決算変更届を提出しなくても大丈夫?【5つのデメリット】

決算書

建設業許可を取得したら、毎事業年度終了後4カ月以内に「決算変更届」を提出する必要があります。

「忙しくて準備する余裕がない。」

「提出しなくても、大したことない。」

などと、思ってはおられませんか?

決算変更届の提出を怠ると、5年毎の更新、業種追加や経営事項審査を受理してもらえません。
また思わぬデメリットがあったりします。

1.「決算変更届」とは何かを知っておこう。

決算は税理士さんに頼み、決算書(財務諸表)が作られます。
この決算書にもとづいて、所得税や法人税などの税金が計算されます。

決算書を見ると、企業の規模や稼ぐ力などが見えます。
税理士さんに作成してもらった決算書を、建設業簿記に置き換えて「決算変更届」を作成します。
建設業法では、この決算変更届(毎年の決算と工事内容)を報告させ、公開するようにしています。

法人の場合は、通常は決算日から2か月以内に定時総会を経て、決算が確定します。
個人の場合は、3月15日の確定申告期限に合わせて、2か月前後で決算が決まります。

そこから2か月ほどで、「決算変更届」を作成することになります。
決算変更届は、決算日から4か月以内に提出しなければなりません。

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決算変更届の目的は、発注者に自社の最新情報を公開して、広く一般に知らしめるためにあります。
経営情報と技術情報を、第三者に閲覧できるための制度です。

この決算変更届によって、自社の実績や能力を広告することができます。
また得意とする工法や工事規模等を、発注者に対しアピールできる機会になります。

決算変更届は、誰でも閲覧できるようになっています。

2.決算変更届を提出しない5つのデメリット!

決算変更届を未提出だと、5つのデメリットがあります。

(1)建設業許可の更新手続きができない

決算変更届が1期分でも提出されていなければ、許可の更新ができません。
5年毎にある建設業許可の更新は、5年分の決算変更届を提出する必要があります。

更新手続きが出来ないということは、建設業許可が期限切れで取り消されます。

また、業種追加や般特新規申請も受けることができません。

(2)経営事項審査を受けることができない

入札に参加するためには、経営事項審査を受ける必要があります。
決算変更届が1期分でも提出されていなければ、経営事項審査を受けることができません。

その結果、入札参加資格申請も行うことができません。
入札への参加は、諦めざるを得なくなります。

また経営事項審査を受ける場合は、原則税抜きで決算変更届を作成しなければなりません。

ポイント

(3)建設業法による罰則が科される

決算変更届を期限までに提出しない場合、監督処分や罰則を受けることがあります。
建設業法50条には、6カ月以下の懲役又は100万円以下の罰金またはその併科と記載されています。

実際に罰則を受ける可能性は低いと思いますが、重要な届出です。

(4)取引先や金融機関からの信用を失う

決算変更届は、発注者保護の観点という制度から、誰でも閲覧することができます。
そのため期限内に提出するということは、建設業者の信用度という点でも守るべきです。

新たに取引を始める場合、相手先が閲覧資料を確認することは十分に考えられます。
金融機関の場合も、信用調査の一環として閲覧する場合もあります。

決算変更届が提出されていなかったり、内容がずさんだったら、、取引や融資の見直しを検討されることになるかもしれません。

(5)自社の工事実績として利用できない

決算変更届には、工事経歴書という書類があります。
この工事経歴書に、業種ごとに工事実績を記載しなければなりません。

工事経歴書の書き方については、以下のページにて記載しています。

【工事経歴書】作成するときに気を付けるポイント

工事経歴書とは、1年間に行った工事の内容を報告する書類です。工事経歴書は、決算変更届、新規申請、業種追加、般特新規や経営事項審査の申請手続きに提出が必要です。 …

経営業務の管理責任者や専任技術者が退職で不在となった場合、決算変更届を提出していれば、工事実績を持った技術者を証明できます。
工事経歴書で工事実績を認めてもらえるため、変更届の手続きをするだけで後継者を証明できます。

しかし、決算変更届の提出がないと工事の確認ができません。
建設業許可を失う可能性があります。

3.「決算変更届」を行政書士に依頼するメリット

決算変更届の作成で注意が必要なのは、「工事経歴書」と「財務諸表」です。

「ただの届出なので、内容なんて関係ない」と適当に作成されていませんか?
また不慣れな行政書士が作成して、適当に作成している場合もあります。

例えば、工事経歴書の配置技術者を適当に記載し、行政庁から建設業法違反を疑われてしまう場合もあります。
建設業違反がないように、高い報酬で行政書士へチェックしてもらうメリットがあります。

また財務諸表も、単に決算書を転記するだけのものではありません。
建設業簿記への組み換え、消費税の切り替えなど、面倒な作業をしなければなりません。

建設業許可を取得するということは、大きな工事を行える権利が与えられる分、きちんとした管理を要求される義務があります。

4.まとめ

大まかに、まとめてみると。

  • 決算変更届は、事業年度終了後から4カ月以内に届出をしなければならない。
  • 経営事項審査を受審する場合は、免税事業者を除き税抜きで作成しなければならない。
  • 「決算変更届」は、誰でも閲覧することができる。
  • 決算変更届を未提出だと、更新、業種追加、経営事項審査の手続きができない。
  • 決算変更届を未提出だと、取引先や金融機関からの信用を失うかもしれない。
  • 適当に決算変更届を作成すると、建設業法違反を疑われる場合がある。

決算変更届を未提出だと、様々なデメリットがあります。
ただしキチンと提出していれば、自社の実績や能力を発注者に対しアピールすることができます。

本業が忙しくて、「決算変更届」を提出するのが難しいとお困りではありませんか?

決算変更届のお困りごとを、当事務所では無料でご相談を承っております。
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