【産業廃棄物収集運搬業許可の要件】クリアすべき4つの要件

産業廃棄物収集運搬業許可を取得するなら、要件を確認する必要があります。
「どういう要件があるの?」
「要件なんて、どうにでもなるでしょ?」
などと、思ってはおられませんか?
各要件をクリアしないことには、産業廃棄物収集運搬業許可を取得することはできません。
1.講習会を受講していること
産業廃棄物収集運搬業を営むには、産業廃棄物の収集・運搬に必要な知識と技能が必要です。
「廃棄物の種類」「取り扱い方」「各種法令」について、しっかりとした知識を持っている人にのみ許可が許されるためです。
この条件を客観的に証明するには、講習会を受講し、受講後の試験に合格して修了証書をもらう必要があります。
「公益社団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)」で行っています。
講習会は2日間あり、全国どこの会場でも受講できます。
修了考査に合格すると、3~4週間程度で修了証が交付されます。
修了証の有効期間は5年です。
学歴・実務経験・国籍等は問いません。
受講対象者は、以下のように定まっています。
法人の場合
- 代表者もしくはその業務を行う法人の役員(監査役を除く)又は政令使用人
個人の場合
- 申請者または政令使用人
政令使用人とは、営業所や支店の責任者で、いわゆる営業所長や支店長などです。
業務に係る契約を締結する権原を有する者が該当します。
自治体により「役員受講が原則であり、政令使用人は例外」という面があります。
申請先の自治体に、事前確認を行う方が良いでしょう。

2.経理的基礎があること
会社の財務状況が良くないと、適正に産業廃棄物を処理せずに不法投棄に走る危険性があると行政は考えます。
産業廃棄物を扱っている会社が経営に困り、簡単に倒産してしまっては、廃棄物の処理に困ることになるためです。
債務超過でないことや利益が計上できていることを証明し、事業を継続していけることを証明する必要があります。
判断基準は自治体によって異なります。
証明する主な資料は、賃借対照表や損益計算書などの決算書と納税証明書です。
大阪府の場合は、以下の資料が必要になります。
法人の場合
- 直前3年分の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表
- 直近3年分の納税証明書(法人税)
個人の場合
- 資産に関する調書
- 直近3年分の納税証明書(所得税)
大阪府では、債務超過は以下のように判断されます。
- 法人の場合:直近の決算書において、貸借対照表の純資産がマイナスの状態
- 個人の場合:様式第六号の二(第九条の二関係)(第9面)資産に関する調書(個人用)の資産<負債
債務超過の状態だと、追加で国税・府税に未納が無い旨の証明書と直前3年分の販管費・売上原価の提出が必要になります。
都道府県によっては、中小企業診断士や公認会計士の診断書を添付する必要があります。
ただし本当に債務超過の状態で事業を行うことが、本当に必要なことなのか検討することが重要です。
現時点では許可を断念することも、将来の結果的に良い方向へ繋がるかもしれません。
新設法人で決算を1度も迎えていない場合では、税務署に提出した「設立届又は開業届の写し」を提出することでクリアできます。
事業開始から、3年経過しないと申請できないわけではありません。
3.必要な施設があること
収集運搬では、飛散・流出・悪臭のおそれがない方法で行う必要があります。
産業廃棄物を運搬する車両や容器が、運搬物に適したものでないと、周囲に悪影響を及ぼすためです。
そのため収集運搬に適した容器・車両を使用しなければなりません。
運搬車両は、許可申請者に「使用権限」があることを必要です。
車検証の「使用者欄」に法人の場合はその法人名が、個人の場合はその許可申請者名が記載されていなければなりません。
「使用者欄」が空欄の場合は、「所有者欄」が申請者であることが必要です。
もし違う場合は、別途車の賃貸借契約書を添付する必要があります。
また「用途」の欄に、「貨物」(1または4ナンバー車)または「特殊」(8ナンバー車)が必要です。
車検証の「最大積載量」にも注意して運搬しなければなりません。
他の会社が産業廃棄物収集運搬業で登録している車は、重複して登録することは出来ません。
運搬車両を保管する駐車場の確保も必要です。

4.欠格要件に該当しないこと
事業者の中に、過去に法律違反や犯罪を犯していると要件を満たすことができません。
欠格要件に該当する者がいると、安心して取引できないためです。
対象者は、以下のとおりです。
法人の場合
- 法人自体
- 役員(役員の他に監査役、相談役、顧問も含む)
- 持ち株比率5%以上の株主
- 政令使用人
個人の場合
- 個人事業主本人
- 政令使用人
そして次のいずれか1つでも該当すると、許可を取得できません。
(1)成年被後見人、被保佐人
(2)破産者で復権を得ない者
(3)禁固以上の刑を受けて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
(4)次に掲げる法令等に違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない人がいる時
- 大気汚染防止法
- 騒音規制法
- 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
- 水質汚濁防止法
- 悪臭防止法
- 振動規制法
- 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律
- ダイオキシン類対策特別措置法
- ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法
- 浄化槽法
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
(5)次に掲げる罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない人がいる
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(第31条第7項を除く。)
- 刑法第204条(傷害)
- 刑法第206条(現場助勢)
- 刑法第208条(暴行)
- 刑法第208条の2(凶器準備集合及び結集)
- 刑法第222条(脅迫)
- 刑法第247条(背任)
- 暴力行為等処罰に関する法律
(6)廃棄物関連の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
(7)許可が取り消しとなり、聴聞から取り消しの決定をする日までの間に、廃業等の届出をした者で5年を経過しない者
(8)暴力団員又は暴力団員を辞めてから5年を経過していない人がいる
(9)暴力団員がその事業活動を支配している法人
すでに許可を取得して企業が、欠格要件に該当した場合も許可は取り消されます。
複数の自治体で許可を取得している場合、全ての許可が取り消されることになります。
また取消しの日から5年を経過しなければ、産業廃棄物収集運搬業許可を取得することはできなくなります。
5.まとめ

大まかに、まとめてみると。
- 講習会を受講し、受講後の試験に合格して修了証書をもらうこと。
- 会社の財務状況が、利益を計上し、債務超過の状態でないこと。
- 収集運搬に適した容器・車両を使用すること。
- 運搬車両は、許可申請者に「使用権限」があること。
- 対象者は、過去に法律違反や犯罪を犯していないこと。
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