、すべての業種で産業廃棄物に該当するもの(13品目)と、業種が限定されているもの(7品目)に分類される。
- 危険なので一般廃棄物とは分けられる、「特別管理廃棄物」がある。
廃棄物はどこで排出されたものかで、扱いが変わります。
事業者で排出した?
一般家庭で排出した?
事業者で排出したけど、対象業種に該当する?
事業活動で排出された廃棄物でも、必ずしも産業廃棄物というわけではありませんので注意してくださいね。